1949年のデビューから2015年に他界するまで、膨大な数の録音を残したB.B.キング。その長い活動歴を通して、ロック世代を含んだ後進への桁はずれの影響力、またブルースという音楽を広く世に広めた貢献度は計り知れない。狭義のブルースの枠を飛び出して、ジャズやロックなど様々な音楽を演奏してきたB.B.だが、ここでは“これぞB.B.!”というギター・プレイが存分に堪能できる名演を15曲選んでみた。B.B.のブルース・パワーを存分に浴びてほしい。
文:久保木靖
B.B.印のギター・プレイをとことん堪能する15曲
“これぞB.B.キング!”というギター・プレイが存分に堪能できる名演
冒頭の3曲(「Sweet Little Angel」〜「It’s My Own Fault」〜「How Blue Can You Get?」)はB.B.を語る上で絶対にはずせないスロー・ブルースで、屈指の名ライブ盤『Live At The Regal』(1965年)からそのまま抜き出した。この曲の並び、どこかで見たことないだろうか。そう、デュアン・オールマンが『An Anthology』(1972年)収録の「B.B. King Medley」で踏襲している。
続く「Rock Me Baby」(1964年)は、ジミ・ヘンドリックスやザ・ローリング・ストーンズ、ジョニー・ウィンターほか、ロック・サイドのカバー多数の名曲。「When My Heart Beats Like A Hammer」(1958年)では、後進のギタリストに流用されまくった黄金のオブリガートが登場する。
ゴージャスなホーン・セクションを従えた「I’ve Got Papers On You Baby」(1959年)でスウィンギーに歌い上げるソロをキメたかと思えば、実は「String Bean」(1958年)のようなストレートなジャズもお手のもの。さすが王者!
次の2曲はライブ盤『Blues Is King』(1967年)から。「Gamblers’ Blue」は第1期ジェフ・ベック・グループが「Blues Deluxe」と改変した曲のオリジナル。「Blind Love」では、ソロの途中、熱が入るあまり弦が切れる瞬間がとらえられている。「You Done Lost Your Good Thing Now」(1961年)は最初の約1分強がボーカルとギターのみで進行するという痺れる展開!
「Blues For Me」(1961年)と「King Of Guitar」(1961年)は共にインストゥルメンタル。前者はジャジィな面をちらつかせながらグイグイと弾き倒していくR&B調で、後者は天下一品のチョーキング・ニュアンスを前面に出したスロー・ブルースだ。
エルモア・スタイルのイントロから始まる「Whole Lot Of Lovin’」(1960年)はパワフルなプレイが全開で、ヤードバーズ時代のジェフ・ベックがプレイした「The Nazz Are Blue」の元ネタ。「The Thrill Is Gone」(1969年)はキャリア最大のヒット曲となったマイナー・ブルース。「Lucille」(1968年)は愛器“ルシール”への思いを切々と語りながら、そのルシールにも存分に語らせるという、なんとも微笑ましい曲だ。