エリック・クラプトンがロンドン公演(2024年5月)のステージで使用した機材を現地レポート! 本記事ではメイン・ギターであるフェンダー・カスタムショップ製ストラトキャスター、通称“The Flag Guitar”を紹介しよう。
取材・文=和田玄 撮影=亀井紘夫 協力=ダン・ディアンリー(https://www.dandguitars.com/)、前むつみ
Fender Custom Shop
Eric Clapton Signature Stratocaster by Todd Krause
The Flag Guitar
パレスチナ国旗をイメージした
通称フラッグ・ギター
2023年12月に行なわれたパレスチナ支援イベント『To Save A Child』でお目見えした、パレスチナ国旗の黒・緑・赤・白の4色がペイントされたストラトキャスター。
ファンの間では“Gaza Guitar”とも言われているが、エリック本人は“The Flag Guitar”と呼んでいるそうだ。
元になったのは、エリックのギター倉庫にストックされていたオリンピック・ホワイトのストラトキャスターで、本人のデザイン案をベースに、ギター・テックであるダン・ディアンリーの知人が塗装を手がけたという。
もともとはダフネ・ブルーのストラトキャスター(通称“The Dressing Room Guitar”)と同じく、Texas Specialのピックアップが装着され、ミッド・ブーストは搭載されていなかったとのこと。しかし、ステージ用のギターとしてVintage Noiselessピックアップに交換され、ミッド・ブーストも搭載という、シグネチャー・モデルと同じフォーマットに仕上げられた。
近年の定石どおりTBX(フェンダー製のトーン・コントロール・キット)はなく、3wayピックアップ・セレクターが採用されている。ボディとネックはほかのストラトと同様にトッド・クラウスの製作だ。
また、ダンから聞いたところによると、エリックはリハーサルでは弦高を少しだけ高めに設定し、本番では普段どおりに戻すという興味深い要望をしているそうだ。おそらく、リハーサルではチョーキングする時の指への負担を軽くしたいのであろう。
パレスチナ紛争は非常にデリケートな問題であり、このギターもファンの間でも物議を醸したが、今回のロンドン公演ではメイン・ギターとして使用されていた。