『Face To Time Case』
崎山蒼志
【参加クレジット】
崎山蒼志(vo,g)【ゲスト】石崎ひゅーい/たかはしほのか(vo,g)、akin/サトウカツシロ/江口亮(g)、マーティー・ホロベック/OKP-STAR/北村雄太/海/高間有一(b)、bobo/守真人/GOTO/坂本暁良/ゆきやま(d)、モチヅキヤスノリ/宗本康兵/渡辺シュンスケ(p)、他
【曲目】
①舟を漕ぐ
②Helix
③嘘じゃない
④告白(崎山蒼志×石崎ひゅーい)
⑤幽けき
⑥Pale Pink
⑦逆行
⑧水栓
⑨風来 -extended ver.-
⑩通り雨、うつつのナラカ
⑪過剰/異常 with リーガルリリー
⑫タイムケース
焦燥のロックから、色鮮やかな包容力へ
19歳SSW、進化のメジャー2ndアルバム
前作から1年ぶりとなる崎山蒼志のメジャー2nd。akkin/江口亮らアレンジャーを迎えた楽曲とセルフ・アレンジ曲が混在する構成は前作同様ながら、その質感は大きく異なる。前作では物憂げなビブラートを帯びていたボーカルは格段に力強く響いてくるし、ギター越しにロックとブルースを叩きつけるような焦燥感に満ちたかつてのプレイ・スタイルよりも、歌と演奏で孤独を温めるような包容力が深く印象に残る。ボサノヴァ調のアコギさばきとストリングスの調べを柔らかに織り合わせた「幽けき」やエレクトロ・ナンバー「Pale Pink」など、音楽的な探求精神をより色鮮やかに開花させた今作。いきものがかり・水野良樹との共作曲「風来」を始め、「告白」(石崎ひゅーい)、「過剰/異常」(リーガルリリー)といったコラボ曲群も、その音楽世界にさらなる広がりを与えている。シンガー・ソングライターの概念を刷新する19歳の、あまりにも目映く切実な“今”の結晶。
(高橋智樹)
『しあわせになるから、なろうよ』
JYOCHO
【参加クレジット】
だいじろー(g)、猫田ねたこ(vo,k)、sindee(b)、はやしゆうき(fl)
【曲目】
①回想増えた
②みんなおなじ
③光あつめておいでよ
④輪の中にいればたいせつにしてあげる
⑤碧に成れたら
⑥悲しみのゴール
⑦夜明けの測度
⑧忘れないで
重層的かつ多角的なアレンジとシンプルで美しいメロディの対比
京都発の男女混成4人組バンドによる、まとまった音源としては4曲入りの2nd EPから3年ぶりのミニ・アルバム。変拍子を用いたプログレッシヴな曲展開、アコギやピアノ、リズム隊が織りなす幾何学模様のようなアンサンブルは相変わらず健在で、その上を舞うシンプルで美しいメロディと鮮やかなコントラストをなしている。全曲の作詞作曲を手がけるだいじろーのギターは、例えば「光あつめておいでよ」では目も眩むような精緻なタッピングを披露したかと思えば、「碧に成れたら」ではひなびたアルペジオを情感たっぷりに爪弾き、「夜明けの測度」では壁のようなディストーション・サウンドで空間を埋め尽くす。聴けば聴くほどその練り上げられた重層的かつ多角的なアレンジに唸らされるが、とっつきにくさは微塵もなく聴き手の郷愁を誘う。どこか“わびさび”を感じさせる曲調が、ポーター・ロビンソンら海外アーティストにも愛されるのも納得だ。
(黒田隆憲)
『アースリング』
エディ・ヴェダー
Guitar:アンドリュー・ワット(g,b)、ジョシュ・クリングホッファー(g,b,p,etc)
豪華ゲストを迎えて制作
圧倒的スケール感を放つサウンド
パール・ジャムのエディ兄貴が11年ぶりのソロ作をドロップ。あのジョシュ・クリングフォッファーが参加というから期待大だ。詳細な演奏クレジットがなく各ギター・パートの弾き分けは不明なのだが、先行シングル「Long Way」で響く物憂げなギター・ソロはレッチリ風味がぷんぷん。また、毎作で共通するアコギの秀逸なサウンドメイクは今回も絶品。
(編集部)
『事象の地平線』
神はサイコロを振らない
Guitar:吉田喜一(g)
ストリングス群との絡み合いが美しいZ世代のロック・サウンド
福岡発の4人組ロック・バンド、通称“神サイ”による2枚組、全20曲の大ボリュームのメジャー1stフル。鋭利かつ骨太なバンド・サウンドを武器とする彼らだが、今作では幻想的なストリングス・サウンドを全面に打ち出した楽曲も多く収録されている。一方、ギター・リフやカッティングで曲を引っ張るロック・チューンが健在なのも嬉しい。
(伊藤雅景)
『BIG LOVE』
斎藤誠
Guitar:斎藤誠(vo,g, etc.)
渋みのあるボーカルを乗せた
しなやかでグルーヴィなロック
斎藤誠の13枚目となるオリジナル・アルバム。ボーカル・ギターだけでなく、ベースやキーボードなど、ほとんどの楽器を自身で演奏。渋みのあるハスキーな歌声を乗せたグルーヴィなナンバーが中心で、“大人のロック”という雰囲気だ。アコギとエレキ・ギターのブレンド具合も絶妙。桑田佳祐が作詞・編曲を手がけた「涙のMidnight Soul」を収録。
(関口真一郎)
『4』
スラッシュfeat.マイルス・ケネディ&ザ・コンスピレターズ
Guitar:スラッシュ(vo,g)、フランク・シドリス(g)
ギブソン・レコーズから届いた
極上のロック・サウンド!
スラッシュのシグネチャー・トーンがたっぷりと堪能できるSMKCの最新作は、ギブソン・レコーズ(!)の第一弾作! ボーカルと絶妙に絡みながら展開する歌伴プレイ、シンプルながら耳に残る旋律のリフなど、ソロ以外にも彼をギター・ヒーローたらしめるポイントがそこかしこに。極上のギブソン・サウンドを堪能あれ!
(福崎敬太)
『魚返明未&井上銘』
魚返明未&井上銘
Guitar:井上銘 (g)
映画音楽のような静かなデュオ・アルバム
藝大出身で気鋭のピアニスト・魚返明未と、国内のジャズ・シーンを牽引する井上銘による初のデュオ・アルバム。全9曲中、魚返のオリジナルが8曲で、1曲が井上によるもの。映画音楽のような淡く静かなナンバーが多く、クリアでセンシティブなギター・ワークが堪能できる。
『すばらしき』
すばらしか
Guitar:福田喜充(vo,g)、渡会悠人(g)
荒々しくざらついたピュアなロックンロール
東京と神奈川を拠点に活動する4人組ロック・バンド、すばらしかの2ndアルバム。ブルース、ブギー、パンクなど、さまざまな音楽を咀嚼した勢いのあるR&Rチューンが満載。荒々しく生々しい音作りで、ギター・サウンドもソリッドでアグレッシブだ。CDはなく、LPと配信でリリース。
『ALIVE!』
SHŌGUN
Guitar:芳野藤丸(vo,g)
貴重なライブ映像の音源を高音質CD化
TVドラマ『探偵物語』のテーマ曲「BAD CITY」(1979年)のヒットで知られるSHŌGUN(ショーグン)のライブ・アルバム。貴重なライブDVD(2007&2014年作)から音源を抜き出してリマスタリング&高音質CD化したもので、サンタナを彷彿させるギター・プレイが熱い!
『OVERHEAT 49』
百々和宏
Guitar:百々和宏(vo,g)、ヤマジカズヒデ(g)
ゆるい遊び心で彩られた等身大の心象風景
MO’SOME TONEBENDERの百々和宏による4thソロ。ギター・リフが爽快な「ロックンロールハート(ア・ゴーゴー)」など、揺るぎないロック・スピリットとゆるい遊び心に彩られた作品だ。アコギで聴かせるアルバム後半は、等身大に描かれた心象風景がよりリアルに迫ってくる。
『The Voyage to The Higher Self』
SUGIZO × HATAKEN
Guitar:SUGIZO(g)
魂を浄化させるアンビエント・ミュージック
SUGIZOとモジュラー・シンセサイザー奏者HATAKENによるユニットの処女作。インド哲学に由来する “チャクラ”をモチーフにして、浮世から解脱していく様子を巧みに描いていく。シンセ感の強い作品ではあるが、音の8割が実はギターということも注目。
『アズ・アイ・トライ・ノット・トゥ・フォール・アパート』
ホワイト・ライズ
Guitar:ハリー・マックヴェイ(vo,g)
ドラマティックに広がる壮大な世界観
ロンドン出身の3人組ポスト・パンク・バンドによる6thフル・アルバム。「I Don’t Want To Go To Mars」など、ドラマティックな構成が壮大な世界観を描く作品だ。ダンサブルな「Am I Really Going To Die」のカッティングもシビれる!
『ジョージア・ブルー』
ジェイソン・イズベル&ザ・400・ユニット
Guitar:ジェイソン・イズベル(vo,g)
米ジョージア州出身者の曲を集めたカバー作
現代のアメリカン・ルーツ・ロックを代表するシンガーソングライター、ジェイソン・イズベルの最新作は、米ジョージア州出身アーティストたちの楽曲をカバーした作品。オールマン・ブラザーズ・バンドの15分超えカバー「エリザベス・リードの追憶」のギター・プレイは必聴!
※本記事はギター・マガジン2022年3月号にも掲載されています。