ESPのギター工場に潜入!【ギタリストの社会見学】 ESPのギター工場に潜入!【ギタリストの社会見学】

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ESPのギター工場に潜入!【ギタリストの社会見学】

国内最高峰のギター・ブランドの1つ、ESP。世界中のトップ・ギタリストから賞賛を浴び続けるその優れたギター作りの現場は、実はすべて埼玉県に集約されていた。知られざるESPギター工場へ、ついにギター・マガジンが潜入!

取材/文=編集部 撮影=小原啓樹
※本記事はギター・マガジン2022年6月号の特集『潜入! ESPのギター工場』を再編集したものです。

第二工場

まずはESP製品の木工・塗装などを担う第二工場へ

ESPのギター工場(埼玉県入間郡)は、それぞれ第一工場、第二工場と呼ばれる2つの建物に分かれていた。まず初めは、ESPとNAVIGATORの木工〜塗装までを手掛ける第二工場からレポートしていこう。

トビラを開けると、いきなりジェイムズ・ヘットフィールドのシグネチャー・モデル“SNAKEBYTE”のボディがお出迎え。高まる!

それでは潜入開始!

ジェイムズ・ヘットフィールド愛用“SNAKEBYTE”のボディ
1:第二工場の入り口には無塗装の木製ボディがずらり。これはカット見本と呼ばれ、各モデルの正しいシェイプを確認するもの。
2:板材から大まかなギターの形へと自動カットする巨大なNCルータ。各モデルのシェイプがあらかじめプログラミングされている。
3:みるみるうちに木の板がギターの形に。削っているのはアレキシ・ライホのシグネチャー・モデル。スルー・ネックだ。
4:全自動マシンでカットしたら終わり、ではない。細かく計測したり細部を整えたりと、むしろその後の工程のほうがはるかに長いのだ。
5:隣にはもう1台のNCルータが鎮座。こちらもデカい。第二工場の中はこの2台のNCルータがメインで稼働しているようだ。
6:こちらはSYUのシグネチャー7弦、SYUNAPPER-7。直前まで大村孝佳のシグネチャーがカットされていた。
7:手動の旋盤もバリバリ現役。自動運転はほんの一部なのだ。単なる木の板が手作業によってギターの形になっていくのに感動。
8:あ、アレキシ・モデルがこっちにも! サンディングという研磨作業で、高速回転するヤスリに木材を当ててなめらかにする。
9:手作業によるサンディング。削る箇所や作業段階などにより、ヤスリの粗さを変えて表面を磨く。これはフォレストだろうか?
10:最初の磨きを終えたら、検品ののちに下地塗りへ。その後はさらに研磨が行なわれる。本塗装はそのあとだ。
11:作業台の片隅には大量のフレットやロッドなどが。この選択肢の豊富さがシグネチャーやモダンな仕様に強いESPならでは。
12:入り口近くのドアをガララと開けると指板材のストック棚が現れる。写真はアレキシ・モデルのエボニー指板。
13:指板にフレットを1つ1つプレスする場面。繊細さが必要とされるため、見ての通りの手作業だ。機械でやってると思ってました?
14:フレット装着後の微調整。これも人の目で確認する地道な作業。いわゆるESPらしい高い演奏性はこうした積み重ねから生まれるのである。
15:お隣は研磨ブース。木工エリアで組まれたものをさら磨くのだ。下地塗り→研磨→本塗装→研磨と、とにかく磨きの工程は多い。
16:ECタイプのヘッド横を研磨している様子。この部屋にはバフ・マシンもあり、機械の研磨も行なわれていた。
17:第二工場の2階奥、普段はめったに見られない本塗装の作業ブースに潜入成功! ホライゾンをベースにした、カスタム・オーダー・カラーのようだ。すでに塗装済だったメタリック・パープルの上からゴールドが吹き付けられ、みるみるうちに写真のようなグラデーションが完成していく。
18:別室ではジェイムズ・ヘットフィールド・モデルのカモフラを塗装中だった。一色一色マスキングして塗るので迷彩は手間がかかる!
19:塗装済みのものがずらりと並んでいて、壮観な2階のフロア。ジョージ・リンチのシグネチャー・モデル“神風”を発見!
20:NavigatorのSUGIZOモデルもこの第二工場で作られている。塗装が乾いたら、第一工場へ運ばれて電装パーツの組み上げだ。
21:こちらは“磨き落とし”という、布に塗料を染み込ませる塗装方法。キルト・メイプルやバールなどの材に用いられることが多い。
22:第二工場の外観。ここで世界的ブランドのESPとNavigatorのほぼすべてのギターが作られていると思うと、何だか胸が熱くなる。
23:車で1分ほどのところには木材置き場があった。こちらはレギュラー・ライン用の倉庫で、オーダー用の希少材などは第一倉庫だ。

第一工場

続いて、電装系の組み込みなどを担う第一工場へ

お次は第一工場へGO。ここでは第二工場で塗装まで終えたものに、ピックアップやブリッジといったパーツを組み込むなど、完成までの工程を担っている。また、E-Ⅱの製作や海外から届いたエドワーズ/グラスルーツのパーツ組み上げ、パーツ類の倉庫、オーダー・モデルの製作などもこの第一工場の役割だ。この日の組み込み作業のメインはESPのカーク・ハメット・シグネチャーだった!

カーク・ハメットのシグネチャーがずらり。
1:2階のアッセンブリ・フロア。ESP/Navigator のエリアと、E-Ⅱやエドワーズのエリアに分かれていた。写真はE-ⅡのEC。
2:シールド・ジャックをハンダ付け中。トーン・ポッドやピックアップなどの電装パーツを製作したり管理するのもこのフロアだ。
3:ちなみにこの作業台も手作りなんだとか。1人につき1台あるようで、パーツ制作、組み込み、調整など、様々な工程に対応する。
4:カーク・ハメットのスパイダーを調整中。塗装済みで、あとは電装パーツを組むだけという状態だろうか。
5:第一工場の2階はこのアッセンブリ・フロアがほとんどを占める。ESPを始め全モデルの組み込み・調整がここで行なわれるのだ。
6:フロアの中央にあるパーツ置き場。EMGや7弦用ピックアップ、フロイド・ローズなどなど、いかにもな品揃えがESPならでは。
7:アッセンブリの奥へ進むと、研磨/バフがけの部屋に続く。この日はESPのシグネチャー・モデルの磨きを行なっていた。
8:またもやアレキシのシグネチャーが。塗装後の研磨作業中だ。この日はとにかく色んなフロアでアレキシ・モデルが作られていた。
9:ド派手なペイントがカッコいい、ジョージ・リンチのシグネチャー・モデル。バフ・マシンによる磨き中だ。
10:続いて3階へ移動。出荷前の製品倉庫のさらに奥へ進むと、また新たな研磨作業の部屋にたどりつく。ギター作りはとにかく磨きだ。
11:第一工場にもいくつか塗装ブースがある。この日は翼をモチーフにしたカスタム・オーダー・モデルの塗装が行なわれていた。
12:塗装済みのものを乾燥させるエリア。1点モノのカスタム・モデルばかりで、個性的なシェイプがたくさん並んでいた。
13:4部屋並んだ塗装ブースの一室。ポリ、ウレタン、メタリック、ラメ、クリア、下地、着色など、塗装の種類・段階によって部屋を分ける。
14:試し塗りのあと。どうやらメタリック・パープルの色合いを確認していたようだ。どのパターンに決まったのかな?
15:塗装ブースのエリアには大量の塗料が。これらを混ぜ合わせて、要望に合わせたオリジナルのカラーを作るのである。
16:第一工場の3階のほとんどを占めるのが、この倉庫。出荷前の製品が大量に置かれていた。ここから世界中へギターが届けられるのだ。
18:第一工場の1階は木工のエリアで、主にカスタム・オーダー品の加工を行なっているそう。この日はあいにく作業が終了していた。
17:第一工場の1階奥へ進むと、タブレットでイラストを描いている人を発見。雷神的なものだろうか? 聞けば、ESPの技術の真髄を集めたエキシビジョン・シリーズの、来年のアイディアを練っている段階なんだとか。ひょっとしたら2023年にはニュー雷神モデルがお目見えするかも?
19:デザイン通りに木をカットするためのボディ用アクリル・ガイド板。オーダーごとにこれを作るので、とても手間がかかっている!
20:こちらは各部ごとのアクリル・ガイド板。ピックアップのサイズごとにガイドがあったりと、こうした治具も手作りされている。
21:第一工場1階の木材倉庫。オーダー用の希少な木材などもこちらに保管されていて、お客さんが実際に木材を見ることもあるとか。
22:倉庫の中には染料を染み込ませた木材もあった。微妙な色合いの変化が美しい。こちらもかなりの量がストックされていた。
23:第一工場の外観。先の第二工場とは車で10分ほどの距離にある。事務所などもこの第一工場に併設されており、まさにESPの心臓部だ。

ギター・マガジン2022年6月号
『ジョン・フルシアンテ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)』

本記事はギター・マガジン2022年6月号にも掲載されています。本誌の特集は、ジョン・フルシアンテ復帰後のレッチリがリリースした最新アルバム『Unlimited Love』を徹底深堀り!! 作品についてジョンが語った最新インタビューも、国内独占掲載!!