“愛”をテーマにした11枚目のアルバム『I Love You』をリリースしたフジファブリック。JUJU、幾田りら、秦 基博といった豪華なゲスト・ボーカルを鮮やかに彩るバンドのポップ・センスが光る一方、ハネまくるカッティング・ギターやメロウなソロを取り入れた楽曲が並んでおり、ギタリスト・山内総一郎のファンク・プレイを存分に堪能できるバラエティ豊かな1枚となっている。今回は山内の使用機材やサウンドメイクから『I Love You』に込められたこだわりを深堀りすべく、インタビューを行なった。本記事では、レコーディングで使用したギターとアンプ、そしてライブ用のペダルボードを紹介しよう。マニアックな機材トークは、先日公開したインタビュー記事にてお楽しみ下さい!
取材・文=小林弘昂 機材写真=星野俊 人物写真=nishinaga “saicho” isao
Guitars
Amplifier
Pedalboard
こだわりを凝縮した
オンリーワン・ペダルボード

②FREE THE TONE / FC-373(ルーティング・コントローラー)
③VOX / Clyde McCoy Signature(ワウ)
④Musitronics / Mu-Tron Ⅲ(オート・ワウ)
⑤Wampler Pedals / Ego Compressor(コンプレッサー)
⑥Klon / Centaur Gold Long Tail Ver.(オーバードライブ)
⑦Pete Cornish / G-2/P-2(ディストーション/ファズ)
⑧Sola Sound / Tone Bender MKⅢ(ファズ)
⑨Musitronics / Phasor Ⅱ(フェイザー)
⑩strymon / FLINT(リバーブ/トレモロ)
⑪TC Electronic / Alter Ego V2 Vintage Echo(デジタル・ディレイ)
⑫Sonic Research / ST-200(チューナー)
⑬Providence / PAE-101P(パワーサプライ)
⑭Musitronics / PS-1(Mu-Tron Ⅲ用パワーサプライ)
今年1月に完成したばかりの②スイッチャーを中心にしたペダルボード。なんと②は2年の歳月をかけてFREE THE TONEで製作されたもので、10のエフェクト・ループに加え、2系統のアウトプットを搭載。出力先をA/Bで切り替えられるほか、それぞれにブースターが搭載されており、Super ReverbのNORMAL ch.とVIBRATO ch.で適切なブースト量を決めることができる。
ギターからの接続順は①ジャンクション・ボックスを通り、②スイッチャーへ。スイッチャーからは2系統のアウトが出ており、片方はSuper ReverbのNORMAL ch.へ、もう片方はVIBRATO ch.へ接続される。
スイッチャーの各ループには、
Loop 1=③Clyde McCoy Signature
Loop 2=④Mu-Tron Ⅲ
Loop 3=⑤Ego Compressor
Loop 4=⑥Centaur
Loop 5=⑦G-2/P-2
Loop 6=⑧Tone Bender MKⅢ
Loop 7=⑨Phasor Ⅱ
Loop 8=⑩FLINT
Loop 9は未接続
Loop 10=⑪Alter Ego V2
が接続されている。
基本のサウンドはSuper Reverbで作っており、歪ませる際は⑥Centaurを、“ここぞ!”というソロでは⑧Tone Bender MKⅢを使用。Pete Cornish製の⑦はカスタム・メイドの1台で、同社製のG-2とP-2がまとめられた2 in 1ペダル。写真だとG-2のSustainツマミが10時方向まで上がっているが、これは先日、マカロニえんぴつの“はっとり”(vo,g)とUNICORN「ヒゲとボイン」を演奏した際のセッティング。“フェンダー・アンプでテッシー(手島いさむ)さんみたいな音が出したくて(笑)”と語っていた。そのほか、「若者のすべて」のソロもG-2で弾いている。P-2は⑧Tone Bender MKⅢとキャラが被っているため、ほとんど使用しないそうだ。以前、ファズはTriangle Big MuffやRam’s Headなどを使用していたが、インピーダンスの関係でスイッチャーのループに入れると音が変わってしまい、悩んでいたとのこと。しかし、⑧だけはスイッチャーを通してもカッコ良い音がするそうだ。
⑤Ego Compressorはスライド・プレイの際や、Jelly Jonesのエレクトリック・シタール、12弦ギターを使用する際にオン。“ノスタルジックな響きにしたい時にコンプを使っていますね。これは原音を混ぜることもできるんですけど、それがあんまり嘘臭くない”とのこと。
④Mu-Tron Ⅲと⑨Phasor Ⅱは長年ボードに組み込まれている2台で、“癖のある音が好き”だそう。④は「SHINY DAY」でも使われたほか、「星降る夜になったら」や「LIFE」などでオンに。⑪Alter Ego V2はスラップバック・ディレイとしてセッティング。
山内はこのペダルボードについて、“ギターのオイシイところを出してくれるペダルと、変な音を出すペダルが分かれてる感じですよね。もっと変なボードにしたいな……このボードは実用的すぎる(笑)!”とコメントしてくれた。