『らんど』
ZAZEN BOYS
12年越しの期待を凌駕 血湧き肉躍るバカカッコいい新作
前作の『すとーりーず』から12年。積もりに積もった期待を超える、拍手喝采の素晴らしい新アルバムである。
結成当初“法被を着たレッド・ツェッペリン”と自称していた向井秀徳だが、まさにツェッペリンのごとく各楽器がせめぎ合い拮抗する、ド迫力の演奏。
タイト~メロウまで怖いほどコントロールされたグルーヴに、思わず肩を揺らして通りを闊歩したくなるようなこの感覚。これは、正真正銘のZAZEN BOYS体験だ。
向井は日本製のローズウッド・テレを使用、吉兼聡はおそらくストラトだが、クリーン~クランチに音作りしたシングルコイルの鋭さ、攻撃性にゾクゾクするこの快感は、過去作を上回るかもしれない。
シンセをほぼ使わず、ギター/ベース/ドラムの原始的なサウンドに回帰しているのも本作の強度を高めていると感じる。
概して血湧き肉躍るバカカッコいい作品だが、あくまで豊かな音楽的土壌を持ち、楽曲にたっぷりの情感も湛えているのを忘れてはならない。
(山本諒)
【曲目】
①DANBIRA
②バラクーダ
③八方美人
④チャイコフスキーでよろしく
⑤ブルーサンダー
⑥杉並の少年
⑦黄泉の国
⑧公園には誰もいない
⑨ブッカツ帰りのハイスクールボーイ
⑩永遠少女
⑪YAKIIMO
⑫乱土
⑬胸焼けうどんの作り方