『アイ・アム・ザ・ムーン:III. ザ・フォール』
テデスキ・トラックス・バンド
【参加クレジット】
デレク・トラックス(g)、スーザン・テデスキ(g, vo)、タイラー・グリーンウェル(dr, perc)、アイザック・イーディー(dr, perc)、マイク・マティソン(vo)、マーク・リヴァース(vo)、アリシア・シャコール(vo)、ケビ・ウィリアムズ(sax)、エリザベス・レア(tb)、他
【曲目】
①サムハウ
②ナン・アバヴ
③イエス・ウィ・ウィル
④グラヴィティ
⑤エメリーン
⑥テイク・ミー・アズ・アイ・アム
サザン・グルーヴに乗せて歌い上げる12世紀詩人の愛と狂気の物語の第3章
12世紀の詩人ニザーミーの『ライラとマジュヌーン』をベーシックなコンセプトとして制作され、全4枚の連作としてリリース中の『アイ・アム・ザ・ムーン』もこれで3作目。とはいえ展開されるのはメンバー各々の豊かな音楽的背景に裏打ちされた懐の深いサザン・グルーヴのいつものテデスキ・トラックス・バンドの音。
新加入のゲイブ・ディクソンのソング・ライティングにスーザン・テデスキの歌声が冴える①で、いきなりデレク・トラックスのスライドが高らかに舞い上がる。ギター的なハイライトはもろに1970年代くらいのB.B.キング・スタイルで攻めるマイナー・ブルース③あたりか。
中盤はスーザンがシカゴ・スタイルのギター・ソロを披露し、後半は完璧な間合いのデレクとワウ・ソロを決めるスーザンの夫婦ギター競演が興奮度満点。
終盤2曲の素朴なアコースティック・バラードもじんわり沁みる。集中して楽しめる適切な長さもいい。
(青山陽一)