佐々木亮介&アオキテツ(a flood of circle)骨太なロック・サウンドを生み出す愛用機材 佐々木亮介&アオキテツ(a flood of circle)骨太なロック・サウンドを生み出す愛用機材

佐々木亮介&アオキテツ(a flood of circle)
骨太なロック・サウンドを生み出す愛用機材

15周年記念アルバム『GIFT ROCKS』をリリースしたa flood of circle。バンドの顔である佐々木亮介、そして2018年に正式加入したギタリスト=アオキテツの2人による無骨でストレートに響くロック・サウンドは、どんな機材から生み出されているのか。最新作でも使用された、ステージのメイン・ギアを紹介しよう。

文=福崎敬太 写真=小原啓樹

『GIFT ROCKS』での使用機材は?

『GIFT ROCKS』での使用機材についても聞かせて下さい。ギターは何が登場しましたか?

アオキ 俺は基本的にはレス・ポール・カスタムで、「BLACK BANANA」ではP-90の1990年代製レス・ポール・スペシャルを使いましたね。あとは「I’M ALIVE」のストラトキャスター。「星屑のレコード」で使ったES-335は、ガンメタル・グレイのストップ・テイルピース仕様ですね。L’s TRUSTで作ってもらったTLタイプも「コバルトブルー」のリフで弾きました。

佐々木 俺は今日持ってきたグレッチ2本(G7593 Black Falcon&G6139T-CBDC Falcon/下記参照)。「BLACK BANANA」とか「メリールー」のアコギはゼマイティスです。

アンプは?

佐々木 バッドキャットのHot Cat 30Rですね。あとは卓に突っ込んで録るみたいなこともやりました。

アオキ 俺もマーシャルの1959SLPがメインですね。あとはJMP 2203も持っているので、それを「コバルトブルー」で使ってます。

ペダル類は使いましたか?

佐々木 俺はもうゼロなんですよ。すみません、話があんま盛り上がらない(笑)。

アオキ 俺はワウとブースター、アナログ・ディレイくらいですね。

「LADY LUCK」のフェイザーは?

佐々木 あれはあと掛けですね。

Ryosuke Sasaki’s Gear

Gretsch G7593 Black Falcon

佐々木が『GIFT ROCKS』でもメインで使った愛器が、このグレッチG7593 Black Falcon。正確なピッチを求めてブリッジをチューン・オー・マティックに変更したほか、ビグスビー・テイルピースでの弦交換を容易にしてくれるビブラメイト製Spoilarを装備している。このSpoilarは“グレッチを使っている人、全員に薦めている”とのこと。コントロール・ノブは“取れちゃった”そうで、演奏中も頻繁に操作するが修理はせずそのまま使用。バインディングやエスカッションの経年劣化やアームの先端の欠損なども放置しているが、AFOCの無骨なスタンスにはマッチしているように思う。G6139T-CBDCと比べるとサウンドは“重く、スピードが遅い”そうだ。

Gretsch G6139T-CBDC Falcon

2013年、ルースターズ大江慎也のバースデー・ライブ直前に購入したという、グレッチG6139T-CBDC Falcon。当時は正規ギタリスト不在で佐々木がリード・ギターを担うことが多かったため、“ソロが取れるギターが欲しくて”本器を選んだそうだ。センター・ブロックを有するセミアコならではのシャープさと、ダブル・カッタウェイによるハイ・ポジションへのアクセス性はリード・ギターにも向いているのだろう。改造ポイントはBlack Falconと同様だが、最大の特徴はボディに描かれた奈良美智によるイラスト。かなり薄くなってきているが、“奈良さんに会うと「消えたらまた描くから」って言ってくれるんです。なので変にラミネートもしないし今後も使っていく”と語ってくれた。

BadCat Hot Cat 30R

メイン・アンプはBadCatのクラスAチューブ・アンプ=Hot Cat 30R(2013年モデル)と1×12 Ext Cabinet。“1台だとパンパンに詰まって音が前にいかない感じがあって、2台に振り分けたほうが余裕がある”とライブ時のみキャビネットを追加。レコーディング時はHot Cat 30Rのみで録っているそうだ。“ギターと一緒で「顔」が気に入って買っちゃったんですよね”とかなりお気に入りの様子。ギターごとにセッティングは異なり、メインの設定は歪みチャンネルでGAIN=9時、LEVEL=3時、BASS=10時、MID=8時、TREBLE=11時、CUT=2時。

Tetsu Aoki’s Gear

1973 Gibson Les Paul Custom

この1973年製レス・ポール・カスタムはアオキテツが初めて手に入れたギブソン製ギターで不動のメイン器。改造点はリフレットしているほか、デルリン製ナットへの変更、ペグをワッフルバックからブラス製のクルーソン・ペグに交換。そしてピックアップは、オリジナルより少し抵抗の高いステッカー・ナンバード(PAF)に変更、ピックアップ・カバーはあとから付けている。使い方のポイントとしては、“95%はリア・ピックアップ”を選択、クリーン・トーンでのカッティングなどでフロントを使うのが残りの5%。“ボリュームやトーンはめちゃくちゃイジりますね”と語っており、手もとで歪み具合や音色を感覚的にコントロールしているようだ。もちろん『GIFT ROCKS』でもメインで活躍。

1996 Gibson Les Paul Custom

サブとしてステージに控えている1996年製レス・ポール・カスタムは、メイン器トラブル以外では使用しない。サウンド的にはメイン器と比べて重心が低めに寄っているそうだ。ボディとネック以外はほとんどオリジナル・パーツは残っておらず、ピックアップを’57 Classic(フロント)と同Plus(リア)に変更、フレットをジム・ダンロップ6105に、ブリッジをABR-1に、ペグをゴトーのロッキング・チューナーに交換している。ツマミをバレル・タイプからソンブレロ・ノブへ変更しているのもこだわりのポイントだ。“スタンダードを弾かせてもらった時に「めちゃくちゃ軽いな」って思ったんです。でも、やっぱりダイヤモンド・インレイが好きなんですよ”とカスタム愛を聞かせてくれた。

Marshall 1959SLP

アオキテツのメイン・アンプはマーシャルの1959SLP。キャビネットには1960B HWを組み合わせている。イコライジングはTREBLE=0、MIDDLEとBASS=10とかなり極端だが、その理由として“自分のピッキング的に高域は出るけど低音が出なくて、周りからも「もっとローをくれ」って言われるんです”と教えてくれた。ポスト・フェイズ・インバーター方式のマスター・ボリュームをPRESENCEコントロール部と背面に1つずつ増設。足下に置いたBOSS/FS-5Lで2つのマスター・ボリュームを切り替えている。新作ではマーシャルJMP 2203も使ったそうだ。

Pedalboard

①Sonic Research/ST-300(チューナー)
②Electro-Harmonix/NanoPOG(オクターバー)
③idea sound product/IDEA-TSX(オーバードライブ)
④ANALOG.MAN/ARDX20(ディレイ)
⑤Jim Dunlop/SU95(ワウ)
⑥Truetone/1SPOT PRO(パワー・サプライ)
⑦BOSS/FS-5L(フットスイッチ)

ペダルのチョイスにこだわりを感じるアオキテツのペダルボード。“エフェクターは塩胡椒程度”と語るとおり基本的なサウンドはアンプ側で作っており、必要な時にだけボードを操作する。①〜⑤を直列接続とシンプルで、歪みはTS系の③のみ。ワウが生形真一シグネチャー・モデルというのも気になるところだ。フットスイッチ⑦はアンプの項でも解説したとおりマスター・ボリュームの切り替えで、ソロなどで踏む。

作品データ

『GIFT ROCKS』
a flood of circle

テイチクエンタテインメント/TECI-1740/2020年8月11日リリース

―Track List―

01. まだ世界は君のもの
02. LADY LUCK
03. I’M ALIVE
04. 星屑のレコード
05. 夕暮れのフランツ 凋まない風船
06. WINDOW開ける
07. メリールー
08. BLACK BANANA
09. コバルトブルー
10. About A Rock’N’Roll Band

―Guitarists―

佐々木亮介、アオキテツ