『東部遊歩道異常なし』
ザ・リバティーンズ
多彩なサウンドと同時に誇示した至高なる英国ロックンロールの爆発
9年ぶり4作目、コロナ禍以前から取り組んでいたという新作がついに到着した。
クラッシュの名盤『Sandinista!』のような多彩なサウンドをまとめた作品になるという前情報があったが、たしかにレゲエ調の曲や、室内楽的で戦前ジャズのムード溢れるマイナー・ソング、チャイコフスキーの「白鳥の湖」を引用したシネマティックな歌曲など表情豊か。
だが言いたいのは、今作はもう、爆発力をはらんだ最高のブリティッシュ・ロックンロールである。①や⑩の縦ノリでガンガンとギターで畳みかけるカッコよさにただただ歓喜した。
カール・バラーによる⑩の性急なクランチ・ソロは、とびきりにロックンロールでありつつどこか英国の気品を感じさせる。こういう演奏に惹かれて、人はギターを弾いてみたくなるものではないだろうか。
全体的に歌のメロディがとてもキャッチーで楽曲も粒揃いだし、2024年の名作ロック・アルバムの1つに早くも名乗り出るべき作品。
(山本諒)
【曲目】
①ラン・ラン・ラン
②マスタングス
③アイ・ハヴ・ア・フレンド
④メリー・オールド・イングランド
⑤マン・ウィズ・ザ・メロディ
⑥オー・シット
⑦ナイト・オブ・ザ・ハンター
⑧バロンズ・クロウ
⑨シヴァー
⑩ビー・ヤング
⑪ソングス・ゼイ・ネヴァー・プレイ・オン・ザ・レディオ
⑫ザ・ラスト・フィールグッド・ソング・オブ・サマー(ボーナス・トラック)