豪快でファンキーな持ち味のアルバート・キング。無骨とも言えるギター・プレイゆえ、ブルース界はもちろんのこと、ロック・フィールドへ与えたインパクトも大きかった。ありきたりのブルースではない、個性的なメロディやリフを持つ曲が多かったことも様々なカバー・バージョンを生んだ要因であろう。時代の流れに沿うようにソウルやファンクへも対応していったが、アルバートのプレイ・スタイルは“頑固一徹”に終始。そんな究極の15曲を堪能あれ!
文=久保木靖
アルバートの“頑固一徹”なプレイが吠える名曲15選
【プレイリスト収録曲】
①「Let’s Have A Natural Ball」
②「Don’t Throw Your Love On Me So Strong」
③「Oh, Pretty Woman」
④「The Hunter」
⑤「As The Years Go Passing By」
⑥「Personal Manager」
⑦「Blues Power」
⑧「Born Under A Bad Sign」
⑨「You Don’t Love Me」
⑩「I’ll Play The Blues For You」
⑪「That’s What The Blues Is All About」
⑫「Cold Sweat」
⑬「Sweet Fingers」
⑭「Don’t Lie To Me」
⑮「Oh, Pretty Woman」
ロックから愛された名曲と、シンプルなギターが吠える15曲
①「Let’s Have A Natural Ball」と②「Don’t Throw Your Love On Me So Strong」はスクイーズ・チョーキング路線とアーバン・ブルース化が完成しつつあった『The Big Blues』(1963年)からで、後者はR&Bチャート14位となる最初のヒット曲だ。
ここからの4曲は『Born Under A Bad Sign』(1967年)から。③「Oh, Pretty Woman」はジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズが、④「The Hunter」はフリーが、それぞれ印象的なカバー・バージョンを録音した。⑤「As The Years Go Passing By」の歌メロは、エリック・クラプトンが「Layla」のリフの元ネタとして認めている。そして、シングル・ヒットした⑥「Personal Manager」のソロでは、大きな音程差のチョーキング技が激アツ!
⑦「Blues Power」(1968年)は、“ブルースとは何か”を語り、それ以上にギターが雄弁に吠える代表曲。引き出しは少ないはずなのに、変幻自在のチョーキングによってとんでもない説得力を見せる。続く⑧「Born Under A Bad Sign」もクリームやポール・バターフィールド・ブルース・バンドらにカバーされた名曲で、ここでは『Wednesday Night In San Francisco』(1990年)からのバージョンを。
スタンダード⑨「You Don’t Love Me」(1969年)はブラス・セクションとのコール&レスポンスを活かしたインスト。⑩「I’ll Play The Blues For You」(1972年)はB.B.の「Thrill Is Gone」を意識したようなマイナー・ブルース。軽快なファンク・ブルース⑪「That’s What The Blues Is All About」(1974年)はStax期最大のヒット曲だ。
続く2曲は『Funky London』(1994年)から。ファンクと言えば、ジェームス・ブラウンをインスト・カバーした⑫「Cold Sweat」が極めつけ。うねるリズムに乗ってとことん弾き倒す姿はあっぱれ! 一方の⑬「Sweet Fingers」はメロウなソウル・インストで、いつもとやや違ったオシャレなギター・プレイだ。
⑭「Don’t Lie To Me」はスティーヴィー・レイ・ヴォーンとのセッションから。最後の⑮「Oh, Pretty Woman」はゲイリー・ムーアのブルース作『Still Got The Blues』(1990年)に参加したバージョンで、ボーカルはムーア。