いにしえよりギター初心者にとっての難関とされている“F”コード。1本の指で複数の弦を押さえなくてはならないバレー・コードは、ギタリストの前に立ちはだかる最初の壁。このFを押さえられず、ギターをやめてしまう人もいるとかいないとか……。そんな悲しい選択をする前に、一度本記事を読んでみてほしい。Fの攻略方法と練習方法を伝授しよう。
写真/文=福崎敬太 図版作成=石沢功治
誰でも絶対押さえられるし、
“ちゃんとしたF”なんて
押さえなくても音楽はできる!
まずひとつ断言します。Fコードは誰でも押さえられます。なので、諦めることなくチャレンジを続けてみて下さい! ちなみに、Fの簡単な形もありますし、人差指でセーハ(複数の弦を押さえる)する“ちゃんとしたF”なんて押さえなくても音楽はできます(本記事最後に紹介)。しかし、この“ちゃんとしたFコード”を押さえられるようになると、同じ指の形で指板上を2フレット分上に移動するだけでGに、4フレット分上に移動するだけでAになるように、さまざまなコードを同時に習得したことになります。そんな“費用対効果(?)”バツグンのコードなので、諦める前にもう少しだけ頑張って自分のものにしてみましょう!
これがFコードだ!
ポイント1:Fの形を頭と手に覚えさせる
まずは音がうまく出ない状態でも構いません。Fコードの形を頭と手に覚えさせましょう。コードFの形は前述のとおり。これを実際に押さえてみて、指板上で自分の指がどういう状態になるのかを視覚的に覚えておくこと。
次に“手に覚えさせる”ために、Fコードの形を作った左手をパーにして離し、再度Fコードの形にしては離す、ということをくり返してみて下さい(下写真参照)。押弦した時はピッキングをして音を鳴らしてみましょう(最初はうまく鳴らせなくてもOK)。これを1回3分くらい、数日間続けてみると、Fの形を手が覚えると同時に、コード・チェンジもスムーズにいくようになるはずです。この時、まだちゃんと音が出なくても、OKです!
ポイント2:人差指の「腹」ではなく「側面」で押さえる
続いては、しっかりと各弦の音を出すためのポイントです。Fにつまづく初心者の多くは、複数の弦を押さえる人差指でのセーハが難しいことでお悩みでしょう。当たり前ですが、人の指には関節があり、指の「腹」にはその関節部分に若干の窪みがあります。そのため、人差指上のどのポイントでもしっかりと押弦できるよう、指の「側面」を使って押さえるように意識しましょう(下写真参照)。
また、人差指が押弦を担っているのは1弦、2弦、6弦”の3本だけで、必ずしも6本すべてをしっかりと押さえる必要はありません。3〜5弦を無視すれば、力の入れ方も変わってくるはず。
ポイント3:親指でネックのうしろ側を支える
さて、Fを押さえている時、あなたの親指はどのような形になっていますか? Cコードからのコード・チェンジをした際、そのままネックを握るように親指が指板側に出ていませんか? そうなっている場合、無駄な力が入ってしまうのと同時に、支点が弱く押弦する指の力がうまく弦に伝わっていません。そのため下写真のように、親指はネックの裏に置いて、押弦する指の補助をしてあげましょう。ポイントは“脱力して、押弦する力を効率的に弦に伝える”ということです。
ポイント4:人差指以外はしっかりと指を立てて押さえる
人差指のセーハばかりに気を取られ、ほかの指がおろそかになっているあなた! 5弦を押さえる薬指、4弦を押さえる小指、3弦を押さえる中指も注意が必要です。指が寝てしまっている状態だと、ほかの弦をミュートしてしまううえ、指先の「点」ではなく「面」で押さえているため、無駄な力が加わっているはずです。ほかの弦をミュートしないよう指を立てて正確に「点」で押さえ、美しい発音を目指しましょう。
番外編:簡単なFコードの押さえ方
最後に、“こんな練習している暇なんてない! 今すぐ弾きたいFコードが使われている曲があるんだ!”という方のために、簡単なコードFの押さえ方を伝授しましょう。
まずは、6弦を親指で押さえることで、人差指セーハという難関を回避したバージョン(下図)。これは簡単に押さえられるほか、CからFに変わる時など、指移動の動作が小さくなるため、クイックなコード・チェンジが可能という利点があります。もちろん、プロ・ギタリストでもこの形で押さえている人はたくさんいます。
また、コードFというのは、ファ・ラ・ドの3つの音が鳴っていればOKなので、下図のような形でも立派なFコードになります。プロ・ギタリストでも、ほかの楽器とのアンサンブルを考え、あえてこの簡単なFを選択することもあります。簡単ではありますが、Fコードのバリエーションとして、今のうちに覚えておくと良いでしょう。
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