2026年3月26日(木)新宿LOFTにて、ギター・マガジン主催のライブ・イベント『TIME TO FUZZ Vol.2』が開催された。今回出演したのはストレイテナーとNELKE。2026年4月1日(水)にメジャー・デビューするなど飛ぶ鳥を落とす勢いのNELKEが、長い間憧れ続けていたストレイテナーにラブ・コールを送ったことで実現した2マン・ライブだ。大盛況となった当日の模様をレポートしよう。
文=森部真衣 ライブ撮影=西槇太一
爆発するようなギター・ソロが炸裂
NELKEのパワフルなパフォーマンス
ギター・マガジン主催のライブ・イベント『TIME TO FUZZ Vol.2』が、2026年3月26日(木)新宿LOFTにて開催された。今回は、ストレイテナーとNELKEの2組が出演。
NELKEの伊藤雅景(g)はかねてからストレイテナーのファンを公言しており、以前ギター・マガジンWEBで行なった大山純(g)との対談インタビューでも、“ストレイテナーとの対バンを目標にバンドをやってきた”と語っていた。今回のイベントは、世代を超えた念願の共演が実現した形となる。
先行はNELKE。バック・ライトが差し込む中SEが流れ、メンバーが1人ずつ登場。最後にRIRIKO(vo,g)が現われ、1曲目の「ロリポップサイダー」がスタートした。冒頭のアカペラからRIRIKOの歌唱力が遺憾なく発揮され、オープニングから思わず息をのんだ。
すぐに会場を温めると、疾走感溢れるギターから始まる「燻る」へと続く。この日の伊藤の使用ギターは、Red House Guitarsのカスタム・モデル。丸みがありつつモダンなトーンが、楽曲の洗練された雰囲気をさらに引き立てていた。ボーカルの裏で奏でられるオブリガートは一見軽やかに弾いているように見えたが、テクニカルなフレーズが多く盛り込まれており、伊藤の手腕が随所で光る。
ここから、「花図鑑」へと展開。伊藤が踏み台に乗り、温かみのある骨太な歪みとチョーキングを取り入れたロング・ギター・ソロを披露し、ギター・ヒーローとしての姿を体現していた。
「裂いて」では、スタンドに設置されたアコースティック・ギターを伊藤が局所的に使用していた。ボーカルの裏で艶やかに聴かせるフレーズが楽曲に華を添えるが、そこに突如、爆発するようなエレキ・ギターの高速ストロークが炸裂。背後では、鍵盤を手当たり次第に叩きつけるように弾くちゃんしお(k)がストロボに照らされ、鳥肌モノの光景だった。

この日のセットリストを考えたのは、MCで“ストレイテナーはオレが宇宙一好きなバンド”と話した伊藤だったそう。“小学5年生の時に初めてストレイテナーの「BIRTHDAY」を聴き、憧れてギターを弾いてきた”というエピソードも語られ、会場からは祝福の歓声が送られた。
ライブ中盤では、ストレイテナーの「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」のカバーを披露。トレブルを強調した激しく暴れるようなギターが楽曲の持つシリアスな質感を増幅させており、“自分たちの表現”を明確に提示していたのが印象的だった。NELKEの持ち味であるパワフルさを加えつつ、本家へのリスペクトを強く感じさせる演奏となった。
その後も、キャッチーなメロディ・ラインが耳に残る「バイバイアクター」、カッティング・リフが特徴的な「ステレオタイプヒロイック」、キーボードとギターの勢いに圧倒される「カレンデュラ」へと続く。特に「ステレオタイプヒロイック」のラスサビ前に差し込まれた、“キーンッ”とペグとナットの間をはじく箇所では、同時にアーミングでピッチを変えつつ、楽曲のキメとして機能させている。ライブで原曲どおり再現しようとすると不安定になりそうなものだが完璧にキマっており、ライブにおける演奏精度を緻密に追求した部分が垣間見えた。
NELKEのラスト曲は「Incarnation」。ギターとスネアの刻みが淡々と、しかし前進するように紡がれ、楽曲全体を引っ張っていく。楽曲の終盤には観客の合唱が会場を包み、心地よい一体感の中で幕を閉じた。確かな演奏技術に裏打ちされた、生き生きとしたエモーショナルなライブだった。
円熟した風格を漂わせる
ストレイテナーのステージ

後攻はストレイテナー。ギターとベースの最終的なセッティングが行なわれる中、ナカヤマシンペイ(d)がドラム椅子の上に立ち、スティックを刀に見立てて空を斬る仕草を見せる。出だしから笑みがこぼれるようなこの和やかさこそが、バンド結成から四半世紀近くをともにしてきた彼らならではの余裕とチーム感を象徴しているのかもしれない。
ライブの定番曲「Melodic Storm」でスタートすると、大山純(g)に煽られるように観客の手が上がる。アウトロの“BLOW! THE MELODIC STORM”では合唱が起こり、序盤から一気に会場の熱量を引き上げていく。
続いて、ギター・リフが印象的な「叫ぶ星」、ワウ・ペダルを駆使した大山の迫力あるギター・ソロが光る「Ark」へと展開。この日の大山は、以前からメインで愛用しているFreedom Custom Guitar ResearchのJMタイプを使用。ホリエアツシ(vo,g)のSGスタンダードと、大山のギターが織りなす濡れ感のあるアルペジオ、そしてコーラス・エフェクトを効かせたベースの音が重なり、まるで水の中にいるかのような音の層を作り出し、幻想的な雰囲気を醸し出す。
MCではホリエアツシが“NELKEのギター、雅景が宇宙一好きなバンドです”とユーモアたっぷりにバンドの紹介をし、観客の笑いを誘う。“1人でもオレたちのことを「宇宙一好き」と言ってくれる人がいて幸せです”と、謙虚な言葉で会場を和ませた。

その後は、2025年10月にリリースされたEPの表題曲「Next Chapter」に続き、「月に読む手紙」、「DONKEY BOOGIE DODO」と連続で披露。大山は曲中でギター本体のボリュームやトーン・ノブ類をたびたび操作しており、ボーカルの裏で弾くクリーン・トーンや、サビでのコード・ストロークなどの場面ごとに細やかなサウンドメイクを施していた。
ライブの中盤ではヘヴィでコシのあるギター・サウンドが響く「My Rainy Valentine」、「宇宙の夜 二人の朝」と続く。「メタセコイアと月」では、テレキャスターに持ち替えたホリエによるクランチ・サウンドと、幽玄な轟音を鳴らす大山の対比が鮮やかだった。楽曲の終盤に向かうにつれ、その音圧はさらに激しさを増し、圧倒的なギター・サウンドにただただ呆然と聴き入るばかりだった。
ライブの後半では、近年の人気曲「COME and GO」も披露。流れるようなスライド奏法を取り入れたイントロで、会場が青春のような爽やかな雰囲気に切り替わったようだった。新宿LOFTという中規模のライブハウスだからこその“バンドと同じ空間を共有している”感覚を、この日一番に感じられた。
ラストは、ホリエと大山が向き合うようにして始まった「シーグラス」で締めくくられた。演奏後には4人が肩を組み、笑顔で深々と一礼。そのままステージを後にするかと思いきや、大山による派手なギター・ソロが鳴り響き、会場に余韻を残した。貫禄と包容力に満ちたパフォーマンスで、終始観客を惹きつけ続けたライブだった。
ストレイテナー × NELKE
世代を超えた夢の共演
1998年結成のベテラン・バンドであるストレイテナーと、今勢いのあるニュー・カマーNELKEの2組のライブを1度に堪能できた貴重なイベント。両者とも充足感に満ちた温かいステージを見せてくれた。
今回の『TIME TO FUZZ Vol.2』で、ストレイテナーのホリエアツシと大山純、NELKEのRIRIKOと伊藤雅景が使用したライブ機材は、後日ギタマガWEBの有料会員限定記事にて公開予定。引き続きチェックを!

Guitar magazine Presents TIME TO FUZZ Vol.2@新宿LOFT
NELKE
【Setlist】
01. ロリポップサイダー
02. 燻る
03. 花図鑑
04. punk town
05. 裂いて
06. SAD AND BEAUTIFUL WORLD(cover)
07. バイバイアクター
08. ステレオタイプヒロイック
09. カレンデュラ
10. Incarnation
ストレイテナー
【Setlist】
01. Melodic Storm
02. 叫ぶ星
03. Ark
04. Next Chapter
05. 月に読む手紙
06. DONKEY BOOGIE DODO
07. My Rainy Valentine
08. 宇宙の夜 二人の朝
09. メタセコイアと月
10. Skeletonize!
11. BIRTHDAY
12. COME and GO
13. シーグラス


















