エリック・クラプトンが2023年の日本公演で使用したメインのストラトキャスター エリック・クラプトンが2023年の日本公演で使用したメインのストラトキャスター

エリック・クラプトンが2023年の日本公演で使用したメインのストラトキャスター

2023年4月に行なわれたエリック・クラプトンの来日公演で使用された機材をご紹介。まずはクラプトンがエレキ・ギターのメインとして使用した白いフェンダー・カスタムショップ製ストラトキャスターから。

取材・文=菊池真平 撮影=星野俊 協力=ダン・ディアンリー(https://www.dandguitars.com/)、前むつみ

Fender Custom Shop
Eric Clapton Signature Stratocaster Journeyman Relic Masterbuilt by Todd Krause

Fender Custom Shop/Eric Clapton Signature Stratocaster by Todd Krause(前面)
Fender Custom Shop/Eric Clapton Signature Stratocaster by Todd Krause(背面)

盟友への哀悼の意を表した“白いストラトキャスター”

2023年4月21日に武道館で通算100回の来日公演(※1974年の初来日以来23度目)を行なうという、偉業を成し遂げたエリック・クラプトン(※以降EC)。

今年は盟友であるジェフ・ベックが亡くなったこともあり、オープニングでは彼に捧げるレクイエムとも言える「Blue Rainbow」(訳注:ジェフ・ベックへのトリビュート曲)を、この白い“Eric Clapton Signature Stratocaster Journeyman Relic”で熱演し、最後の1曲までエレクトリック・ギターはこの1本だけが使われた。それは日本のファンと共にジェフ・ベックを追悼する意思表示でも、あったのかもしれない。

その姿から筆者は、まさにレジェンドであり続けるECの偉大さを再確認し、2009年に埼玉スーパーアリーナで行なわれたジョイント・コンサートで、ECとの演奏を心から楽しんでいたジェフ・ベックの笑顔を思い出した。

このモデルは、ECのギターを手がけるフェンダー・カスタムショップのシニア・マスタービルダー、トッド・クラウスによって製作され、2016年にECに送られた2本のうちの1本だ。

「ボディがアッシュであることと、若干フレットが高いことを除けば、カスタムショップ製ECシグネチャー(※レギュラー・ラインのECシグネチャーと比較していると思われる)と同じスペックです。ECはこのギターで“Blue Rainbow”を書き、ジェフが白いストラトを弾いていたことから、コンサートの時もこのギターを使おうと思ったようですね」

と語ってくれたのは、今回のツアーでもギター・テックとして来日したダン・ディアンリー。

ダン・ディアンリー
ダン・ディアンリー(写真提供:菊池真平)

このギターの基本的な仕様は、追い柾目に木取られた握りやすいVシェイプの1ピースのメイプル・ネック、アッシュの杢目が透けるほど極薄のブロンド・フィニッシュ&ニトロセルロース・ラッカーが施されたボディ、3つのビンテージ・ノイズレス・ピックアップ、アクティブのミッド・ブースト回路、TBXコントロール(註釈:2連のポッドで、センター位置では通常のトーンのフルとなり、0方向でハイ・カット、10方向でロー・カットとなる)などが特徴となる。ちなみにモデル名のジャニーマン・レリックとは、弾き込まれてはいるが良好な状態のビンテージ・ギターを再現した加工のことだ。

ECの足下はクライベイビー(GCB-95F)とレスリー・スピーカーのスイッチのみで、このギターとアンプを組み合わせて太く艶やかなクランチ・トーンを生み出していた。

Eric Clapton Signature Stratocasterにつけられた特注のストラップ
ストラップは、ECの奥さま(メリア・マッケナリー)からクリスマスにプレゼントされたというエルメス製の特注品。美しいバラの刺繍が施され、茎の両サイドには“EPC(=Eric Patrick Clapton)”と、“LXX”と入っていた。
アコースティック・ギター・マガジン

アコースティック・ギター・マガジン2023年9月号 SUMMER ISSUE Vol.97

2023年7月27日発売の『アコースティック・ギター・マガジン2023年9月号 SUMMER ISSUE Vol.97』では、2023年4月来日公演でエリック・クラプトンが使用したアコースティック・ギター&関連機材を掲載!


アコースティック・ギター・マガジン2023年6月号 SPRING ISSUE Vol.96

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『アコースティック・ギター・マガジン2023年6月号 SPRING ISSUE Vol.96』の特集は、エリック・クラプトン日本武道館公演100回記念の特別企画“エリック・クラプトンとアコースティック・ブルースのならず者”。

DanD Guitars公式HP
https://www.dandguitars.com/

エリック・クラプトンのギター・テックを務めるダン・ディアンリーは、ギター・ルシアーとしても活躍している。彼が手掛けるダンDギターズ(DanD Guitars)の12弦モデルは、クラプトンもライブ作品『Lady In The Balcony: Lockdown Sessions』で使用した。