『アイ・アム・ザ・ムーン:IV. フェアウェル』
テデスキ・トラックス・バンド
【参加クレジット】
デレク・トラックス(g)、スーザン・テデスキ(g, vo)、タイラー・グリーンウェル/アイザック・イーディー(dr, perc)、マイク・マティソン/マーク・リヴァース/アリシア・シャコール(vo)、ケビ・ウィリアムズ(sax)、エリザベス・レア(tb)、他
【曲目】
①ラスト・ナイト・イン・ザ・レイン
②ソウル・スウィート・ソング
③Dゲーリー
④ホエア・アー・マイ・フレンズ?
⑤アイ・キャン・シー・ユー・スマイリング
⑥アナザー・デイ
4ヵ月連続リリースのラストを飾る『アイ・アム・ザ・ムーン』最終章
「いとしのレイラ」の元となった物語から着想を得た4部作もついに完結編。壮大なフィナーレが演じられると思いきや、1~3作目同様、むしろさらにレイドバックした感もある自然体のバンド・サウンド。過剰な演出はなく、淡々と歌い綴るシンガー・ソングライターのアルバムのようだ。
どこかジョージ・ハリスンを思わせるイントロの①やスーザン・テデスキとゲイブ・ディクソンのツイン・ボーカルがキャッチーな②も内に秘めたソウルが聴き手の心をじんわりと温める。
なんと村上春樹が直々に作詞のアドバイスをしたというマダガスカルの名ギタリストの名前を冠した③は、彼にインスパイアされたというデレク・トラックスのギターの繊細な表現が染み入るが、この曲や⑤あたり、ステージで目一杯弾き倒すデレクとはまた違った、クリーンに近い音色で丁寧に歌い込んで行くようなプレイが印象的。
さて、1枚目に戻って4枚を通しで味わってみよう。
(青山陽一)