去る2023年5月、ラスト・アルバム(『Heaven :x: Hell』)のリリースとラスト・ツアーをもって解散することを発表したSUM 41が、2024年3月にPUNKSPRINGへの出演を含む最後のジャパン・ツアーを行なった。今回、3月18日(月)のKT Zepp Yokohama公演でデリック・ウィブリー(vo,g)、デイヴ・バクシュ(g)、トム・タッカー(g,k)、ジェイソン・マクキャスリン(b)の機材撮影に成功。ここでは4人が使用したギターとベースを紹介しよう。
取材・文:小林弘昂 機材撮影:西槇太一 人物撮影:岸田哲平(©PUNKSPRING All Rights Reserved)
Deryck Whibley’s Guitars
2013 Gibson Custom/Historic Collection 1957 Les Paul Standard Reissue
P-90タイプを搭載したカスタムショップ製
2013年製の57年リイシュー・ゴールドトップ・レス・ポール。シリアル・ナンバーは“7 3789”。フロント・ピックアップはおそらくCustom Buckerだが、リア・ピックアップはギブソンのハムバッカー・サイズのP-90タイプ、P-94Tに交換されている。チューニングはすべてのギターが半音下げに設定されていた。
使用楽曲
- 「Some Say」
- 「Walking Disaster」
2013 Gibson Custom/Flying V Custom
貴重なペルハム・ブルーのVカスタム
2013年製のフライングVカスタム。シリアル・ナンバーは“CS 301378”。ペルハム・ブルーが退色し、緑がかった色味に変化している。ボディやヘッドにはクラックが入っており、ビンテージのようなルックスだ。ギター・テック曰く“たしか当時15本くらいしか製作されていないはず。かなり貴重だよ”とのこと。
使用楽曲
- 「Waiting On A Twist Of Fate」
- 「Still Waiting」
Manson Guitar Works/Original Guitar
「Pieces」用のカスタム・ギター
イギリスのブランド、Manson Guitar Worksでカスタム製作されたデリックのオリジナル・ギター。ライブでは「Pieces」のみで使用されるが、この日は演奏されず本器の出番はなかった。ピックアップはハムバッカー・サイズのP-90を1基搭載。ブリッジはEverTuneが採用されている。
2019 Gibson/Hummingbird Sustainable
「With Me」で登場したサステイナブル・シリーズ
2019年製のHummingbird Sustainable。環境配慮型社会への調和を念頭に設計・製造され、ニトロセルロース・ラッカーが一切塗布されていないサステイナブル・シリーズのモデル。トップはシトカ・スプルース、サイドとバックはウォルナットが採用されている。ピックアップはL.R.BaggsのElement VTCを搭載。
使用楽曲
- 「With Me」
Dave Baksh’s Guitar
Duesenberg/Alliance Series Dave Baksh Signature
こだわりを凝縮したオリジナル・モデル
デイヴはDuesenbergのPalomaをもとに製作した、自身のシグネチャー・モデルのみを使用。ボディはアルダー、ネックは1Pメイプル、指板はエボニーという材構成。ピックアップはフロントにAlnico Blade、センターにPearlito、リアにLittleToasterを搭載。キル・スイッチも搭載されている。ボディ・フィニッシュは80年代のポルシェから着想を得ており、ピックガードの白のストライプはデイヴが応援するイングランドのサッカー・チームの象徴とのこと。弦はErnie Ball Skinny Top Heavy Bottom Slinky Cobaltの.010〜.052で、デイヴも基本的に半音下げチューニングに設定している。
使用楽曲
- 「Motivation」
- 「The Hell Song」
- 「Over My Head(Better Off Dead)」
- 「No Reason」
- 「Out For Blood」
- 「Underclass Hero」
- 「Some Say」
- 「Landmines」
- 「Waiting On A Twist Of Fate」
- 「We’re All To Blame」
- 「Walking Disaster」
- 「With Me」
- 「Makes No Difference」
- 「My Direction〜No Brains〜All Messed Up」
- 「Another Brick In The Wall〜Fake My Own Death」
- 「We Will Rock You」
- 「Fat Lip」
- 「Still Waiting」
- 「Summer」
- 「In Too Deep」
Tom Thacker’s Guitar
E-Ⅱ/Eclipse
ラウド系に最適なEclipseをチョイス
トムのメインは、ESP USAがディレクションし、日本で製造されているE-ⅡシリーズのEclipse。ブリッジはチューニングの狂いを抑えるEverTuneを搭載。ピックアップ・セレクターが取りはずされており、常にリアを選択している。トムも基本は半音下げチューニングだが、「Out For Blood」と「Fake My Own Death」ではドロップC♯チューニングにセッティングしたサブ・ギターを使用するという。
使用楽曲
- 「Motivation」
- 「The Hell Song」
- 「Over My Head(Better Off Dead)」
- 「No Reason」
- 「Underclass Hero」
- 「Some Say」
- 「Landmines」
- 「Waiting On A Twist Of Fate」
- 「We’re All To Blame」
- 「Walking Disaster」
- 「With Me」
- 「My Direction〜No Brains〜All Messed Up」
- 「We Will Rock You」
- 「Fat Lip」
- 「Still Waiting」
- 「Summer」
- 「In Too Deep」
Jason McCaslin’s Basses
2002 Fender Custom Shop/1959 Precision Bass Reissue
20年以上使い続ける絶対的メイン
ジェイソンのメインは2002年のカスタムショップ製ジャズベース。シリアル・ナンバーは“R14333”。もともとピカピカの新品で購入したが、長年の過酷なツアーでの使用により、まるでレリック加工を施したかのような見た目になったという。ブリッジはBadass Bass Ⅱに、ペグは4弦のみHipshot製エキステンダーに交換されている。ベースも基本的に半音下げチューニングにセッティング。
使用楽曲
- 「Motivation」
- 「The Hell Song」
- 「Over My Head(Better Off Dead)」
- 「No Reason」
- 「Out For Blood」
- 「Underclass Hero」
- 「Some Say」
- 「Landmines」
- 「Waiting On A Twist Of Fate」
- 「We’re All To Blame」
- 「Walking Disaster」
- 「With Me」
- 「Summer」
- 「In Too Deep」
2002 Fender Custom Shop/1959 Precision Bass Reissue
ライブの後半で登場したパンク・ベース
赤いピックガードが搭載されたブラック・カラーのカスタムショップ製59年リイシュー・モデル。シリアル・ナンバーは“R23188”。本器も新品の状態からここまでハードに使い込んだそうだ。こちらもブリッジはBadass Bass Ⅱに、ペグは4弦のみHipshot製エキステンダーに交換されている。この日はライブ本編の後半で使用された。
使用楽曲
- 「Makes No Difference」
- 「My Direction〜No Brains〜All Messed Up」
- 「Another Brick In The Wall〜Fake My Own Death」
- 「We Will Rock You」
- 「Fat Lip」
- 「Still Waiting」