折坂悠太（重奏）のメンバーとして、多様なアプローチで楽曲を彩る山内弘太。ここでは彼が折坂のツアーのために用意したセットを紹介していこう。実験的なサウンドを生み出す山内の使用機材は必見！！
文＝福崎敬太 撮影＝西槇太一
Yamauchi’s Live Gear
Greco
1979 SV-800N
父が所有していたグレコのSV-800Nは、山内が初めて触れたギターであり、現在のメイン器。1978〜79年の短期間製造されたモデルで、ホワイト・シカモア・ボディにメイプル・ネックという材構成。ES-335よりも小ぶりで、これにしかない独特の味わいがお気に入りだそう。
山内の手に渡った当時はブラス・ナットだったが、牛骨製に変更しているほか、リア側のトーン・ノブが破損してしまったため、似たタイプのスピード・ノブに交換している。こういったギターのメインテナンスは、京都の岩城弦楽器工房で行なっているそうだ。
また、『心理』の録音では、本器のほかにギブソンSONEX-180 Deluxeも登場した。ほかにもライブなどでは、配線系の修理でお世話になっているというRivertone Instrumentsによる自作ギターも使うとのこと。
Fender
Blues Deluxe
山内のメイン・アンプはフェンダーのBlues Deluxe。12インチ・スピーカー1発の40Wチューブ・アンプで、セッティングは会場や環境などによって細かく調整している。撮影時は改造点はなかったが、アッテネーターの搭載とスピーカーの交換を予定しているとのこと。それらも含め、アンプやペダルの修理、改造などは京都の工房＝Helena Guitarにお願いしているそうだ。
Pedalboard
【Pedal List】
①OKKO／COCA COMP（コンプレッサー）
②Shin’s Music／Perfect Volume（ボリューム・ペダル）
③BOSS／DS-2（ディストーション）
④Analogman／King of Tone（オーバードライブ）
⑤Shur／Shiba Drive（オーバードライブ）
⑥Ferri Custom FX／FRUSrite（ファズ）
⑦strymon／TIMELINE（ディレイ）
⑧Electro-Harmonix／16 Second Digital Delay（ディレイ）
⑨Electro-Harmonix／Holiest Grail（リバーブ）
⑩TC Electronic／Ditto Looper X2（ルーパー）
⑪Roland／EV-5（エクスプレッション・ペダル）
⑫MXR／iso-brick（パワー・サプライ）
⑬宮益電気／savior（DCトリートメント・ボックス）
山内のライブ用ボードは2段構えで、ギターからの信号は下段のコンプレッサー①から⑩まで番号順に通過し、アンプへと送られる。エクスプレッション・ペダル⑪は⑨のリバーブ成分をコントロールするために設置。チューナーはリハ用にクリップ・タイプを用意しているが、ライブでは②のチューナー・アウトからBOSSのTU-12につないでいる。
各歪みペダルは、⑤をほぼクリーンの設定でマスター・ボリューム的に使用、④がリード時に、③は気分で踏む。さらにノイジーに歪ませる際はファズ⑥をオンにする。⑥はジョン・フルシアンテ好きのブラジルの個人ビルダーがジョン所有のFuzz riteを目指して作ったファズで、Instagramで限定製造の告知を見てオーダーしたそうだ。
マルチ・ディレイ⑦のモードは、基本的にデュアル・ディレイとデジタル・ディレイで使用し、「春」ではリバース・ディレイを選択する。
パワー・サプライ⑫とコンセントの間に、スイッチング電源の音質改善用アタッチメント⑬を挟んでいるのもポイントだそう。
手元に近いボードには、演奏に使う小物類も置かれている。バイオリンの弓は「鯨」のレコーディングでも使われたほか、ライブでは「光」や曲間の演出でも使用する。E-BOWは「心」での使用が、YouTubeで公開されたライブ・ビデオ中でも確認できる。
ほかにもレザー・パンチ（皮に穴を開けるための工具）やトライアングルのビーターなどが置いてあるが、弦を擦ったり叩いたりなど、自由な発想で使っている。
作品データ
『心理』
折坂悠太
ORISAKAYUTA/Less+ Project.／ORSK-016／2021年10月6日リリース
―Track List―
01. 爆発（ばくはつ）
02. 心（こころ）
03. トーチ
04. 悪魔（あくま）
05. nyunen
06. 春（はる）
07. 鯱（しゃち）
08. 荼毘（だび）
09. 炎 feat. Sam Gendel（ほのお）
10. 星屑（ほしくず）
11. kohei
12. 윤슬 (ユンスル) feat. イ・ラン
13. 鯨（くじら）
―Guitarists―
山内弘太、折坂悠太
