『アイ・アム・ザ・ムーン: I. クレッセント』
テデスキ・トラックス・バンド
![](https://guitarmagazine.jp/wp-content/uploads/2022/06/2022-0620-disc-review-02-1024x1024.jpg)
【参加クレジット】
デレク・トラックス(g)、スーザン・テデスキ(g, vo)、タイラー・グリーンウェル(dr, perc)、アイザック・イーディー(dr, perc)、マイク・マティソン(vo)、マーク・リヴァース(vo)、アリシア・シャコール(vo)、ケビ・ウィリアムズ(sax)、エリザベス・レア(tb)、他
【曲目】
①ヒア・マイ・ディア
②フォール・イン
③アイ・アム・ザ・ムーン
④サークルズ・ラウンド・ザ・サン ⑤パサクアン
4枚に分けて発表される壮大なプロジェクト
ゆるやかなスライドが導く第一章の始まり
デレク&ザ・ドミノズ『いとしのレイラ』を丸ごとカバーした前作をきっかけに、タイトル曲③が生まれるアイディアの元となった12世紀のペルシャの詩人ニザーミーの作品「ライラとマジュヌーン」にインスパイアされたコンセプト・アルバムが制作された。完成した20数曲は4つのテーマに分けてひと月ごとに1枚ずつ発売されるという前代未聞の形式。『クレッセント』と題された本作はその第一章というわけだ。全5曲と曲数は少ないが、たっぷり時間をとって演奏される各曲は序章にふさわしくゆったりとしたタイプが多い。デレク・トラックスの途方もない表現力のギターが全編で聴けるのはもちろんだが、スーザン・テデスキ、マイク・マティソン、ゲイブ・ディクソンらが頻繁にリードを交代して歌うスタイルも、キーボードやホーンのアレンジも、ますますバンドとしての結束を強めた感がある。最後の長尺インストはまるで「Mountain Jam」。まさにデレクの独壇場だ。
(青山陽一)
『Solo Suites』
ビレリ・ラグレーン
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【参加クレジット】
ビレリ・ラグレーン(g)
【曲目】
①Memories
②Nature Boy
③Little Melody
④A suivre…
⑤Question réponse
⑥Caravan
⑦My Foolish Heart
⑧Put Your Dreams Away
⑨Fifty Five Reasons
⑩Bagi
⑪Green Light
⑫Buster Keaton
⑬Un certain groove
⑭12.15
⑮Blue Blues
⑯No Signal
⑰Angel From Montgomery
ジプシー色を封印したベテランのソロ作 バラエティ豊かな聴いてびっくり玉手箱!
本人曰く“アンサンブルが好きな自分としては悩んだ末の決断”による、スタジオ作としては初のソロ・ギター。ジプシー・スタイルで超絶プレイをくり広げたソロ・ライブ『To Bi Or Not To Bi』(2006年)に比して、ややレイドバックしつつも、いわゆる“叩き技”や高速ハーモニクスが活用されるなど、現代ソロ・アコギ・シーンに殴り込みをかけたような側面も。音域の広いアルペジオが登場するクラシカルな③⑫などの一方で、(エレクトリックに持ち替えての)ジャズ・ラインがくり出される⑮があるなど、悪く言えば散漫、良く言えばワクワクする玉手箱だが、ソロならではの即興的展開は聴き応え抜群。圧巻はスタンダード⑥で、タイトなベース・ライン、叩きによるリズム、その上にハーモニーやメロディが被ってくるさまは、目の前でオーケストラが演奏しているかのよう。⑰のみソロではなく、娘が歌うフォーキー・チューンにビレリがバックを付けた。
(久保木靖)
『Come Morning』
The Bros. Landreth
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【参加クレジット】
Joey Landreth(vo, g)、Dave Landreth(vo, b)【ゲスト】Leith Ross(vo)、Joe Pisapia(pedal steel)、Aaron Sterling(d)、Daniel Roy(d)
【曲目】
①Stay
②What in the World
③Drive All Night
④Shame
⑤You Don’t Know Me
⑥After the Rain
⑦Don’t Feel Like Crying(feat. Leith Ross)
⑧Courduroy
⑨Come Morning
⑩ Back to Thee
従来よりもアコースティック度が高まった ソフトでソウルフルなアルバム
2013年にデビュー。カナダの音楽賞、ジュノーの受賞歴を誇るオルタナティブ・カントリー&フォーク・グループ、ランドレス兄弟によるブラザーズ・ランドレスの最新作。アメリカン・ルーツ・ミュージックの香りを強く漂わせる作風、ブルージィなスライド・ギターが持ち味で、アクティブでタイトな仕上がりだった過去の作品『Let It Lie』や『’87』に比べると、内省的で落ち着いたアルバムに感じられる。エレクトリック・セットだが、全体的にアコースティック度が高まった印象で、ところどころに味わいのあるアコースティック・ギターが織り込まれている。ボーカルはささやくように歌い上げるソフトな歌い口。そこに寄り添うギターは優しげで、アンビエントなキーボード・サウンドがそのムードをあと押ししている。カントリー風味を押し出す②や⑦のペダル・スティールの柔らかな響きも心地良い。ジョン・メイヤーやライ・クーダーあたりの音楽が好きな方にお薦め。
(関口真一郎)
『The Neighborhood』
Michael Kaneko
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【参加クレジット】
Michael Kaneko(vo, g)、多田尚人(b)、神谷洵平/松浦大樹/御木惇史(d)、近藤邦彦(k)【ゲスト】大橋トリオ/さらさ/ハナレグミ/藤原さくら/Daichi Yamamoto(vo)、さかいゆう(vo, rhodes)、Shingo Suzuki(b, etc)
【曲目】
①RECIPE feat.ハナレグミ
②DRIVEAWAY feat.藤原さくら
③SHIGURE feat.さらさ
④GIRLS feat.大橋トリオ
⑤SANDIE feat.さかいゆう
⑥NEIGHBORHOOD
⑦Breakdown feat. Daichi Yamamoto (Shingo Suzuki Remix)
⑧Through The Fire
敏腕“CMソング・メーカー”が放つ 西海岸サウンド満載のコラボ・アルバム
湘南生まれ、南カリフォルニア育ちというSSWの新作。数々のCMソングで名をはせた彼がリリースしたのは、収録楽曲の多くをゲストと共作したコラボ作品だ。かつてSSWのアルバート・ハモンドは“南カリフォルニアには決して雨が降らない”(「カリフォルニアの青い空」)と歌ったが、そのごとき湿り気なしのサウンドが快く、Kanekoのルーツである西海岸の“朝~夜”までの風景を見事に描き出している。ギター・プレイは派手ではないにせよ、まさに景色に寄り添うフレーズが映えに映えている印象。16フィールのブリッジ ・ミュート・バッキングが軽快に跳ね、“浜辺の写真 甘いモヒート 白のストラト チーズバーガー”と永積タカシが歌う①は“朝~昼”、ムーディなリフがゆらりと煌めく③は“夜”にピッタリ……といった塩梅である。ダンサブルなカッティングが冴え、ローズ・ピアノと音で対話するようにプレイをくり出す⑤は深夜ドライブに最適だ!
(辻昌志)
『Versions of Modern Performance』
ホースガール
『カモン・ユー・ノウ』
リアム・ギャラガー
『ミート・ザ・ムーンライト』
ジャック・ジョンソン
『ユニヴァーサル』
マイケル・シェンカー・グループ
『Lady Champagne』
T-GROOVE & GEORGE KANO EXPERIENCE
※本記事はギター・マガジン2022年7月号にも掲載されています。