ギター初心者におくる、ギター・エフェクターの基礎知識100連発! 意外と知らない、今さら聞けない、そんな時のペダル辞典としてもご活用あれ!
文=今西勇仁(Limetone Audio)
第22回:TS系オーバードライブとは?
TS系とは、歪みエフェクターの中でIbanezのTube Screamer(チューブ・スクリーマー)に類する回路や、それをもとにした回路/コンセプトのオーバードライブ・エフェクターのことを指します。
まず、Tube Screamerとはどういったエフェクターかというと、1979年に発売されたTS808、1982年に発売されたTS9といったモデルが該当し、比較的中域にフォーカスしたサウンドになります。
70年代当時、フェンダーやマーシャルといったアンプは単体だとそこまで歪まず、高域が耳に痛いモデルが多かった時代でした。このような真空管アンプに接続して使うブースター・ペダルとして誕生したのがTube Screamerです。中域にフォーカスする仕様により、オンにすると耳に痛い高域と不要な低域をある程度カット。そしてアンプの手前でドライブさせることによって、アンプの歪みを増すことができるという、当時の悩みが一発で解消できるアイテムであったため、世界中で注目を集めました。
そのコンセプトや仕様用途は現代でも使えるもので、いまだに愛されるエフェクターとなっており、各社からTSの回路を基準とし独自のカスタマイズや解釈を加えたオーバードライブが多数発売されています。それらをまとめてTS系と呼んでいます。心なしか緑色のカラーのものが多いですね(TS808やTS9が緑色だったため、TS=緑のイメージが定着している)!


著者プロフィール
今西勇仁(いまにし・ゆうじん)
ギタリスト/サウンド・エンジニア。エフェクター・ブランド、Limetone Audioのサウンド・デザイナー。 “サンレコ・ミックス・ダウン・コンテスト2006”に入賞し、その後多くのミュージシャンの楽曲のミックスを手がける。また、自身もギタリストとして、アーティストのサポート活動や、レコーディングに参加。並行してプロミュージシャン向けの機材の開発、モディファイを行なう。 2017年に開催された、“第4回エフェクタービルダーズ・コンテスト”(主催:TOKYO EFFECTOR)での優勝を機にLimetone Audioを設立。プレイヤー目線での商品開発、設計を行ない、現在多くのプロの現場で使用されている。各種製品は全国の楽器店で販売中。 2020年よりYouTubeチャンネルをスタート。メーカーの枠にとらわれずに、エフェクターや機材の楽しみ方を皆さまにお伝えします。
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