“ギター・ソロが鳴るとスキップをする”イマドキ(?)のリスナーからの支持も厚い新世代のプロ・ギタリストたちが、改めてソロの魅力を紹介する特集『このギター・ソロ聴いてみな? 飛ぶぞ!!』。まず1人目は、神はサイコロを振らない=通称神サイのギタリスト、吉田喜一がセレクト! バンドでは多彩なアプローチで様々なギター・リフ&ソロを弾きこなす吉田に、自身が聴いたら“飛ぶ”ソロが聴ける楽曲を3曲ピックアップしてもらった。
あなたにとってのギター・ソロとは?
自我と彼我の矛盾したカオスが、
栞のように何度でもあの日、あの時の感情を思い出させてくれます。
───吉田喜一
吉田喜一(神はサイコロを振らない)が選ぶ
ギター・ソロ名曲3選!
No.1|「ゲット・ザ・ファンク・アウト」 エクストリーム
吉田 言わずと知れた有名なギター・ソロですが、自分のソロへの想いや青春がこの曲にはたくさん詰まってます。技巧が光るタッピングのアイデアや、ねっとりとしつつも痺れるようなチョーキングのニュアンスだったり、随所に影響を受けています。
ファンク・メタルという位置づけでよく話題に上がりますが、ヌーノのギター・ソロはファンキーなノリだけではなく、流れるようなドラマチックな展開も魅力の1つです。今でも気がつけば何度でもリピートしてしまう……。そんなソロです。涙が出ますね。
収録アルバム
『ポルノグラフィティ』/エクストリーム
No.2|「662」 クリストーン・“キングフィッシュ”・イングラム
吉田 昨年リリースされたクリストーン・“キングフィッシュ”・イングラムのアルバム『662』ですが、1曲目のこの曲からぶっ飛んでしまいました。驚嘆の声が漏れてしまうほどでしたね。いわゆる“1発のカッコよさ”という点で、ド派手なチョーキングやソウル・フルなフレーズに耳がいきがちですが、音の存在感、ギター・ワークの独自性……。どこを切り取っても胸が高まります。
曲の中盤からソロに入り、一旦ブレイクを挟んでからの怒涛の展開に最後まで呼吸を忘れてしまいます。
収録アルバム
『662』/クリストーン・“キングフィッシュ”・イングラム
No.3|「スルー・ザ・ファイヤー・アンド・フレイムス」 ドラゴンフォース
吉田 この曲に関しては、どちらかというと“飛んだ”というより“飛んでる”ソロという言い方が合っているような……。ギター・ソロでここまで極端に展開を引っ張ってる曲はあまり多くはないのではないでしょうか。
ただ速弾きが速いというだけでなく、プレイにおけるスタンダードなテクニックや、ストレッチ、タッピング、スウィープ、アーミング、ワウやワーミー、顔で弾くソウル……などなど。多くの技術が学べる曲です。学生時代に1年かけて練習しました。そして今はなぜか生きる気力まで与えてもらった気になれるソロです。
収録アルバム
『インヒューマン・ランペイジ』/ドラゴンフォース
吉田が弾く、本人イチオシのギター・ソロはコレ!
神はサイコロを振らない/初恋(神はサイコロを振らない×アユニ・D×n-buna)
吉田 このギター・ソロのテーマとして“ドラマ性、曲との調和、人間臭さ”という点を意識していたのですが、これらを上手く昇華できたと思ってます。
また自分は長年“泣きのソロとは?“というものを模索してきたのですが、この曲でそのキッカケをつかめたような気がしてます。微妙なピッチ感やスライドの溜め方など、細かいところまで聴いてほしいです。
収録アルバム
『事象の地平線』/神はサイコロを振らない
今回選曲してもらったギタリストは……
吉田喜一
よしだきいち◎1996年生まれ、福岡発4人組ロック・バンド、神はサイコロを振らないのギタリスト。2015年の結成以降、ライブシーンで経験値を積み上げる中、2020年7月に1stシングル「泡沫花火」でメジャーデビュー。2022年3月にはメジャー1stフル・アルバム『事象の地平線』をリリース。今夏は国内各所のフェスに名を連ね、シーンでの存在感を目覚ましい勢いで高め続けている。