関口シンゴのソロ作『tender』で“チル”な音を奏でたギター 関口シンゴのソロ作『tender』で“チル”な音を奏でたギター

関口シンゴのソロ作『tender』で“チル”な音を奏でたギター

Ovallのギタリスト、関口シンゴがソロ・インスト作『tender』をリリース。ローファイ・ヒップホップのビートに“チル”なギターを合わせた、聴き手の日常に優しく寄り添ってくれるような1枚に仕上がっている。今回はそのサウンドを生み出した5本のギターを紹介する。また、制作のすべてを行なった自宅スタジオの環境についても簡単に解説しよう。

文/撮影=福崎敬太

Rozeo Guitars/Shingo Sekiguchi Model

Rozeo Guitars/Shingo Sekiguchi Model

ジャジィな音色を生む、オリジナル・モデル

“鳴りがどんどん良くなっている”という、ロゼオのオリジナル・モデル。Ovallではアームを使うことが増えてきたため使用することは少なくなったが、『tender』のレコーディングではメインとして活躍した。ボディはカーリー・メイプルでネックはマホガニー、指板がローズウッド、ピックガードが縞黒檀という材構成。コントロールは1ボリューム&1トーンで、ボディ・エンド側の1つはダミーだ。和音の倍音感、単音での太く艶のあるサウンドがお気に入りとのこと。

Ibanez/AZ2204

Ibanez/AZ2204

カッティング特化の“スピード・スター”

「Dance」などのカッティングで重宝したAZ2204。ボディ・カラーはヘイジー・ローズ・メタリック。ピックアップはセイモア・ダンカンのHyperionで、パワーがありアタックが速く、スポーツ・カーのような印象だと語る。演奏時はおもにリアとセンターのハーフ・トーンを選択。なお、リアはタップせずにハムバッカーの状態で使用している。次に紹介するAZ2204Nとは“全然キャラクターが違って、これを持ったらついカッティングをしちゃう”とのこと。

Ibanez/AZ2204N

Ibanez/AZ2204N

DTMでニュアンスを活かすなら

本モデルのピックアップには、ニュアンスの出しやすさを追求して開発されたというセイモア・ダンカンのFortunaが搭載されている。関口の印象も同じで、“ラインで録っているのに良い感じにニュアンスが出てくれる”とのこと。イナたいプレイにマッチするため、「Raincoat」などのブルージィなリード・プレイで起用された。『tender』のみならずサポート・ワークなどでも活躍しており、彼が参加する様々な音源で本器のサウンドが聴けるそうだ。

Epiphone/Casino

Epiphone/Casino

ふくよかさと輪郭の明瞭さを兼ね備えた愛器

お馴染みのCasinoは「Mystic」や「April Coffee」で、箱モノらしいふくよかさと音の輪郭を両立したサウンドを奏でた。2005年頃に懇意にしていたリペアショップのオーナーから譲られた1本で、おそらく80年代の日本製とのこと。入手時にはすでに塗装が剥がされた状態だったそうだ。その後、前述のオーナーが庭に生えていた柿の木を使って作ったブリッジを搭載、コントロール・ツマミをスピード・ノブに変更している。

Fender/Player Plus Meteora HH

Fender/Player Plus Meteora HH

予想外の万能型はOvallでのメインに

今作では“ソリッドで力強い音が欲しい時にピンポイントで使った”という、フェンダーのPlayer Plus Meteora HH。フェンダーの企画“SESSIONS in TOKYO”の際に入手し、近年はOvallでのメイン器として活躍している。歪みやエフェクターのノリは良好なうえ、“温かみのある音で、クリーン・トーンもめちゃくちゃ綺麗です”という。1本で様々なスタイルに対応するため、ライブで重宝しているそうだ。

宅録環境について

関口シンゴのソロ作『tender』は、すべてを自宅スタジオで完結することがテーマだった。基本的なセッティングは、ギターからユニバーサル・オーディオのApollo Twin Solo(オーディオ・インターフェース)でPCに直通。

「Mystic」でギターのストリング・ヒットでリズムを刻んだループはHX Effectsのルーパー機能を使用したが、同機はコーラスやモジュレーションを少し使った程度とのこと。そのほか実機のエフェクターは不使用。

DAWはLogic Pro Xで、アンプ・シミュレーターはLogicに搭載されているAmp Designerと旧バージョンのGuitar Amp Proを使用。フェンダーの銀パネ系モデリング(Silver Panel Combo)を選択することが多かったそうだ。

「Dance」でのオート・ワウや「Tender Rose」でのロータリー・スピーカー・シミュレーターなども、Logicに付属しているエフェクトを使っている。

“Amp Designer”設定画面
「Tell me」のソロや「Mystic」などで使用した、Amp Designerのセッティング例。太く温かみのあるサウンドを出す際にチョイス。
“Guitar Amp Pro”設定画面
Guitar Amp Proのセッティング例。「Dance」のバッキングなど、アンプらしい生々しさと抜けの良さを出したい時に使用。

“Auto Funk”設定画面
「Tender Rose」や「Origami Song」などで聴けるオート・ワウは、Logicに搭載された“Pedalboard”のAuto Funk。開きすぎて痛くならないように設定している。

Shingo Sekiguchi “tender tour 2024”

日程/会場

  • 2024年3月1日(金)/大阪・LIVE SPACE CONPASS(関口シンゴ Special Band set)
  • 2024年3月23日(土)/熊本・tsukimi(関口シンゴ Solo set w/ flex life)
  • 2024年3月24日(日)/福岡・como es(関口シンゴ Solo set)
  • 2024年3月26日(火)/東京・COTTON CLUB
    1st Show:17:00開場/18:00開演(関口シンゴ Solo Set)
    2nd Show:19:30開場/20:30開演(関口シンゴ Special Band set)

チケット

※情報は記事公開時のものです。最新のチケット情報や公演詳細はツアー公式HPをチェック!

ツアー公式HP:https://sekiguchi.lnk.to/tender.tour.2024

作品データ

『tender』
関口シンゴ

origami PRODUCTIONS/OPCA-1055(通常盤)/2023年12月6日リリース
※2CD仕様の限定盤(OPCA-1056)には、名曲のカバーが5曲収録された『Chill Guitar Covers』が付属する。

―Track List―

  1. Mystic
  2. Tender Rose
  3. North Wing
  4. Dance
  5. Origami Song
  6. Pianistic
  7. Raincoat
  8. Everyday I feel your heart
  9. Southern Street
  10. Recollection
  11. Tell me
  12. April Coffee

―Guitarist―

関口シンゴ