藤井友信(MUSIC FROM THE MARS)の、ギターらしさを活かす無駄のないライブ機材 藤井友信(MUSIC FROM THE MARS)の、ギターらしさを活かす無駄のないライブ機材

藤井友信(MUSIC FROM THE MARS)の、ギターらしさを活かす無駄のないライブ機材

計算されたアンサンブルとキャッチーなメロディが、多くのアーティストから支持を集めるミュージシャンズ・ミュージシャン、MUSIC FROM THE MARS。彼らが開催中の、ライブ会場限定販売となる12インチEP『TRUNK』を引っ提げたリリース・ツアーから、2023年11月19日の東京・下北沢SPREAD公演に潜入し、ギター・ボーカル=藤井友信の使用機材を撮影。新たなメイン・ギターを含め、会場をグルーヴさせたギアを一挙に見ていこう。

文/撮影=福崎敬太

Guitars

L’s TRUST/LST-NB21

L's TRUST/LST-NB21

MUSIC FROM THE MARSのアンサンブルで生きる新メイン

近年、MUSIC FROM THE MARS(以下MFTM)でメイン・ギターとなっているのが、L’s TRUSTのLST-NB21。エフェクターの修理で工房に行った際に出会った1本で、サウンドが気に入り購入。

メイプル・トップ&アユース・バックのソリッド・ボディだが、以前のメインであるES-135(下記)に近い箱モノっぽい弾き心地だという。ピックアップはL’s TRUSTオリジナルのミニ・ハムバッカーで、藤井はほとんどの楽曲をセンター・ポジションで弾いていた。

中高音域がキラっとした本器のサウンドは、管楽器なども入るMFTMのアンサンブルでも抜けてくるため、重宝しているそうだ。


Gibson/ES-135

Gibson/ES-135

ライブではサブとなった長年の愛器

藤井の絶対的メインであったES-135は、サブとしてスタンバイされていた。アンサンブルする楽器が少ないOishiiOishiiやfresh!などの別バンドでは、カバーできる音域が広いため、依然としてメインで活躍している。

ピックガードがはずされているのは、生音で弾いている際に“カタカタ”という音が気になり始めたからで、“見た目的にはあったほうがカッコ良い”そう。

ちなみに、ライブ会場限定販売のアナログ12インチ『TRUNK』のティザー動画には本器を弾いている姿が映っているため、おそらくレコーディングでは使われているのだろう。

Amplifier

Marshall/JCM800 2204

Marshall/JCM800 2204

ベーシック・サウンドを生み出すJCM800

2021年に閉店した自由が丘のスタジオ、CIRCLE SOUNDSから譲り受けたJCM800。クリーン・サウンドの際はほぼエフェクターを踏んでいないため、本機とLST-NB21の組み合わせが藤井のベーシックなサウンドとなっている。

BASSツマミは控えめでMIDDLEが7程度、ライブではジャリっとしたマーシャルらしいサウンドを奏でていた。ちなみにTREBLEは、ツマミのズレによって10を指しているが、実際は左に回し切ったゼロの状態になっている。

セッティング
セッティングは写真のとおり。PRESENCEが不思議な位置になっているが、ライブでの鳴り方から判断するにゼロになっていると思われる。

Pedalboard

藤井友信のペダルボード

【Pedal List】
①BOSS/TU-2(チューナー)
②Jim Dunlop/BG95(ワウ・ペダル)
③Pro Co/RAT(ディストーション)
④Jersey Girl Homemade Guitars/Plusdriver(オーバードライブ)
⑤YAMAHA/GE-10M(イコライザー)
⑥E.W.S./ARION SCH-Z Mod(コーラス/ビブラート)⑦BOSS/DD-3(デジタル・ディレイ)
⑧Maxon/AD-9(アナログ・ディレイ)
⑨Guyatone/AC105(パワーサプライ)

必要最低限のシンプルな直列ボード

男らしく直列で組まれた藤井のペダルボード。①〜⑦を番号順にとおって、JCM800へと出力されている。

基本的なバッキング・サウンドはすべてがオフで、パートごとに直接ペダルを踏んでいくスタイルだ。

バディ・ガイの象徴的な水玉模様を持つワウ②は、“見た目で選びました”とのこと。「RAINBOW」の熱いソロでのワウ・プレイが印象的だった。

③〜⑤は歪みのバリエーションをつけるための3台。バッキングでの歪みはオーバードライブ④の“Fulltender”チャンネルをオンに、さらにプッシュする際に“Boost”チャンネルをオンにする。ソロではさらにグラッフィック・イコライザー⑤で、中域を押し上げる。「Or anotheR」ではディストーション③と⑤を組み合わせていた。

ちなみに初期型のRAT③は、元RAMMELLSの真田徹から譲り受けたもので、LEDが増設されている。

E.W.S.によるモディファイが施された⑥はコーラス・モードで使用。「RAINBOW」で踏まれ、ドリーミーなアルペジオを演出していた。

デジタル・ディレイ⑦は“L 800ms”モードで、D.TIMEを2時、F.BACKを1時あたりに設定、E.LEVELを10時程度の控えめにしてうっすらと掛かるようにしている。「WHO CARES?」ではオーバードライブ④と組み合わせて広がりのあるクランチ・サウンドを聴かせた。

なお、音が回る広い会場の場合はアナログ・ディレイ⑧が⑦の位置に代わって入るそうだ。

本ボードのエフェクターは『TRUNK』のレコーディングでも使われている。これらのほかには、Made in Wonder JapanのSUPER FUZZのクローン“RAGAMUFFIN SF-01”などが使用されたそうだ。

藤井友信
Photo by Kana Tarumi

作品データ

『TRUNK』
MUSIC FROM THE MARS

THROAT RECORDS/THR-019 /2023年10月27日リリース
※ライブ開場限定販売(2023年11月時点)

―Track List―

  1. TRUNK
  2. ダイヤモンドの海
  3. Life Between Sunshine
  4. Good Bye My Melancholy

―Guitarist―

藤井友信