
文=山本彦太郎
初期衝動を経験で進化させた、新たな旅路
2003年の1stデモ表題曲⑥、2006年の1stアルバムからの①④⑤⑦、2010年の2nd作からの②③⑧⑩を再レコーディングした作品。インストの⑨は1st収録曲の発展かと思うが、完全に別作品となっている。古くからのファンなら、思い入れもあって各曲のアレンジに賛否があるだろうが、現代的なヘヴィネスを導入した⑦などは、曲やリフの持つ魅力の再発見として良い試みだと思う。初代ボーカルKentaroをフィーチャーした④もうれしいトピックだろう。ひとつ気になったのは曲順で、クリーン・トーン系リフから始まる③④⑤のつながりなどは、再録集とはいえアルバムとして聴いた時にちょっとした違和感があった。逆に⑦以降の流れなどは、メロディでも勝負できる彼らならではの魅力が凝縮されていて文句なしなのだが。ともあれ、前作でアメリカ進出を果たした今、絶好の名刺代わりとなる作品だ。