新作『AVEANTIN』のレコーディングを終えたBREIMENのリハーサル・スタジオに潜入し、ギタリストのサトウカツシロの使用機材を撮影した。今回は彼が愛用する5本のエレキ・ギター&1本のアコギを詳しく紹介!
取材・文=伊藤雅景 写真=大谷鼓太郎
Guitars
Fender
Stratocaster “Katsushiro Full Custom”
ブライトなサウンドを生み出す新たなメイン
2024年の『AVEANTIN』リリース・ツアーより、カツシロの新たなメイン・ギターとしてデビューを果たしたフェンダー製のストラトキャスター、“Katsushiro Full Custom”。フェンダーのAmerican Vintage II 1957 Stratocasterが素体になっているが、木材以外はほぼすべてのパーツが交換されている。
ピックアップにはBONE TONE(元マスタービルダーのジョン・クルーズ氏が設計したピックアップ)が3基搭載されており、トレモロ・ブリッジは2点支持のタイプを採用。カツシロ曰く“羽根が生えたようなサウンド”とのこと。弦はアコースティック・ギターを除くすべてのギターにElixirのOptiweb(.010〜.046)を採用。
Fender Custom Shop
Jazzmaster Journeyman Relic
デビュー前からアップデートを続ける愛器
前述のストラトキャスターを入手するまで、カツシロのメイン・ギターとして活躍していたカスタムショップ製のジャズマスター。ピックアップは2024年現在、リアにCurtis Novak PickupsのJM-FAT、フロントには同社製のJM-Vが載っているが、『AVEANTIN』のレコーディング時にはKinmanのThick Masterが搭載されていた。載せ替えたのは、“音が太くなりすぎてほかのギターとの帳尻が合わなくなってしまった”のが理由。本器のサウンドは「LUCKY STRIKE」のギター・ソロなどで聴くことができる。
カツシロはアームを多用するためブリッジをMastery製に交換しているが、酷使により一度ブリッジが壊れてしまったため、現在搭載されているものは2代目だそう。チューニングはレギュラーや半音下げなど、楽曲によって様々。
OOPEGG
Trailbreaker Mark-I
おもに1音下げの楽曲で活躍するOOPEGGの代表機種
ライブやレコーディングで1音下げの楽曲を弾く際に登場するOOPEGGのTrailbreaker Mark-I。『AVEANTIN』では「a veantin」、「LUCKY STRIKE」、「乱痴気」などで活躍した。
本器のピックアップはMagneto Design LabのP-90タイプ(フロント)、2-5-SC Hot(センター)、Custom Humbucker(リア)が採用されているほか、フェイズ・イン/アウト・スイッチやコイル・タップなども搭載されており、多彩なサウンド・メイクが可能な1本。カツシロはそれらのコントロールを駆使し、わざと“ショボイ音”を作ることも多いとのこと。
Paul Reed Smith
McCarty 594
オールマイティに使える2ハム・モデル
2021年末に入手し、前作『FICTION』のレコーディングでも活躍していたPaul Reed SmithのMcCarty 594。『AVEANTIN』では「眼差し」、「ラブコメディ」などで使用された。本人曰く“凄く優秀なコイル・タップが付いていて、それが凄く好き。サウンドの可能性が無限大で、テレキャスターみたいな音も余裕で出せる”と印象を語ってくれた。
カツシロはリアのみをコイル・タップしたミックス・ポジションが一番のお気に入り。“音の太さはそのままに、フロントみたいに甘くなりすぎず、リアのシングル感が少し香ってる。でも、センターほどパキッてしてない絶妙な音が好き”とカツシロ談。
Fender American Vintage II
1975 Telecaster Deluxe
「寿限無」のギター・サウンドはこれ!
American Vintage IIシリーズが登場した際に入手したというTelecaster Deluxe。『AVEANTIN』のレコーディングでは「寿限無」でのサウンドを生み出すのに一役買っており、ライブでもたびたび登場している。今後の活躍が楽しみな1本だ。
本器に搭載されるピックアップはフェンダーのハムバッカー、Authentic CuNiFe Wide-Range Humbuckingで、レンジが広いサウンドがウリ。カツシロは“ワイド・レンジだけど明るく、やんちゃ”と印象を語っていた。
カツシロが所有するギターの中で2ハムのレイアウトは前述のPRS McCarty 594とTelecaster Deluxeのみだが、本器のほうが“暴れた音”だそうだ。
1964 Epiphone
FT-45
カツシロと成長をともにしたエピフォンのビンテージ
10代の頃から使用している64年製のEpiphone FT-45。本器は入手してから一度もメンテナンスに出していないにも関わらず、目立った不具合がないという。カツシロ曰く“信じられないほど丈夫なギター”だそうだ。弦はMartinのPHOSPHOR BRONZE Light(.012〜.054)を使用しており、チューニングは基本的にレギュラーだが、1音下げの楽曲で登場することも。
作品データ
『AVEANTIN』
BREIMEN
ソニー/BVCL-1372/2024年4月3日リリース
―Track List―
- a veantin
- ブレイクスルー
- 乱痴気
- ラブコメディ
- 眼差し
- LUCKY STRIKE
- T・P・P feat.Pecori
- 寿限無
- 魔法がとけるまで
- yonaki
- L・G・O
―Guitarist―
サトウカツシロ