GRAPEVINEの世界観を彩ってきた西川弘剛の使用ギター3本

GRAPEVINEのアルバム『another sky』（2002年）を全曲再現したライブ“in a lifetime presents another sky”のリハーサル現場に潜入し、田中和将（vo,g）と西川弘剛（g）の使用機材を撮影した。今回はリード・ギターを務める西川の最新使用ギターをご紹介しよう。

取材／文＝伊藤雅景　協力＝TEAM ACTIVE・大和正尚（GRAPEVINEギター・テック）　ライブ写真＝藤井拓　ギター写真＝星野俊

Gibson／Les Paul 1956 Reissue

長年にわたり愛用する貫禄のレス・ポール

西川のメイン・ギターは、フラワー・ピックガードがトレード・マークの2001年製ギブソン・ヒストリック・コレクションのレス・ポール。長年の愛用によりネック裏の塗装も剥げ、貫禄の雰囲気を醸し出している。西川本人が内部配線やパーツ類を頻繁に変えているため詳細な改造点は不明だ。セッティング上のポイントは、弦を張る際、テイルピースにラップアラウンド・スタイルでセッティングしている点。また、ノブ類はライブでもかなりシビアに調節しており、ギター・テックが本器を手渡す際は、あらかじめすべてのノブを“若干絞った状態”にしておくそう。

2023年2月23日（木）＠中野サンプラザホール公演でLes Paul 1956 Reissueを使用した楽曲リスト

ふたり – 『another sky』（2002年）収録
アナザーワールド – 『another sky』（2002年）収録
Sundown and hightide – 『another sky』（2002年）収録
Colors – 『another sky』（2002年）収録
それでも – 『another sky』（2002年）収録
マダカレークッテナイデショー – 『another sky』（2002年）収録
BLUE BACK – 『another sky』（2002年）収録
Big tree song – 『Burning tree』（2015年）収録
目覚ましはいつも鳴りやまない – 『新しい果実』（2021年）収録
Our Song – 『Circulator』（2001年）収録
作家の顛末 – 『Everyman,everywhere』（2004年）収録

Gibson／SG Standard ’61

歯切れの良い“SGサウンド”を奏でる1本

ここ数年で導入された西川の新たなメイン・ギター。2019年に発表された1961年製SGのリイシュー・モデルだ。今回のライブでは、前出のレス・ポールと本器が半々に近い割合で使用された。GRAPEVINEのダークな世界観の楽曲で多く登場しているようだが、2023年現在はまだ使用曲を研究中とのこと。軽快でコシのある本器のサウンドは、今回のツアー“in a lifetime presents another sky”のティザー・ムービーとして公開された「嘘（Live）」のスタジオ・ライブ動画で聴くことができる。

2023年2月23日（木）＠中野サンプラザホール公演でSG Standard ’61を使用した楽曲リスト

ナツノヒカリ – 『another sky』（2002年）収録
LET ME IN〜おれがおれが〜 – 『another sky』（2002年）収録
Tinydogs – 『another sky』（2002年）収録
ドリフト160(改) – 『another sky』（2002年）収録
マリーのサウンドトラック – 『another sky』（2002年）収録
Suffer The Child – 『イデアの水槽』（2003年）収録
フラニーと同意 – 『Sing』（2008年）収録
MISOGI – 『MISOGI EP』（2012年）収録
EVIL EYE – 『BABEL,BABEL』（2016年）収録

Fender／American FAT Telecaster

バンド黎明期から西川を支えてきたテレキャスター

西川が20年以上にわたり愛用するフェンダー製FATテレキャスター。近年のライブでの使用頻度は少ないが、テック曰く“クリーン・サウンドが多い曲で使っているイメージ”だという。また、演奏中にも感覚的に手元のノブを操作する西川だが、本器のノブには目盛りのメモのようなもの（下写真）が貼られていた。ちなみに、1999年製の本器は、2000年8月にリリースされたシングル「羽根」のMVから登場していることから、本モデルの発売後間もなく入手したものと思われる。