ディスク・レビュー『ムーブメント』 ダニエル・サンチアゴ&ペドロ・マルチンス ディスク・レビュー『ムーブメント』 ダニエル・サンチアゴ&ペドロ・マルチンス

ディスク・レビュー『ムーブメント』 ダニエル・サンチアゴ&ペドロ・マルチンス

『ムーブメント』
ダニエル・サンチアゴ&ペドロ・マルチンス

『ムーブメント』 ダニエル・サンチアゴ&ペドロ・マルチンス
モークラウド/発売中/全11曲

ブラジルの逸材師弟コンビが放った目くるめく至高のギター・アンサンブル

 ペドロを見出し、1st『Sonhando Alto』(2011年)をプロデュースしたのがサンチアゴで、言わば彼はペドロの恩師。その両者が2017年に発表したデュオ作『Simbiose』はファンの間ですこぶる高い評価だった。

 前作と同様にサンチアゴはアコギで、ペドロは古いテスコ製エレクトリックだが生音に近い録音で、まるでアコギ・デュオのようなサウンド。

 そして、オランダの抽象絵画の先駆者ピエト・モンドリアンや、ドイツのミニマルで審美的な建築のバウハウス運動、ブラジル・モダニズム建築家たちなど、あらゆるものから影響を受けて作曲したという両者のオリジナル曲は、前作と同様に秀逸極まりない。

 その上で2本のギターが織り成す息を飲むばかりのアンサンブルに最後まで引き込まれること必至!

 今年4月に発売されたホメロ・ルバンボとシコ・ピニュイロのギター・デュオ作『Two Brothers』も超素晴らしかったが、それに匹敵するいち推し盤だ。

(石沢功治)

【曲目】
①Curupira Modernista
②Corpo
③Maracatu
④Salamandra
⑤O que não se pode impedir
⑥Valentina
⑦Liberdade
⑧Missing Link
⑨Movement
⑩Se eu sentisse saudade
⑪Na Chuva