『七つの詩篇』
ポール・サイモン
新たなソングライティングの世界に踏み出す7楽章33分間に及ぶ壮大なる組曲作品
ポール・サイモンの約7年ぶりとなる新アルバムは、御大の弾き語りを基本にした7曲から成る組曲形式。
だがトラック・ナンバーは曲ごとではなく、33分間の連続する1曲として登録されているので必然的に頭から通して聴くことになるのだが、流れ出したら最後、その世界にどっぷり引き込まれてしまう。
冒頭の①からしてポールの信仰がテーマであることを示していると思うが、このメロディは中盤や終盤にも登場し、トータル性を作り出していく構成。
10月には82歳を迎えるが、新領域に踏み込むソングライティングは瑞々しく、湧き上がる創作意欲には感服するほかない。
現代ポップスにおけるアコギの革新者としての矜持を感じさせる自在なフィンガーピッキングも健在。愛妻エディ・ブリケルとの郷愁を誘うようなデュエットも聴かせてくれる。
色彩感をプラスするヴォーチェス8のハーモニーやアンビエントな管弦楽器、打楽器類の使い方も効果的だ。
(青山陽一)
【参加クレジット】
ポール・サイモン(vo, g, etc.)、エディ・ブリケル(vo)
【曲目】
①ザ・ロード
②ラヴ・イズ・ライク・ア・ブレイド
③マイ・プロフェッショナル・オピニオン
④ユア・フォーギヴネス
⑤トレイル・オブ・ヴォルケイノ
⑥ザ・セイクリッド・ハープ
⑦ウェイト
ギター・マガジン2023年7月号
『フェンダーカスタムショップに憧れて。』
2023年6月13日(火)発売