『トゥワズ』
ポール・ギルバート
【参加クレジット】
ポール・ギルバート(g)、ダン・バルマー(g)、ティマー・ブレイクリー(b)、クレイ・ギバーソン(key)、ジミ・ボット(d)
【曲目】
①レット・イット・スノー!レット・イット・スノー!レット・イット・スノー!
②フロスティ・ザ・スノーマン
③天には栄え
④ザ・クリスマス・ソング
⑤赤鼻のトナカイ
⑥三隻の船
⑦エヴリー・クリスマス・ハズ・ラヴ
⑧スリー・ストリングス・フォー・クリスマス
⑨若草の頃
⑩おめでとうクリスマス
⑪シルバー・ベルズ
⑫すてきな雪景色
⑬ダウン・ザ・チムニー・ブルース(日本盤ボーナス・トラック)
多彩なプレイ・スタイルで表現したギター・インスト・クリスマス・アルバム
2021年6月にアルバム『ウェアウルヴス・オブ・ポートランド』をリリースしたばかりのポール・ギルバートが自身初のクリスマス・アルバムを完成させた。
定番曲のカバーを中心に、オリジナル曲3曲(ボーナス・トラックも含む)を収録したこの作品だが、大きな特徴は、メタルやハードロック的なアプローチによるストレートなカバーではなく、各曲で様々なスタイルが聴ける点だ。
曲の途中でブルース調になる②、間奏部ではフュージョン風に展開する③、スライド・プレイを取り入れたブルース調の⑥、ジェフ・ベック風とも言える⑩など、どの曲も多彩なアレンジが施されており、繊細なトーンでプレイしたメロウな④や⑨も味わい深い。
オリジナル曲に関しても、フュージョン・テイストの⑦、カントリー・スタイルの⑧、スロー・ブルース・タイプの⑬と、チャレンジングな内容になっており、表現力豊かなギター・ソロも聴き応え満点だ。
(Jun Kawai)
『フィール・ザ・スピリット』
ルーカス・デ・モルダー&ザ・ニュー・マスターサウンズ
【参加クレジット】
ルーカス・デ・モルダー/エディ・ロバーツ(g)、ジョー・タットン(org)、クリス・スピーズ(org, syn)、ネイト・エドガー(b)、サイモン・アレン/アレハンドロ・カスターノ/ジェレミー・サルケン(d)
【曲目】
①ジンジャー・ビート
②カム・アウト・アット・ナイト
③セヴェラル・タイムス
④ゴー・アヘッド
⑤ホット・バ・リ・オ
⑥キープ・ウォーキング
⑦フィール・ザ・スピリット
⑧フルーツ・サラダ
⑨ウォーム・ナイツ
⑩セイ・グッバイ
⑪レッドボーン
⑫アンダーグラウンド・ダンス
クールなジャズ・ファンク魂を携えて、スペインから期待の新星がデビュー!
ジャズ・ファンク復興を主導するエディ・ロバーツのプロデュース、そして彼のニュー・マスターサウンズがバックを務めるというのだから悪いわけがない。
内容はジャケに写るES-330と思しきギターから想像されるとおり、1970年代のグラント・グリーンを彷彿する直球ジャズ・ファンクで、同音連打や異弦同音フレーズなどグルーヴを重視したプレイの雨あられ。ただ、激情型というよりはクラブ・シーンでも好まれそうなクールな仕上がりなのがオシャレだ。
そんな中、③での6度音程を組み込んだテーマなど、R&Bオリエンテッドなフレーズが耳に残る。レゲエ・ビートの⑨では互いに探り合うようなエディとの掛け合いが鳥肌モノ(エディの参加はこの曲のみ)。
EW&Fのあの名曲にオマージュ(!?)した⑪では、指弾きのダブル・ストップによる儚げなメロディや、イントロでプレイされるデヴィT印の黄金のオブリガートに心を鷲掴みにされる。ぜひともライブを堪能したい!
(久保木靖)
『Blessings and Miracles』
サンタナ
【参加クレジット】
カルロス・サンタナ/カーク・ハメット/トミー・アンソニー(g)、クリス・ステイプルトン(g,vo)、ベニー・リートヴェルド(b)、シンディ・ブラックマン・サンタナ(d)、ロブ・トーマス/スティーヴ・ウィンウッド(vo)、チック・コリア(p)、ナラダ・マイケル・ウォルデン(b,k,etc)、他
【曲目】
①Ghost of Future Pull / New Light
②Santana Celebration
③Rumbalero
④Joy
⑤Move
⑥Whiter Shade of Pale
⑦Break
⑧She’s Fire
⑨Peace Power
⑩America For Sale
⑪Breathing Underwater
⑫Mother Yes
⑬Song For Cindy
⑭Angel Choir / All Together
⑮Ghost of Future Pull II
世代やジャンルの壁を軽々と飛び越えていく、サンタナの最新コラボレーション・アルバム
スティーヴ・ウィンウッド、チック・コリア、カーク・ハメットなど、多彩な豪華ミュージシャンたちとコラボレーションした最新作。これだけ幅広い世代&ジャンルの面々と、1枚のアルバムの中でコラボできるのはサンタナならでは。
野性味溢れる持ち前のラテン・ロックあり、女性ボーカルにしっとりと寄り添うメロウなナンバーあり、ハウス・ビートに切り込む新機軸あり、「スムーズ」の大ヒットを生んだロブ・トーマスとの新曲ありと、非常にバラエティに富んだ内容だが、基本的にラテン・ビートが根底にあることもあって、まったく散漫さは感じられない。
その人選からは世代やジャンルは違えど、みんな音楽を愛する仲間なんだという、サンタナの熱いメッセージも伝わってくる。中でもスティーヴ・ウィンウッドを迎えたプロコル・ハルムの⑥「青い影」カバーは絶品。
曲によってはリモートで制作されたようだが、ライブ感溢れるエネルギッシュな作品に仕上がっている。
(関口真一郎)
『Kaleido Garden』
DURAN
【参加クレジット】
DURAN(g)、Katsuma(d)、他
【曲目】
①Answers
②Leavin’ lt All Behind feat. 906 / Nine-O-Six
③Digital Detox
④Love Affair
⑤Revive feat. Katsuma(coldrain)
⑥God That We Praised…
⑦Voodoo In Me
⑧Acid Mindwarp
⑨Good Rider
⑩ Hazy Waves
⑪Karma
⑫ Sampaguita
⑬Neon Void
⑭Echo
⑮Electric Gospel
⑯Squeeze My Lemon
⑰Phantasmagoria
⑱Reason I Stay Me 他7曲
“現代ロック・シーンの奇才”と称されるDURANが放つソロ・アルバム第二弾
The ROOTLESSやMade in Asia、a flood of circle、RED DIAMOND DOGSといったバンドで活躍し、2018年からソロ活動もスタートさせたDURAN。そんな彼がソロ・アルバム第二作を完成させた。
同作は60〜70年代初頭を彷彿させるロック・チューンを軸としつつ、ファンキーな⑤⑰⑲、ループやノイズを使った無機質なトラックとリーディングを活かした⑥、メロディアスかつ抒情的なスロー・チューンの⑭など幅広い表情を見せているのが印象的。様々なジャンルを融合させる手腕と起伏に富んだ構成が相まって、深く惹き込まれる一作となっている。
王道的なテイストを昇華したギター・リフや絶妙なコード・ワーク、エフェクターやテルミンなどを用いたノイズ発信機としてのアプローチなど、ギターの聴きどころも満載。テクニカルなプレイをこなすスキルを持っていながらフィーリングを重視したことがうかがえる生々しいギター・ソロも最高にカッコいい。
(村上孝之)