『SONGBOOK VI』
石若駿
先鋭的ミュージシャンが多数参加 “歌”をコンセプトにした作品群の6枚目
神出鬼没で変幻自在。現在の日本のシーンにおいて、何か新しい音楽が生まれる現場には必ず石若駿がいるのでは? 本作で6枚目を数える“Songbook”はそんな彼がライフワークと標榜する、歌をコンセプトにした作品群だ。
先鋭的なミュージシャンが集う中、ギタリストは①②③に西田修大、③に市野元彦、⑥に苗代尚寛が参加して自身の持ち味を発揮。
①では西田のギター1本で始まる冒頭で楽曲の世界観を一瞬にして提示しつつ、独自のボイシング感覚を持ったコード・ワークで曲のサウンドを大きく広げていく。
市野による③でのコンテンポラリーなプレイは特筆すべきもので、歌と一体となって時に寄り添い、時にリードしつつ、終盤の長尺ソロも含めて終始楽曲を牽引。
ギターでアンビエントな空間レイヤーを演出する⑥での苗代の手腕も見事だ。
こうした実験的な試みの数々が、“歌”という軸でポピュラー音楽の枠につなぎ止められている。
(田中雄大)
【参加クレジット】
石若駿(vo, d, k, etc)、西田修大/市野元彦/苗代尚寛(g)、マーティ・ホロベック(b, baritone gt)、角銅真実/細井徳太郎/櫻/Ying(vo)、ermhoi(cho)、高木大丈夫(banjo)、ギデオン・ジュークス(tuba)、松丸契(clarinet)、他
【曲目】
①あちらの空は晴れ
②You
③Natsu Wa Mijikai
④台形のダンス
⑤Pentatonic 物語
⑥空に逢う、朝を待つ
⑦May 2nd
ギター・マガジン2023年5月号
『追悼 鮎川誠』
2023年4月13日(木)発売