SATOHのソリッドで都会的なギター・サウンドを生み出す、LINNA FIGGとkyazmの使用機材 SATOHのソリッドで都会的なギター・サウンドを生み出す、LINNA FIGGとkyazmの使用機材

SATOHのソリッドで都会的なギター・サウンドを生み出す、LINNA FIGGとkyazmの使用機材

ソリッドなサウンドで都会的なロックを聴かせるSATOH。そのボーカル・ギターLINNA FIGG(以下リンナ)と、リード・ギターのkyazmが使用する機材を紹介しよう。1stアルバム『BORN IN ASIA』はDAW上でサウンド・メイクを完結させたという彼らだが、今回はライブでその音像を再現するために使うギターとペダルは?

取材/文=伊藤雅景 写真=福崎敬太

LINNA FIGGの使用ギター

Fender/Stratocaster

Fender/Stratocaster(フロント)
Fender/Stratocaster(バック)

SATOHの枯れたバッキング・サウンドを生む日本製ストラトキャスター

リンナのメイン・ギターはkyazm所有の日本製フェンダー・ストラトキャスター。メイプル指板の削れ具合など、使い込まれた風貌がクールな1本だ。Eシリアルを持つ個体で、1984〜1987年頃に生産されたものだと思われる。リンナ曰く“めっちゃ枯れていて、良い意味でしょぼい音”とのこと。

ピックアップ・セレクターの動作が反転しているのが特徴で、通常のリア選択位置ではフロント・ピックアップがオン、フロント位置でリアがオンとなる。ライブではフロント・ピックアップしか使用しないため、右手のストロークが当たらないよう配慮してこのような仕様にしたという。

アームが装着されているが、フローティングはしていない。ボリューム・ノブは交換されているようだ。
アームが装着されているが、フローティングはしていない。ボリューム・ノブは交換されているようだ。

LINNA FIGGのペダルボード

LINNA FIGGのペダルボード

【Pedal List】
①Marshall/Bluesbreaker Ⅱ(オーバードライブ)
②Visual Sound/Double Trouble(オーバードライブ)
③Miura Guitars U.S.A./M2 Compression / Limiter(コンプレッサー/リミッター)

3つのエフェクターで構成された“超シンプル”なリンナのペダルボード。ギターからの信号は①〜③まで番号順に進みアンプへ向かう。アンプはライブ会場のマーシャルを選択。

オーバードライブ①はBOOSTモードで、DRIVE、TONEともにフルという極端なセッティングに。キンキンにさせたい時はONで、柔らかいサウンドにしたい際にOFFにする。だが、基本的には常にON。

オーバードライブ②はTS系の歪みチャンネルが2つ搭載されたペダル。右側のOVERDRIVE 1のツマミはDRIVE11時、TONE2時、VOLUME9時で、右側のOVERDRIVE 2はDRIVE5時過ぎ、TONE11時過ぎ、VOLUME10時。

最後につなげているコンプレッサー/リミッター③は、低音弦のギター・リフなどで“音をブリブリさせたい時に使う”とのこと。音量を均一に整えるというよりは、音にパンチを持たせる用途だ。ライブではおもに「急げ!!!」のイントロ・リフなどで使用している。

kyazmの使用ギター

Fender/American Standard Telecaster Limited Edition

Fender/American Standard Telecaster Limited Edition(フロント)

Fender/American Standard Telecaster Limited (バック)

新作のレコーディングで活躍した、ステッカーにまみれたアメスタ

新作『BORN IN ASIA』のサウンドも生み出した、kyazmがライブで使用するAmerican Standard Telecaster。こちらはリンナが所有するギターだ。改造点はなく、オリジナルの状態で使用している。サウンドの印象は“歪みペダルとの相性が良く、「ゾーン!」みたいなムチムチ感がある”とのこと。ボディの裏表には大量のステッカーが貼られているが、リンナは“ジョニー・グリーンウッドをマネしたけど、ハズくなって銀色のテープで隠した”と話してくれた。

ピックアップ・ポジションはフロント or センターがメインで、フレーズによってリアを使用することも。「ゆらせJP」での乾いたコード・バッキングは、本器のリア・ピックアップによるサウンドだ。

ピックアップ・セレクターのスイッチ・チップとボリューム・ノブは取れてしまっている。
ピックアップ・セレクターのスイッチ・チップとボリューム・ノブは取れてしまっている。

kyazmのペダルボード

kyazmのペダルボード

【Pedal List】
①Marshall/The Guv’Nor(ディストーション)
②Line 6/HX Stomp(マルチ・エフェクター)
③Line 6/EX-1(エクスプレッション・ペダル)
④Melo Audio/MIDI Commander(MIDIスイッチャー)
⑤Noah’sark/AC/DC-1(パワー・サプライ)

kyazmのペダルボードもリンナ同様、数少ないペダルで構成されたシンプルなシステム。ギターの信号は①に入り、②を経由してアンプへ向かう。ライブでは会場のジャズ・コーラスを使用することが多い。

ディストーション①は2023年に発売された復刻版ではなく、ビンテージの個体とのこと。年式は不明だが、フット・スイッチのワッシャーの有無や筐体デザインから英国製だと推測する。

マルチ・エフェクター②はおもに空間系エフェクトやクランチ・サウンドを担う。30個以上の音色をプリセットし、それらをMIDIスイッチャー③で呼び出す。

すべての音色で3段階の音量パターンを用意しており、ライブのオケのテンション感に合わせて細かく調節しているとのこと。“歪みの質感は簡単に作っているが、音量調整だけはかなりシビアにやっている”とkyazm談。

作品データ

『BORN IN ASIA』 SATOH

『BORN IN ASIA』
SATOH

配信/2023年3月15日リリース

―Track List―

  1. intro
  2. RAINBOW
  3. 急げ!!!
  4. ゆらせJP
  5. 7
  6. ON AIR(SATOH,ラブリーサマーちゃん)
  7. I think im drunk(feat.aryy)
  8. pink head
  9. hate bones(feat.Cwondo)
  10. ゼンブ
  11. TOKYO FOREVER

―Guitarists―

kyazm、LINNA FIGG