夏の大波に乗ってけ!21世紀サーフ・ロック 夏の大波に乗ってけ!21世紀サーフ・ロック

夏の大波に乗ってけ!
21世紀サーフ・ロック

猛暑が続く今夏こそ、暑さを吹き飛ばすサーフ・ロックを堪能しませんか? ここでは、60年代のサーフィン・ミュージックをルーツに持ち、新たな表現を打ち出す“21世紀のサーフ・ロック”を集めたプレイリストをお届けします! スプリング・リバーブの効いた瑞々しいピッキングを聴かせる本格派から、ジャキッとしたギター・サウンドでフレッシュな音像を鳴らす新世代まで幅広くピックアップしました。海へドライブするならぜひお供に! ギター・マガジン2022年9月号の特別企画『サーフ・ギターの波に乗れ!』とあわせて楽しんで下さい。

文=山口智男 選曲=錦織文子

往年のサーフを
アップデートした新機軸。

 2010年、LAの男女デュオ=ベスト・コーストらの登場によって米国を席巻したサーフ・ロックのブーム。“なぜ突然、サーフが!?”──その答えを導き出すには、当時のUSインディ・シーンからふり返る必要がある。

 90年代のグランジ/オルタナ・ブームの延長線上で、同ブームの象徴とも言える轟音ギターだけにとどまらない広がりを見せ始めたUSインディ・シーン。00年代に入ると、アフロ・ビートやサイケデリック、フォーク、ブルース、ニュー・ウェイブといった様々な要素と結びつき、多様化していく。サーフ・ロックもまたインディ・ロックを進化させるバリエーションの1つだった──というのが筆者の考える答えなのだが、最初のブームが60年代半ばに終わってからもリバイバルを起こし、ラモーンズ、デッド・ケネディーズ、ゴーゴーズ、ピクシーズ、オフスプリングら、パンクを出自に持つバンドたちによって受け継がれてきたのだから、2010年代のインディ・シーンで再び注目されることは必然だったのかもしれない。

 ベスト・コーストを始め、ここで取り上げたバンドたちも新世代ならではのサーフ・サウンドを打ち出していると言える。楽曲全体を覆うたっぷりとしたリバーブの音像はもちろん、随所で聴ける疾走感のあるトレモロ・グリッサンドやスタッカート・ピッキングは、往年のサーフィン・ミュージックを完全に踏襲したものではないにせよ、それらを思わせる要素を受け継いでいることがわかる。そのうえで、サーファー・ブラッドやバタートーンズのように轟音を鳴らしたり、他ジャンルの要素を取り入れながらアップデートしているサーフ・ロックも生まれた。こうして新たなスタイルを築いていったサーフ・ロックの勢いは、いまだに留まることはない。

ギター・マガジン2022年9月号
『特集:ジェフ・ベック』

ギター・マガジン2022年9月号の表紙特集はジョニー・デップとの共作『18』をリリースしたジェフ・ベック! 本誌の特別企画『サーフ・ギターの波に乗れ!』では、サーフコースターズの中シゲヲ直伝のサーフ・ギター奏法解説を始め、サーフィン・ミュージックの魅力を深掘りします!