IK Multimedia / TONEX Cab〜ギタリスト要注目のアンプ・シミュレーター11選 IK Multimedia / TONEX Cab〜ギタリスト要注目のアンプ・シミュレーター11選

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IK Multimedia / TONEX Cab〜ギタリスト要注目のアンプ・シミュレーター11選

アンプ・シミュレーターで作った音は“キャビネットから出てきたアンプの音”までトータルで再現されているため、その状態のサウンドをまた一般的なアンプに接続してしまうと、想定と異なった音が出てきてしまう。そのような場合に最適なのがFRFRスピーカーと呼ばれる機材だ。ここではIK MultimediaのTONEX Cabを紹介しよう。

文=鈴木誠 製品撮影=星野俊
*本記事は、ギター・マガジン2025年9月号の特集記事『自宅からステージまで1台で完結! アンプ・シミュレーターのススメ』の一部を抜粋し、再構成したものです。

IK Multimedia
TONEX Cab

IRデータを保存可能なFRFRスピーカー

IK Multimedia/TONEX Cab

ここがポイント!

  • 一般的なアンプ・キャビネットとは異なり、シミュレーターで作られた音を正確に出力するのが主目的。
  • 12インチのセレッション製低域ドライバーと1インチのLavoce製高域ドライバーを搭載。
  • 本体内に8つのIRデータを保存可能。
  • グリル(前面のネット)は換装可能な別カラーを別売りでラインナップ。

プラグインの“AmpliTube”シリーズや、“TONEX”シリーズを展開するIK Multimediaが送り出すFRFRスピーカー。ギター・サウンドの入口となるエフェクト・ペダルやオーディオ・インターフェースから、出口となるアンプまでの流れを完成させる製品だ。12.7kgと可搬性に優れ、ステージ上でモニター用としても使いやすいチルト・スタンドも搭載している。

FRFRとは“フル・レンジ・フラット・レスポンス”の略。スピーカーやキャビネットの特性も含めて音色のキャラクターとする一般的なギター・アンプとは異なり、アンプ&キャビネット・シミュレーションで作られた音を正確に出力することを目的とした製品だ。スピーカーの構成もギター・アンプとは異なり、本器は12インチのCelestion製低域ドライバーに加えて、1インチのLavoce高域ドライバーを搭載している。

組み合わせるシミュレーターは、同社のTONEXシリーズはもちろん、各社のキャプチャー・システムやモデラーを想定。木製キャビネットの採用も相まって、PAシステム経由のウェッジ・モニターでは得がたいギター・アンプらしいサウンドと演奏感を実現している。

3バンドEQに加えて、独自に搭載する“AMP TONE”ノブを操作すると、中音域の特性や高音域の拡散をコントロールし、アンプの弾き心地やレスポンスを調節可能。デジタルらしい高精度なサウンドと、伝統的なアンプらしい響きやレスポンスを両立する。

また、TONEX Cabの本体内に8つのIRデータを保存可能。プリセット・ノブで素早く呼び出せる。これによりキャビネット・シミュレーションを持たない機材を前段につないでも、ギター・アンプから出力したようなリアルな質感のサウンドを得られる。

出力は350W RMS、700W Peakで、最大音圧レベルは132dB SPL。XLR出力を使って複数台のキャビネットをリンクさせることもできる。デジタル・モデラーが普及する現代に寄り添う、新機軸のスピーカー・キャビネットだ。

コントロール・パネル

▲TONEX Cab上面のコントロール・パネル。3バンドのEQとボリュームのほか、リアルなキャビネットの“鳴り感”をコントロールするイメージの“AMP TONE”コントロールを搭載する。また、8つのIRデータをプリセットすることができ、MIDIプログラム・チェンジによるコントロールも可能だ

OGAWA’s IMPRESSION

ウェッジよりも箱鳴り感が得られるので、
その点でもギタリストに向いていると思います。

小川翔
小川翔

こちらはギター・アンプではなく、シミュレーターの出力用途に特化したFRFRスピーカーです。

今日はせっかく色んなシミュレーターが集まっているので、同じブランドのTONEX PedalのほかにもKemrperやQuad Cortexなどをこのスピーカーから出力してみましたが、やっぱりギター・アンプに接続するのとは違ってそれぞれのキャラクターをしっかりと表現できますね。接続したシミュレーターのキャビネット・シミュレーションをオンにした状態で音を出してみてもかなり良い感じで、シミュレーターの音色にあるローがしっかりと出ています。

実際に楽曲制作で作った音色をツアーに持ち出していて、なおかつ小さめの会場でのセッション・ライブにも同じ音を使いたい……という場合、これがあればそのまま持って行けるわけですよね。会場にあるギター・アンプのリターン端子につないで、音色のマッチングに悩んだりしなくていい。

パネルに用意された“AMP TONE”というツマミがTONEX Cabならではの特徴ですが、いかがでしょうか?

これを回すと、箱鳴り感が変わる感じですかね。EQという効き方ではなく、鳴り方の変化だなと思いました。古いフェンダー・アンプのように薄いパイン材のキャビネットがよく鳴っているような感じから、Orangeアンプみたいなガッシリした超重量級のキャビネットの出音の感じまでが選べるという雰囲気です。

ステージ上で自分の背中にギター・アンプとして置くことを考えると、FRFRスピーカーそのままでは無機質な音に感じられるケースもあるので、その場合にAMP TONEノブでライブ感を与えられるわけですね。こうして静かなスタジオで試奏している状況では、僕は真ん中の位置がいいなと思っています。

“モデラー&FRFRスピーカー”という運用は、まだそれほど浸透していない印象ですが、小川さんはどんなイメージをお持ちですか?

僕は実際のところ、ライブハウスなら会場にあるアンプを使っているわけですが、FRFRスピーカーも気になっていたことはあります。僕はstrymonのIRIDIUMを愛用しているんですが、そこで作った音をパワーアンプやキャビネットとのマッチングの不安なく持ち出せると考えたらメリットですよね。それにAUX INもあるから、1人でオケをバックに流して演奏するのにも使えます。フル・レンジだからギター・サウンド以外もキレイに再生される。複数台をつないでステレオ出力もできますしね。音量的にもバンドで使えるぐらい出そうです。

スタジオで音量全開にしたことがありますが、最大音量はかなり大きいですね。

それならいいですね。例えばデラリバぐらいのアンプを会場に持っていったとして、もしバンドが大音量だったらもう音量的に歪んでしまってペダル・プラットフォームとしては使いづらいわけですよね。かといって、Twin Reverbは重くて持っていけない。そんな場面でありがたい選択肢になりそうです。

ウェッジのモニター・スピーカーを背負うのがギタリストに流行らないのは、音が直線的すぎるからだと思うんです。“モニターすぎる”というか。ああいうモニター・スピーカーは音が前にしか飛びませんけど、これは箱鳴り感も得られますから、その点でもギタリストには合うのかなと思います。ステージでギター・アンプが鳴ってる感じを演出できますよね。

どんな人にオススメでしょうか?

特に、普段デジタルで音を作り込んでる人には良いと思います。EQの微調節もすぐにできますし。例えばイヤモニでは音が良かったけど、ウェッジ・モニターで返ってきた音を聴いて“ちょっと違うな”と思った時に、モデラーだと階層に入らないとEQを設定できませんよね。それで一度EQ設定を変えてしまうと、別の現場に持っていった時に今度は“あれ、変だな”となってしまう。でも、これなら現場でTONEX CabのEQノブを触るだけで解決できるのが大きいです。

ギター・サウンドをデジタル機材で作り込んでライブハウスに持ち込む人は、わりと趣味でギターを楽しんでいる人に多いイメージなんです。ただ、キャビネットに行く音とPA卓に行く音が全然違っていて、ハウス・スピーカーからはシャリシャリの音が出ている……みたいな現象がよく起こっていると思うんですよ。でもこれって、会場のPAさんとディスカッションできないと解決が難しいので、少しレベルが高い問題だと思います。

それがTONEX Cabのような製品を会場に持ち込めばサクッと解決できると思うので、アマチュアの人ほどメリットが大きいのではないでしょうか。例えばKemperなどで作った音と一緒にTONEX Cabを持っていけば、会場側もマイクを立てるなりラインアウトを使うなり、対応しやすいですよね。失敗が少なそうな気がします。

IK Multimedia
TONEX Cab

【スペック】
●出力:350W RMS/700W Peak
●スピーカー:セレッション製12インチ低域ドライバー、Lavoce製1インチ高域ドライバー
●外形寸法:546(W)×230(D)×432(H)mm
●重量:12.7kg
●付属ソフトウェア:TONEX SE for Mac / PC 、AmpliTube 5 SE

【価格】
140,800円円(税込)

【問い合わせ】
フックアップ TEL:03-6240-1213  http://www.hookup.co.jp

IK Multimedia /TONEX Cab
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小川翔