2023年12月の来日ソロ公演に、ジョン・メイヤーが持参したエレキ・ギターは2本。どちらも彼のシグネチャー・モデルであるPRSのSilver Skyだ。今回紹介するのはエレキのメインとして使われたもので、ブリッジ下には“PROTOTYPE”と描かれたステッカーが貼られていた。
取材・文:田中雄大 機材写真:星野俊
※本記事はギター・マガジン2024年3月号に掲載された『ジョン・メイヤー来日ソロ公演の全機材 at ブルーノート東京(12月29日-12月31日)』から抜粋したものです。
Paul Reed Smith/Silver Sky(Prtotype)
エレキ・ギターのメインはもちろん、ポール・リード・スミス(PRS)によるジョンのシグネチャー・モデルであるシルバー・スカイだ。ジョンとPRSの緊密なコラボレーションによって誕生したモデルであり、ジョンとPRSがそれぞれ所有する63年製と64年製のビンテージ・ストラトキャスターをもとに、約2年半以上もの歳月を費やして開発されたという。
ジョン自身は2017年から使い続けているが、2018年には市販モデルもリリースされたため、購入して愛用するファンも多いことだろう。
スペックをおさらいすると、木材の構成はアルダー・ボディにメイプル・ネックという王道のコンビネーションで、指板はローズウッドとメイプルの2種が存在するが、今回の来日公演に持参した2本は両方ともローズウッド指板であった。
ネック・シェイプは指板の種類ごとに“635JM(メイプル指板)”、“635JM-R(ローズウッド指板)”と分かれており、指板アールはビンテージ・スタイルの7.25インチ。
ピックアップに専用モデルである“635JM”を搭載しているのもポイントだ。ちなみに、撮影時に確認したところトレモロ・スプリングは中央をはずした4本張りとなっていた。
当然ながらジョンは多数のシルバー・スカイを所有しているものと思われるが、今回登場した写真の個体にはブリッジ下に“PROTOTYPE”のステッカーが貼られている。
本器は今年1月に一般発売されたばかりの新色“Faded Black Tee Satin”と同色であるように見えるため、おそらく“新色のプロトタイプ版”という意味合いだろう。その他の仕様は一般的なシルバー・スカイと同じだと考えられる。
今回の2本のうち、ギター・テックによるとこちらの個体のほうがジョンのお気に入りとのこと。2023年に行なわれた北米ソロ・ツアーや、2022年の『Sob Rock』ツアーにおいても使われていたりとステージでの使用頻度が高いようで、ピックガード横にはピッキングによる傷がついているのがわかる。
編集部が観覧した初日の1stセットではエレキ・ギターが使われることはなかったが、別日・別セットでは「Gravity」において存分に弾き倒されていたようだ。
ギター・マガジン2024年3月号
『特集:ブライアン・メイ(クイーン)』
本記事はギター・マガジン2024年3月号に掲載された『ジョン・メイヤー来日ソロ公演の全機材 at ブルーノート東京(12月29日-12月31日)』から抜粋したものです。
本誌では、エレキ・ギター2本、アコースティック・ギター12本、2台のアンプ、2組のペダルボード、ピックやカポ、ピアノにいたるまで、2023年12月のソロ公演でジョンが用意した“全機材”を紹介していますよ!