おすすめブースター・ペダル7選 注目の現行モデルを真壁陽平が弾く! おすすめブースター・ペダル7選 注目の現行モデルを真壁陽平が弾く!

おすすめブースター・ペダル7選 
注目の現行モデルを真壁陽平が弾く!

多くのギタリストがペダルボードに組み込んでいる定番エフェクト=ブースター。今回は、現在発売されているブースター系ペダルから、ぜひチェックしてほしい7製品をピックアップした。試奏を行なうのは、セッション・ギタリストとして幅広い分野で活躍する真壁陽平だ。彼のインプレッションとセッティング例をぜひ参考にしてほしい。

文=井戸沼尚也 写真=星野俊 イラスト=猪野麻梨奈
※本記事はギター・マガジン2023年2月号『全ギタリストの必携ギア ブースターを使いこなせ!』から一部抜粋/再編集したものです。

①Blackstar/Dept.10 Boost

Blackstar/Dept.10 Boost

真空管を搭載したファットなブースター

 世界有数のアンプ・ブランドであるブラックスターが開発した、本物の真空管・ECC83を搭載したブースター。心臓部の三極真空管を200V以上の高電圧で駆動させ、オーガニックなトーンとダイナミクスを得ることに成功している。

 高電圧を用いるが、一般的な9Vアダプターで作動するので、ペダルボードに組み込む際に別で電源を用意する必要はない。クラスAのゲイン・ステージと、パッシブ型の“James-Baxandall EQ”の組み合わせは、自然なコンプレッションと豊富な倍音を生み出し、特に音の太さについては多くのブースト・ペダルの中でも突出していると言えるだろう。

 また、バッファ/ライン・ドライバーを内蔵しており、長いケーブルや大規模なペダルボードを使用する時でもトーンの劣化を極力抑えてくれる。

MAKABE’S COMMENT

特に低音がゴッツい!

 チューブが入っているんですね、面白い! アンプ・メーカーのブラックスターらしい仕様だと思います。デザインはすっきりしていて洗練されたイメージですね。音は迫力がある感じ。特に低音がゴッツイですね。物凄く太いです。

 LOWのツマミはゼロを基準に、少しずつ上げて好みのポイントを探していくのが良さそうです。BOOSTがゼロの状態だとほぼ原音と変わらない音がするのも優秀ですね。上げていくと少し歪むというか、割れたような質感も出てきます。

 真空管が入っていることを考えると、宅録の時やデジタル系プロセッサーを使う時に通すと音にパンチが出るんじゃないでしょうか。

真壁のおすすめセッティング

真壁のおすすめセッティング/Dept.10 Boost

真壁 BOOSTが10時、LOWが2時、HIGHが2時の感じが好きですね。今回はTLタイプのギターで試奏しているのでLOWはけっこう上げ気味。歪んだアンプにつないでプッシュするとカッコ良い音が作れると思います。

Blackstar/Dept.10 Boost

【Specifications】
●コントロール:HIGH、LOW、BOOST
●真空管:ECC83
●入出力端子:インプット、アウトプット
●電源:9Vアダプター
●外形寸法:75(W)×115(D)×50(H)mm
●重量:約340g
●問:コルグお客様相談窓口(☎︎0570-666-569)
●PRICE:36,300円

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②BOSS/SD-1W

BOSS/SD-1W

大定番歪みペダルの“技”バージョン

 40年以上にわたってロングセラーを続ける定番のオーバードライブ=SD-1を完全ディスクリート構成のフル・アナログ方式でカスタマイズしたSD-1W。

 オリジナルの音色を再現したスタンダード・モード(S)と、よりパワフルでレンジが広いカスタム・モード(C)の切り替えができる本機は、単体の歪みとしての用途はもちろん、ブースターとして使っても最高の1台だ。その場合、DRIVEを抑えめにしてLEVELを最大近くまで上げたセッティングが基本になるだろう。

 ブースターとしても“S/C”のキャラクター切り替えは有効で、スタンダードはミッドにフォーカスしたまとまりの良い音、カスタムはローもしっかり出た、よりレンジの広い音を作り出すことができる。アンプをブーストするだけでなく、ほかの歪みエフェクターをブーストしても良い音を楽しめるので、ぜひ試してみてほしい。

MAKABE’S COMMENT

モダンなロック系にはカスタム・モード。

 単体の歪みでも使えるSD-1Wですが、今回はブースターとしての使い方に焦点を当てて、少し歪んだマーシャル・アンプをプッシュしてみましょう。

 まずはスタンダード・モードから……これは完全にハードロックの音ですね! イメージとしてはやっぱりザック・ワイルドとか、80年代を感じさせる音色です。今聴くと逆に新鮮かもしれないですね。

 カスタム・モードはレンジが広くてローがしっかり残るので、もう少しモダンなロック系の音を作りたい人にはこちらが良さそう。どちらのモードでも一聴して“BOSSの音”とわかるのも凄いです。この音が必要なら、これを買うしかないですね。

真壁のおすすめセッティング

真壁のおすすめセッティング/SD-1W

真壁 LEVELがフル、TONEは1時、DRIVEはゼロです。モードはどちらも良かったのですが、スタンダードには“この音だよね”という定番ならではのインパクトがあったので、今回はスタンダードを選びました。

BOSS/SD-1W

【Specifications】
●コントロール:LEVEL、TONE、DRIVE、モード切り替えスイッチ(S/C)
●入出力端子:インプット、アウトプット
●電源:9Vアダプター、9V電池
●外形寸法:73(W)×129(D)×59(H)mm
●重量:430g
●問:ローランド(https://roland.cm/contact
●PRICE:オープン・プライス(市場実勢価格:17,600円)

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③EarthQuaker Devices/Arrows

EarthQuaker Devices/Arrows

高域にキレを与える1ノブ・ブースター

 オール・ディスクリート回路を採用した、1ノブのシンプルなブースター。歪み系ペダルの前に置いて歪みのチャンネルを1つ増やすような使用法を念頭に置いて開発されたそうだが、ほかにも歪みペダルの後段に置いて音量を稼いだり、ペダル・チェーンの後段に置いてアンプをプッシュするなど、多彩な使い方が想定できる。

 オンにするとゲインがやや増すだけではなく、低域と中域が引き締まり、高域にはキレが出て、音を前に押し出してくれるのが本機の魅力。フロント・ピックアップの音に少々エッジを加えるような場合にも最適だ。

 操作はこれ以上なく簡単で、ノブを好みの音の位置に合わせるだけ。ユニティ・ゲインよりも低く設定すれば、踏むことで音量を下げたり、カットすることもできる。シンプルながらも、アイディア次第で使用法やサウンドが膨らむ1台だ。

MAKABE’S COMMENT

クリーン・トーンを元気にしてくれます!

 シンプルでいいですよね。EQコントロールも付いていないんですが、音に変なクセやこもりがなく、ハイがキラッとして抜けが良くなります。シンプルなわりに、意外と使いどころは多そうですよ。

 分離が良いのでアルペジオを弾きたくなりますし、クリーン・トーンに元気が出るのが凄く良い感じ。クリーン・トーンをバンド・アンサンブルでしっかり聴こえるようにするのは意外と難しくて、歌モノのバッキングをフロントで弾きたい時なんかは抜けなくなることがあります。

 そんな時にこれを使えばハリが出て、音が前に出てきますね。スタジオのアンプがヘタっている時にも良さそうです。

真壁のおすすめセッティング

真壁のおすすめセッティング/Arrows

真壁 LEVELの設定だけだし、どこにセットしても良い音なのですが、一例としてフルをお薦めします。こうしておいてギターのボリュームを絞ると凄く良い音がするんですよ! 上げれば歪むし、手元でコントロールできます。

EarthQuaker Devices/Arrows

【Specifications】
●コントロール:LEVEL
●入出力端子:インプット、アウトプット
●電源:9Vアダプター、9V電池
●外形寸法:64(W)×121(D)×57(H)mm
●問:株式会社ヤマハミュージックジャパン LM営業部 輸入商品課(☎︎03-5488-5445)
●PRICE:22,000円

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④idea sound product/IDEA-TBX ver.1

idea sound product/IDEA-TBX ver.1

歴史的ブースターを現代的な回路で表現

 クオリティの高さから近年急速に注目を集めている国産ハンドメイド・ペダル・ブランドのidea sound product。IDEA-TBX ver.1はP56でも紹介したブースターの名器、アービター社のトレブル&ベース・フェイスのサウンドを、まったく別の現代的な回路で表現したモデルだ。

 コントロールは左からTREBLE、GAIN、BASS。加えて3ウェイのモード・スイッチを搭載しており、上にするとMid Boostモード(中域を少し持ち上げる)、中央がNormalモード、下がBass Boostモード(オリジナル機に近いサウンド)となる。

 元ネタのトレブル&ベース・フェイスを知らなくとも、単純に音が良くノイズも少ない優秀なブースターとして使用できるため、ぜひ試してほしい逸品である。

MAKABE’S COMMENT

ノイズレスで、意外にも現代的な印象。

 ビンテージ・ブースターから着想を得たモデルということですが、分離感が良いし、ノイズも凄く少なくて、意外と現代的な音なのかなという印象を受けました。EQの効きも凄く良いです。

 Bass Boostモードはもっとローが膨らむのかなと思いましたがそんなことはなくて、このモードでトレブルを上げるとジャキッとした音がしてカッコ良かったです。レスポンスも良いので速いストロークを弾きたくなる感じですね。

 音の派手さを作り出すことができるので、若いギタリストに人気があるというのもわかるような気がします。アンプだけではなく、ほかの歪みペダルをプッシュしても良い感じです!

真壁のおすすめセッティング

真壁のおすすめセッティング/IDEA-TBX ver.1

真壁 スイッチはBass Boostモードで、TREBLEとGAINが2時近く、BASSは12時方向にしてみました。TREBLEは上げ目のほうが“ギュッ”とした独特のニュアンスが出ます。シングルコイルのフロントPUによく合いますよ。

idea sound product/IDEA-TBX ver.1

【Specifications】
●コントロール:TREBLE、BASS、GAIN、モード切り替えスイッチ(Mid Boost/Normal/Bass Boost)
●入出力端子:インプット、アウトプット
●電源:9Vアダプター、9V電池
●外形寸法:69(W)×111(D)×47(H)mm
●重量:253g(電池含まず)
●問:idea sound product(https://www.ideasoundproduct.com/)
●PRICE:32,780円

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⑤J. Rockett Audio Designs/Archer Clean

J. Rockett Audio Designs/Archer Clean

人気ケンタ系ペダルのクリーン・ブースト版

 J. Rockett Audio Designsの代表モデルと言えばケンタウルス系オーバードライブのArcherだが、そのクリーン・ブースト版とも言えるモデルがこのArcher Clean。

 ブランドによると“Archerのゲイン・コントロールを調整している時に開発された”、とのことである。Archerの基板に採用している象徴的なダイオードを使いつつ、内部回路で18Vまで昇圧することによって、よりダイナミックさを兼ね備えたクリーン・ブーストを実現。

 音作りのポイントはCOLORコントロールの位置で、ここの設定によって鈴のように響くクリーン・トーンから、軽く歪んだサウンドまで作り出すことができる。入出力端子や電源が筐体上部にまとめられ、ボード内に配置しやすいのも嬉しいポイントだろう。音とデザイン共に現代のニーズにマッチしたモデルだ。

MAKABE’S COMMENT

暖かみとコンプ感を加える大人向けの1台。

 通常版のArcherは個人的に持っているんですが、そちらも十分ブースターとして使えるのに、さらにブーストに特化したモデルということでブランドのこだわりを感じます。ミッドの“コリッ”とした感じは通常版と近いですね。

 このモデルはクリーンな状態のまま、軽いコンプ感や音の暖かみを加えてくれる大人向けのペダルという印象。今回試奏したほかのブースターとは狙っているところが違う気がしますね。

 シンプルな3ノブなんですが、それぞれのノブが互いに影響し合うので作れる音の幅は広いです。こだわりが強い人には凄くマッチするんじゃないでしょうか。

真壁のおすすめセッティング

真壁のおすすめセッティング/Archer Clean

真壁 OUTPUTが12時付近、TREBLEが1時、COLORは3時の設定です。ミッドの張り出しが変わってくるので、COLORの調整がポイントですね。セッティング次第では軽く歪ませることもできますよ。

J. Rockett Audio Designs/Archer Clean

【Specifications】
●コントロール:OUTPUT、COLOR、TREBLE
●入出力端子:インプット、アウトプット
●電源:9Vアダプター、9V電池
●外形寸法:59.5(W)×104(D)×47(H)mm
●重量:約399g
●問:神田商会カスタマー・サポート(☎︎03-3254-3616)
●PRICE:オープン・プライス(市場実勢価格:40,480円)

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⑥Kz Guitar Works/Kz TREBLE BOOSTER

Kz Guitar Works/Kz TREBLE BOOSTER

レンジマスターを意識したトレブル・ブースター

 神奈川県逗子市に拠点を置き、Kz Oneシリーズを始めとするオリジナル・ギターのほか、ブライアン・メイの愛器“レッド・スペシャル”の公式シグネチャー・モデルを手がけたことでも知られるKz Guitar Works。

 本機は彼らがリリースしたトランジスタ1石のシンプルなブースターで、60年代の英国製ブースター、レンジマスターの流れを汲むモデルだ。コントロールはLEVELノブと、RANGEおよびTONEという2つのミニ・スイッチ。RANGEとTONEはそれぞれ入力のレンジ調整と、出力のトーン調整用である。

 ギターの美しい倍音を浮き上がらせつつボトムをタイトにまとめ、ギター本来の魅力を目一杯引き出してくれるのが本機の魅力。手元のボリュームで歪みからクリーンまで操作できるのもポイントだ。

MAKABE’S COMMENT

歪みと合わせて使うと最高にカッコ良い!

 レンジマスターと言えば僕はJ・マスキスのイメージですが、一般的にはブライアン・メイですよね。これはブライアン・メイが使っているVOXアンプと合いそうな音です。

 まずは単体でオンにしてみたんですが、アンプやペダルで作ったメインの歪みと組み合わせて使うとガラッと印象が変わって驚きました! そういう使い方がこのモデルの真骨頂という感じがしますね。

 手元のボリュームを絞った音も凄く良いですよ。個人的には常にオンにしておいて、このペダルの音も込みでアンプの音を決めて、手元で歪みからクリーンまでコントロールするような感じで使いたいなと思います。

真壁のおすすめセッティング

真壁のおすすめセッティング/Kz TREBLE BOOSTER

真壁 RANGEスイッチはFAT側、TONEスイッチはEDGE側で、LEVELは12時手前くらいです。ちなみにこれは、うしろにメインの歪みペダルを置いた場合の設定です。絶対にほかの歪みと合わせて使うことをお薦めします!

Kz Guitar Works/Kz TREBLE BOOSTER

【Specifications】
●コントロール:LEVEL、RANGEスイッチ(TIGHT/FAT)、TONEスイッチ(EDGE/WARM)
●入出力端子:インプット、アウトプット
●電源:9Vアダプター
●外形寸法:48.3(W)×93.5(D)×48(H)mm
●重量:146g
●付属品:外部9Vバッテリー・プラグ
●問:Kz Guitar Works(https://kzguitarworks.com/)
●PRICE:19,800円

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⑦Xotic/RC Booster Classic Limited Edition

Xotic/RC Booster Classic Limited Edition

名作クリーン・ブースターの初期モデル復刻版

 2002年の発売開始以来、多くのギタリストから“オフにしたくない!”と称賛されたクリーン・ブースターの名機であるRC Booster。現在はより高機能になったバージョン2が発売されて人気を博しているが、本モデルはそんなRC Boosterの20周年を記念して、初期の仕様を復刻した“Classic”バージョンだ。

 白い筐体、VOLUMEとGAINに2バンドのEQというシンプルなコントロール、20dB以上のトランスペアレントなクリーン・ブーストが得られる点などを完全に再現。

 ギター本来の音色を活かしながら、わずかにツヤを加えてくれる絶妙なサウンドは健在で、改めて評価が高まることは間違いない。全世界1000台限定のスペシャルなボックス・セットが先行発売され、その後は通常版が発売される予定だ。

MAKABE’S COMMENT

全部12時にするだけで良い音、さすがです!

 個人的に、アコギでソロを弾く時などにRC Boosterの初期モデルを使っています。ちょうど良いクリップ感があって弾きやすくなるんですよね。この復刻モデルもさすがです!

 適度に“ギャリン”としつつ、どこか特定の帯域だけが出過ぎる感じがまったくありません。今回の試奏で使っているフェンダー・アンプのボリュームをそのまま上げたような感覚です。EQもよく効くんですが、とりあえず12時方向にするだけでも十分良い音がします。

 やっぱり使いやすいですよ。ギタリストのボードには必ずこれが入っていた時代がありましたが、またそうなるかもしれません。

真壁のおすすめセッティング

真壁のおすすめセッティング/RC Booster Classic Limited Edition

真壁 ほとんど12時方向で、TREBLEを少しだけ足しました。このあたりは組み合わせるギターにもよりますね。どのツマミもよく効くんですが、回し切ってもやり過ぎにはならなくて、本当に絶妙なチューニングだと思います。

Xotic/RC Booster Classic Limited Edition

【Specifications】
●コントロール:GAIN、VOLUME、TREBLE、BASS
●入出力端子:インプット、アウトプット
●電源:9V~18Vアダプター、9V電池
●外形寸法:60(W)×110(D)×50(H)mm
●重量:270g
●リミテッド・エディション付属品:パッケージ・スリーブ、ピック(11枚)、ストラップ、ポーチ、シリコン・バンド
●問:PCI Japan(http://www.pci-jpn.com/)
●PRICE:25,300円

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TOTAL IMPRESSION 
ブースター7モデルの試奏を終えて

 試奏を終えた真壁とそれぞれのモデルを振り返りつつ、自身は普段どのようにブースターを活用しているのか語ってもらった。ぜひ最適なブースター選びの参考にしてほしい。

真壁陽平

トレブル・ブースターの音は一度体感してほしいですね。

今日の試奏を振り返って感想を聞かせて下さい。

  どれも個性があって面白かったです! まとめて弾き比べないと違いがわからないところもあるので、良い機会でした。Blackstarの音の太さ、BOSSの安心感、EQDの分離の良さ、ideaの“ギャリン”感、K’zの歪みのカッコ良さ、J. Rockettのミドルの味わい、Xoticの扱いやすさ、どれも印象に残っています。

 今日の試奏はブースターを前段に置いて、メインの歪みエフェクターやアンプをプッシュする形で弾いてみたので、違うシチュエーションで使えばまた別の一面を見られる可能性もありますね。

特に印象に残っているモデルは?

  どれも良かったんですけど、個人的に印象に残っているのはEQDのArrowsかな。クリーンなアルペジオやカッティングが前に抜けてこない場面ってよくあると思うんですけど、そんな時に分離よく、音を前に出せると思いました。意外とそういう使い方ができるペダルは少ないんですよね。

 XoticのRC Boosterは今回の試奏で印象に残ったというより、ずっと好きで使っているペダルですが、やっぱり良かったですね。それとKz Guitar WorksのTREBLE BOOSTERもカッコ良い音が印象的です。最近、手元のコントロールで音を作るのが自分の中でのブームなんですけど、これならそれができると感じました。

確かにカッコ良い音でした! もしかして、トレブル・ブースターのブームが来ますかね?

  個人的には来てほしいですけど、どうでしょう(笑)。でもトレブル・ブースターって、名前的には“キンキン・シャリシャリ”したイメージがあると思うんですけど、実は逆にイナたいくらいの音ですし、実際はミドル・ブーストやロー・カットという感じですからね。ブームにはならなくても一度は体感してほしい音ではあります。

ちなみに、真壁さん自身は普段はどんなブースターを使っていますか?

  XoticのAC Boosterですね。僕はちょっとゲインも上げつつブーストするパターンが多いので、これがピッタリなんです。色んな現場で使えるように4台くらい持ってますよ(笑)。

 RC Boosterもアコースティック・ギターと組み合わせて使っています。あとは、ボードの後段で音量を上げるためにOrganic SoundsのHydraを使っていて、これもどのボードにも入っていますね。しっかり音量が上がってくれるので、ヘッドルームが広いんだと思います。

真壁さんのブースターの使い方は前段でのゲイン・アップ、後段での音量アップの2種類ということですね。

  基本的にはそうなんですけど、実はもう1種類あって、メインの歪みとして使っているZ.VexのBox of RockのBoostチャンネルも踏むことがあるんですよ。3段階のゲインを使い分けるイメージですね。

なるほど。真壁さんがブースターに求めることは?

  前段と後段で少し違いますね。前段でブースターを踏む時はもっと歪みが欲しくてロック的なアプローチをする時なので、ちょっとトレブルを突いたりしたいんです。

 だから、よく効くEQが付いているAC Boosterは凄く使いやすいですね。後段については、とにかく聴こえるようにするために(笑)、音量レベルが大きく上がることは絶対に必要な条件です。

これからブースターを買ってみたい人にアドバイスをお願いします!

  ブースターにはそれぞれ個性があるので、自分の用途に合ったモデルを選ばないと“なんか違うな……”ということになりかねません。自分がどういう機材を使っていて、どういうプレイをするのかを考えて選ぶことが大切ですね。

 ペダルで歪ませるのか、アンプで歪ませるのかによっても違うし、ブースターを歪みの前に置くかうしろに置くかで意味が全然変わってきますから、そこもよく考えて選ぶと良いと思います。

Profile

真壁陽平

まかべ・ようへい●1979年生まれ、北海道出身。2015年から斉藤和義のツアーに参加。オールジャンルに対応する高い演奏能力と音楽性を武器に、吉井和哉、YUKI、藤井フミヤ、あいみょん、ゆず、米津玄師など多数のアーティストのレコーディングやライブ・サポートを行なう。

ギター・マガジン2023年2月号
『SUGIZO&MIYAVI(THE LAST ROCKSTARS)』
2023年1月13日(金)発売

本記事はギター・マガジン2023年2月号の『全ギタリストの必携ギア ブースターを使いこなせ!』内に掲載されています。本誌には現行モデルの紹介以外にも、ブースターの基礎知識や、シチュエーション別の使いこなし術、名機紹介なども収録。