「Walkin’ Blues」と、エリック・クラプトンとマディ・ウォーターズ 「Walkin’ Blues」と、エリック・クラプトンとマディ・ウォーターズ

「Walkin’ Blues」と、
エリック・クラプトンとマディ・ウォーターズ

エリック・クラプトンの『Unplugged』という世紀のアコギ名盤のリリース30周年を記念し、作中ブルース・カバー曲をその元となったバージョンとともに紹介していく。今回はロバート・ジョンソンの代表曲として知られる「Walkin’ Blues」。

文=青山陽一

ロバート・ジョンソンのオリジナリティ

ロバート・ジョンソンがエリックにどれだけのインスピレーションを与えたかは、「Crossroads」始め、のちのカバーの数々を例に出すまでもないだろう。とはいえこの「Walkin’ Blues」に関してはロバートの作とクレジットされてはいるが、厳密にはサン・ハウスのレパートリーをロバートが独自にアレンジしたもの。

基本は12小節進行だがロバート版はコード進行に少しヒネりがあり、9、10小節が通常であればⅤ~ⅣになるところをⅣ~Ⅴ・Ⅳという動きに変えているあたりが独自のパターンになっている。オープンG系のチューニングでステディなベース音を打ちながら高音でスライドを交え、まるで者が2人いるような幻惑的な演奏を展開する。

マディ・ウォーターズの流れも汲んだカバー

エリックもロバートに倣い、ウッド・ボディのリゾネーター・ギターを持ち出してスライド・ギターを披露。これは70年代にジョージ・グルーンのギター・ショップで購入したリゾネーターをベースに、ゴージャスなインレイの入ったネックを取り付けたりと大幅な改造を加えたギターのようだ。

両サイドでアンディとネイザンが見守る中、エリックは足をストンプさせながらのソロ・パフォーマンス。チューニングはオープンGで、前のめり感のあるロバートの演奏に比べてかなりレイドバックしたグルーヴの弾き語りだ。

ストレートなブルース進行はどちらかといえばマディ・ウォーターズが50年に録音したバージョンに近い。さらにエリックによるとマディの「I Feel Like Going Home」のギター・パートを流用した、とコメントしていた。

作品データ

『Unplugged』
エリック・クラプトン

リプリーズ/1992年8月18日リリース

―Track List―

01. 「Signe」
02. 「Before You Accuse Me」
03. 「Hey Hey」
04. 「Tears in Heaven」
05. 「Lonely Stranger」
06. 「Nobody Knows You When You’re Down and Out」
07. 「Layla」
08. 「Running on Faith」
09. 「Walkin’ Blues」
10. 「Alberta」
11. 「San Francisco Bay Blues」
12. 「Malted Milk」
13. 「Old Love」
14. 「Rollin’ and Tumblin’」

―Guitarists―

エリック・クラプトン、アンディ・フェアウェザー・ロウ