『HOLLOWGALLOW』
dip
サイケなオルタナティブを貫く9年ぶりの14作目
ヤマジカズヒデ率いるdipが待望の新作をリリース。
弦のテンションがゆるいジャズマスターの変則チューニングを駆使してドローンのようなクランチ・サウンドを作り上げ、1曲ごとに長い時間をかけて楽曲を彩っていく。その中で聴き手の想像を超える激しいノイズ・ソロや、美しいサウンドスケープを用いて変化をつけており、常に緊張感に満ち溢れている。
そのスタイルはサーストン・ムーア的でありつつも、「for never end」では轟音アーミングの上でポップなメロディが流れるケヴィン・シールズのようなアプローチも披露。
ヤマジが影響を受けてきたオルタナティブやサイケデリック音楽が自身の中でミックスされ、それが32年という長いバンド活動をとおし、美しい結晶体のように結実した作品だと言えるだろう。
FRICTIONのЯECK、田渕ひさ子、HEATWAVEの細海魚が数曲でゲスト参加し、それぞれアクの強いエッセンスを加えているのも見逃せない。
(小林弘昂)
【曲目】
①kauteater
②labo
③self rising flower
④for never end
⑤hollowgallow
⑥perverse
⑦nicked lake
⑧the place to go
⑨slan
⑩il faut continuer
⑪traffic
⑫eva