例年より早く桜が満開を迎え、花冷えがありながらも、春の到来を感じるの今日この頃。編集部の趣味全開で“春の気候に合う”プレイリストを組んでみました! 行楽気分を盛り上げるべく、ガット・ギターを活かしたソウル・ミュージックのプレイリストをお届けします!
文/選曲=福崎敬太
カリブ海とガット・ギターって、合うよね。
1曲目はブッカー・Tが1974年に残した名盤『Evergreen』から、不朽の名曲「Jamaica Song」です。同作ではエレキ・ギターでデヴィッド・T. ウォーカーが参加していますが、印象的なガットでのイントロはブッカー・T本人によるもの。コピーしてみると、和音の流れなどにどことなくキーボード奏者の積み方を感じます。
そして、プエルトリコ出身の盲目のギタリスト、ホセ・フェリシアーノ。彼は本プレイリストの主役と言っても良いでしょう! ラテン風味のあるアプローチをも名曲「Sunny」に溶け込ませ、続くビル・ウィザーズの「Can We Pretend」でも切ないビルの歌声に情熱的なオブリが見事にマッチ! これぞ“ガットでソウルっ”!!
そのプエルトリコのお隣にあるセント・トマス島で生まれたジョン・ルシアンも、ガット・ギターを使った名盤『Rashida』を1973年に残しています。演奏は本人によるもので、ソウルやジャズ、ラテンなどをミックスした独自の音楽性。「Would You Believe in Me」はラテン・ジャズ・ファンクの名曲として知っている人も多いのでは? ちなみに1曲目の「Kuenda」はプレイリストには入れませんでしたが、波の音とガット・ギターの相性が最高です。
ジャマイカ、プエルトリコ、セント・トマス島……いやぁ、カリブ海とガット・ギター、そりゃ合うよなぁ。
フォーキーなソウルも良し!
プレイリスト2曲目は、カーティス・メイフィールドが抜けたあとのインプレッションズが1973年に残した『Finally Got Myself Together』からの1曲。控えめながら、フォーキーな雰囲気を楽曲に与えるガットの響きが素晴らしい。
ルー・ボンドのセルフ・タイトル作はフォーキー・ソウルの隠れ名盤。彼はこの1枚しかリリースしていませんが、アコースティックな世界観がたっぷり味わえますので、気に入った方はぜひアルバムで聴いてみて下さい!
そして、スティール弦の印象が強いボビー・ウーマックもママス&パパスのカバー「California Dreamin’」で、アル・グリーンは「Simply Beautiful」で、ガットをフォーキーな演出として起用。
中でもキャンディ・ステイトンの「In the Ghetto」ではガット・ギターによるフォーキー・ソウルの名リフが聴けます。AとAsus4をフィンガーピッキングで行き来する素朴なフレーズなのに、ソウルフルなグルーヴをしっかりと生み出しているのが流石!
スティーヴィー・ワンダーの「Visions」は、どちらかというとクラシカルな雰囲気を狙っている感じがします。その艶っぽい質感はミニー・リパートンの「Lovin’ You」でも。デヴィTのカバーを始め、ネオソウル系ギタリストのセッションでも定番曲となっていることもあり忘れがちですが、原曲はガットのスウィートなサウンドが特徴なんです!
いやぁ、ガット・ギターが欲しくなってまいりました! ということで、楽器店でお会いしましょう!