『Jelly Road』
ブレイク・ミルズ
ギターの宿命から解き放たれたサスティナー内蔵フレットレス・バリトンの音
文脈への深い造詣のもと、この現代においていまだ誰も聴いたことがないギター・サウンドを提示し続ける数少ないギタリストであるブレイク・ミルズの最新作。
静謐で内省的なSSW作的だった『Mutable Set』と、ピノ・パラディーノとの共作でジャズ・ファンクのその先を提示した『Pino Palladino And Blake Mills』を経て、ちょうどこの2作品の間に位置するような作品に仕上がっている印象だ。
本作でやはり耳に残るのが、昨年の来日公演でも目を引いたサスティナー内蔵のフレットレス・バリトン・ギターのサウンド。アタックからの音の減衰というギターの宿命から解き放たれた本器による演奏は、「Skeleton Is Walking」の長尺ソロを始め、アルバム随所で効果的に使われている。
また、近年ブレイクはBOSSのギター・シンセGP-10GKにすっかりハマっているようで、本作で聴ける電子音響はおそらく本機によるもの。
(岡田拓郎)
【参加クレジット】
ブレイク・ミルズ/クリス・ワイズマン(all)
【曲目】
①Suchlike Horses
②Highway Bright
③Jelly Road
④Skeleton Is Walking
⑤Unsingable
⑥Wendy Melvoin
⑦The Light Is Long
⑧Breakthrough Moon
⑨There Is No Now
⑩Press My Luck
⑪A Fez
⑫Without An Ending
ギター・マガジン2023年8月号
『特集:ぼっち・ざ・ろっく!』
2023年7月13日(木)発売