おとぎ話の牛尾健太(g)の使用機材をご紹介。普段のライブで活躍しているお馴染みの機材に加え、新作『US』で使用したストラトキャスター&カスタム・テレキャスターも掲載。
取材・文=小林弘昂 機材写真=星野俊
Guitars
Recording Guitars
Amplifiers
Fender Blues Deluxe Reissue
&
Fender Hot Rod DeVille 212
Hot Rod DeVille 212を導入した最新セット
ライブでの牛尾のアンプは、40W出力で12インチ一発のBlues Deluxe(左)と、60W出力で12インチ二発のHot Rod DeVille 212(右)の2台をセット。どちらもクリーン・サウンドにセッティングし、2台同時に鳴らしている。もともとはフェンダー製Super Sonicのみでライブを行なっていたが、『REALIZE』リリース後にBlues Deluxeを導入して2台体制へ。その理由は“音に広がりを出すため”とのこと。1年ほど前からSuper Sonicと入れ替わる形でHot Rod Deville 212を使用している。
Blues Deluxeはインプット1を使用し、各ツマミはVOLUMEが2、DRIVEが0、TREBLEが5、BASSが4、MIDDLEが3過ぎ、REVERBが4、PRESENCEが2に設定されていた。VOLUMEは2.5まで上げるとクランチしてしまうため、その直前で止めているそう。また、奥行きを出すために本機のみリバーブをオンに。本機はバランスの良さが気に入っているそうだ。
Hot Rod DeVille 212はインプット2を使用。インプット1を使用すると音が大きすぎるとのこと。各ツマミはVOLUMEが2.5、DRIVEが0、TREBLEが5.5、BASSとMIDDLEが4、REVERBとPRESENCEが1(つまりゼロ)に設定されていた。音量はほとんど上げず、MASTERは1.5〜2くらいの間で調整するという。ミドルとローが出るため、どちらも控えめにセッティングしているのがポイント。“このアンプはSGとの兼ね合いが難しい。12インチ二発が良いのか、10インチ四発が良いのか、アンプの旅は続きますね……”と試行錯誤している様子だった。今作のレコーディングではスタジオに置いてあった’65 Deluxe Reverbをメインで使用したが、「ROLLING」などで本機も登場。
Pedalboard
16台直列の巨大ボード
①MXR / Dyna Comp(コンプレッサー)
②Xotic / EP Booster(ブースター)
③Ernie Ball / 6180 VP JR F-Sugar 25K Mod.(ボリューム・ペダル)
④Fulltone / CLYDE Standard Wah(ワウ)
⑤BOSS / VB-2W(ビブラート)
⑥BOSS / SD-1(オーバードライブ)
⑦J. Rockett Audio Designs / Archer Ikon(オーバードライブ)
⑧ProCo / RATⅡ LM308 ver.(ディストーション)
⑨Electro-Harmonix / Little Big Muff(ファズ)
⑩MXR / Micro Amp(ブースター)
⑪MXR / Phase 95(フェイザー)
⑫Demeter / Tremulator(トレモロ)
⑬Empress Effects / Vintage Modified Superdelay(ディレイ)
⑭Line 6 / DL4(ディレイ)
⑮BOSS / DD-6(ディレイ)
⑯strymon / buleSky(リバーブ)
⑰VITAL AUDIO / POWER CARRIER VA-08 Mk-Ⅱ(パワーサプライ)
⑱VITAL AUDIO / POWER CARRIER VA-08 Mk-Ⅱ(パワーサプライ)
⑲BOSS / TU-3(チューナー)
ギターからの接続順は①〜⑯の番号通りで、⑯blueSkyからBlues DeluxeとHot Rod Deville 212の2台のアンプへ分岐される。⑲TU-3は③6180 VP JRのチューナー・アウトに接続。
①Dyna Compは楽曲によってオン/オフを切り替える。今作のレコーディングでは「RINNE」で使用された。②EP Boosterはツマミをゼロに設定して常時オン。そうすることでレンジが狭まり、抜ける音になるそうだ。③6180 VP JRはもとは250Kのハイ・インピーダンス仕様だが、①Dyna Compのうしろにつないだ際にしっくりこず、F-Sugarにて25Kのロー・インピーダンス仕様に変更してもらったという。
④CLYDE Standard Wahはバッファ・スイッチをオフにして「HELP」や「BE STRONG」などで使用。⑤VB-2WはBYPASSモードに設定し、「HOMEWORK」のアルペジオなどで音を揺らしている。
⑥SD-1はメインの歪み。DRIVEツマミは曲によってゼロ〜10時の間で調整するが、8時くらいで使うことが多いそうだ。「VOICE」のレコーディングではDRIVEツマミを10時まで上げて使用した。⑦Archer Ikonは今作のレコーディングで最も活躍した1台。あまり歪ませず、アンプのクリーンを少しプッシュする用途で使用する。本機をメインで使用する楽曲では、⑥SD-1をゲイン・ブースターとして踏むこともあるそうだ。
⑧RATⅡはオペアンプにLM308が搭載されたUSA製の個体。ライブでは「GALAXY」などのハードに歪んだ楽曲でオンにする。歪みを足したい場合は⑥SD-1か⑦Archer Ikonのどちらかをゲイン・ブースター的に使用。今作のレコーディングでは「ESPERS」のチョーキング・フレーズで⑥SD-1を組み合わせてオンに。⑨Little Big Muffは、ライブでは「光の涙」の激しいソロや、「FALLING」などでもオンに。⑩Micro Ampは最近はあまり踏まないそうだが、歪んだソロやアルペジオなどで音量を上げるために使われる。
⑪Phase 95はPhase 90モードに設定し、「FALLING」や「綺麗」などでオンに。⑫Tremulatorは「BITTERSWEET」、「ROLLING」などで使用。
⑬Vintage Modified Superdelayは薄いショート・ディレイにセッティングし、ライブでもレコーディングでもほとんど踏みっぱなしにしている。そうすることで、コーラスのような立体感のあるサウンドになるそうだ。 各スイッチはfilterをlo、modulationをslow、mode specificをb、モードをtapeに選択している。ほかにもオクターブ・アップ・モード(rev)の音色もプリセットしており、「ピーターラビット」や「COSMOS」などで使用。⑭DL4のA chにはスラップバック・ディレイ、B chにはソロ用の薄いディレイ、C chには「綺麗」用のMULTI-HEADモードをプリセット。⑮DD-6はWARPモードに設定し、「REALIZE」などでアヴァンギャルドなサウンドを出したり、「COSMOS」のアルペジオでは⑬Vintage Modified Superdelayと同じくらいのディレイ・タイムに設定し、2台を組み合わせて浮遊感を演出する。
⑯blueSkyは、ライブではspringタイプ/normモードを組み合わせた薄いリバーブをオンにしていることが多いという。FAVORITEスイッチにはplateタイプ/modモードの組み合わせをプリセットしており、「BREATH」や「REALIZE」などでオンに。
Others
作品データ
『US』
おとぎ話
felicity / P-VINE RECORDS/PCD-27063/2022年6月22日リリース
―Track List―
01.FALLING
02.BITTERSWEET
03.DEAR
04.ROLLING
05.RINNE
06.VOICE
07.VIOLET
08.SCENE
09.VISION
10.ESPERS
―Guitarists―
有馬和樹、牛尾健太