1年ぶりとなる新作『不出来』をリリースしたtricot。ギター・マガジン2023年1月号ではキダ モティフォと中嶋イッキュウの2人のインタビューを掲載したが、ギタマガWEBではそれぞれの愛用機材をご紹介しよう。まずはフロントマンの中嶋イッキュウから。
文:小林弘昂 撮影:西槇太一
Guitars
1969 Fender
Stratocaster
キャンディ・アップル・レッドの69年製がメイン
イッキュウのメイン・ギターは、2020年に購入したキャンディ・アップル・レッドの69年製ストラトキャスター。複数本のビンテージ・ストラトを試奏した結果、“一番キュンとする音”の本器を選んだそうだ。
ピックガードに割れなどが生じていたため、購入後に新品の3プライへ交換。ポップな見た目とは裏腹に音が渋いため、そのギャップ萌えが最も気に入っているとのこと。
ライブでは本器のみを使用するが、今作のレコーディングでは腕の不調から最初からギターを弾かないと決めていたため登場せず。ピックアップ・ポジションはファズとの相性が良いセンターを選択している。使用弦はErnie BallのRegular Slinky #2221(.010~.046)。
今作のレコーディングでは「模造紙ヒデキちゃん」でのみギターを弾いており、Kanade SOUND DESIGNのKTM-AS-IKKYU EDITIONをドロップCチューニングにして使用した。
Amplifier
Bruce Zinky
Blue Velvet 25
7年間愛用するコンボ・アンプ
メイン・アンプは、ブルー・ベルベットの外装が特徴的なBruce Zinky。25W出力、12インチ1発のスピーカーを搭載したモデルだ。上京してすぐに購入したそうで、7年間も使用している1台。購入した理由は“小さくて、軽くて、かわいいから(笑)。あとコントロールがシンプルですぐに良い音が出せるので、凄くありがたい”とのこと。サウンドの印象は“渋い”そうだが、最近はもっとギャーンと鳴るアンプにも興味が出てきたそうだ。
使用するチャンネルはclean。クリーンの状態でもザラッとした質感になるという。boostスイッチは余計なローが出るということでcutに設定している。「模造紙ヒデキちゃん」のレコーディングでは本機を使用せず、以前から気になっていたMatchlessのDC-30をレンタルしたそうだ。
Pedalboard
【Pedal List】
①KORG / Pitchblack Advance(チューナー)
②Union Tube & Transistor / MORE(ブースター)
③Ryra / The Klone(オーバードライブ)
④One Control / Sea Turquoise Delay(ディレイ)
⑤Way Huge / Swollen Pickle MKⅡ(ファズ)
⑥VITAL AUDIO / POWER CARRIER VA-05 ADJ(パワーサプライ)
コンパクトにまとめられた足下。ギターからの接続順は①~⑤の番号順だ。②MOREと③The Kloneは常にかけっぱなしで、オフにすることはほとんどないという。テンションが上がった時に⑤Swollen Pickle MKⅡを踏み、楽曲によって④Sea Turquoise Delayを使う。
②MOREは“(川谷)絵音さんから「ビンテージ・ギターにオススメだよ」と教えてもらって、速攻でポチっりました”という1台。ツマミ位置はゼロに設定しているが、オンにすることでビンテージ・ギターの足りないところを持ち上げてくれるような感じがあり、気に入っているという。
③The Kloneはメインの歪み。GAINを2時まで上げており、ザラッとした歪みで使用。TREBLEも2時過ぎまで上げてハイをジャキッとさせているそうだ。“これは気づいたらテックさんがボードに入れてくれていました(笑)”とのこと。
⑤Swollen Pickle MKⅡはテンションが上がった時用のファズ。オンにすると音量が上がるセッティングにしており、音の壁のようなサウンドを目指しているという。ライブでは「夜の魔物」などで使用している。
④Sea Turquoise Delayは7年ほど愛用しているディレイ。ライブでは3~4曲でしか使用せず、ずっと同じセッティングにしているとのこと。LEVELツマミはほぼMAX、DELAYツマミは10時、F.BACKツマミは2時で、イッキュウは“ディレイ音でリズムを作る曲で使うので、こういうセッティングになっているんだと……予測します(笑)!”と分析。「模造紙ヒデキちゃん」のレコーディングでは⑤Swollen Pickle MKⅡと共に使用された。
ちなみにボードの中に貼られている赤いテープはチューニングのメモ。上がレギュラー、真ん中がカポ1、下がカポ3だ。なぜメモを貼っているのか聞いてみると、“これはテックさんが書いてくれました。大昔のヨーロッパ・ツアーの時、チューニングがわからなくなっちゃって、曲が始まらなかったことがあって。「E」(2015年)っていう曲が1カポなんですけど、全然曲が始まらなかったんです(笑)。で、始まったはいいんですけど、結局チューニングが違っていたのでギターを弾かずに歌だけ歌ったことがあったので、これを貼るようにしています”という理由があったそうだ。
LIVE INFORMATION
Zang-Neng tour 2023
- 2023年1月8日(日)/福岡・BEAT STATION
- 2023年1月15日(日)/宮城・仙台CLUB JUNK BOX
- 2023年1月28日(土)/愛知・名古屋CLUB QUATTRO
- 2023年1月29日(日)/石川・金沢AZ
- 2023年2月4日(土)/大阪・梅田CLUB QUATTRO
- 2023年2月12日(日)/東京・LIQUIDROOM
※情報は記事公開時のものです。最新のチケット情報や公演詳細はtricotの公式HPをチェック!
tricot公式HP
https://tricot-official.jp/
ギター・マガジン2023年1月号
『特集:ビートルズ『Revolver』』
2023年12月13日(火)発売
ギター・マガジン2023年1月号には、tricotのキダ モティフォと中嶋イッキュウがインタビューで登場! 新作『不出来』のギターについて語ってくれた。
作品データ
『不出来』
tricot
avex/CTCR-96070~1/2022年12月14日リリース
―Track List―
– DISC1 –
01. 模造紙ヒデキちゃん
02. #アチョイ
03. OOOL
04. 冗談検定
05. crumb
06. エンドロールに間に合うように
07. アンドロイド
08. 鯨
09. ステンノー
10. アクアリウム
11. 不出来
12. 上出来 ~不出来Remix~
– DISC2 –
01. 模造紙ヒデキちゃん – Instrumental
02. #アチョイ – Instrumental
03. OOOL – Instrumental
04. 冗談検定 – Instrumental
05. crumb – Instrumental
06. エンドロールに間に合うように – Instrumental
07. アンドロイド – Instrumental
08. 鯨 – Instrumental
09. ステンノー – Instrumental
10. アクアリウム – Instrumental
11. 不出来 – Instrumental
12. 上出来 ~不出来Remix~ – Instrumental
―Guitarists―
キダ モティフォ、中嶋イッキュウ