Interview | 小山田壮平×濱野夏椰 初ソロ作『THE TRAVELING LIFE』の制作秘話 Interview | 小山田壮平×濱野夏椰 初ソロ作『THE TRAVELING LIFE』の制作秘話

Interview | 小山田壮平×濱野夏椰
初ソロ作『THE TRAVELING LIFE』の制作秘話

“マンチェスター・チューニング”を定着させていきたい。
──濱野夏椰

今作で夏椰さんが求めたギター・サウンドは?

濱野 曲によって違うんですけど、「HIGH WAY」はトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズって感じです。「旅に出るならどこまでも」はレッチリの『Stadium Arcadium』。

小山田 これ全曲言う流れだよ(笑)。

濱野 ヤバイ(笑)。「OH MAY GOD」はレッチリの『By The Way』。「雨の散歩道」はレスリーを使ったからプロコル・ハルムかな。で、「ゆうちゃん」は“みんなのノスタルジー”みたいな。「ベロベロックンローラー」はベロベロ酔っ払ってる感じ(笑)。「スランプは底なし」と「Kapachino」はどっちもフライングVで録ったんです。「Crazy Train」(オジー・オズボーン/『Blizzard Of Ozz』収録)みたいな音で。

ランディ・ローズですね(笑)。

濱野 「君の愛する歌」は壮平君から“優しい宿”っていうイメージを言われていたので、以前インドで泊まった宿を思い出しながら弾いてました。「ローヌの岸辺」は映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』を観直して弾きましたね。「夕暮れのハイ」は初期オアシスって感じです! MATAMP(GT-100)を200Vで鳴らして、ドアを開けてレコーディングしました。

小山田 “マンチェスター・チューニング”にしたよね。

濱野 そう。ギターのチューニングを441Hzにしてね。200Vのアンプと441Hzのギターで“マンチェスター・チューニング”。これを定着させていきたい。

濱野夏椰

壮平さんも夏椰さんと同じように、1曲ごとにイメージを持っているのでしょうか?

小山田 いや〜(笑)。……「HIGH WAY」はくるりですね。「旅に出るならどこまでも」はストロークスです。

濱野 そういうことだったんだ……!

小山田 自分のギターだけのイメージね(笑)! 「OH MY GOD」はシンディ・ローパーです。

濱野 こういうの聞くとおもしろいですよね。“そうなんだ!”ってなる(笑)。

小山田 「雨の散歩道」は……。

濱野 井上陽水!?

小山田 いや……。

濱野 ほら、解釈の違い(笑)。

小山田 (笑)。「雨の散歩道」はブルース好きのおいちゃんって感じかな。「ゆうちゃん」はハネてるし……元気な小学生。「ベロベロックンローラー」は夏椰君がギターを入れてくれたのもあって、ちょっとオールディーズな感じがしてるんですよね。「スランプは底なし」も夏椰君のスライド・ギターが良い。

濱野 今作はIZU STUDIOで録ったんですけど、あそこって“出る”じゃないですか? まだ審議中なんですけど、僕のスライド・ギターの音が女の人の声に聴こえるっていう。

ええ!

小山田 ゴーストだよ(笑)! 「Kapachino」はリバティーンズって感じがするな。「君の愛する歌」はいろんな音が入っていておもしろい。“流れ星”とか……って、コレ説明になってないですよね?

いえいえ(笑)。“流れ星”って、イントロのキラキラしたギターのことですよね。

濱野 そうです。ジャガーとルーパーで作りました。ボリューム奏法でファ〜っとフレーズを入れるとそれが重なっていくので、窪みを埋めるようにどんどん足していきましたね。

小山田 「ローヌの岸辺」は最初クラシックのイメージがあったんですけど、夏椰君が逆再生のピアノのアイディアを入れてくれたんですよ。

濱野 逆再生のピアノの選択はみんながやってくれましたけどね。

小山田 散らかして帰ったという。“どうしろっちゅうねん!”みたいな(笑)。だからすごくおもしろい曲になりましたね。で、「夕暮れのハイ」は“UKだね”と言われたのでUKロックになりました。最初はアコギのイメージだったのにね。

濱野 うん。あのリフを思いついちゃって(笑)。

小山田 最初に夏椰君が弾こうとしたリフは、すごくオールド・ロックみたいな感じだったんですよ。僕はそれも良いなと思ったんですけど、“ちょっとオアシスの「Slide Away」(『Definitely Maybe』収録)みたいな感じにしてみて”って言ったら……。

濱野 そこでまた違ったオアシスの解釈が起きてしまって、こうなりました(笑)。

(笑)。では最後に、今作の聴きどころを教えて下さい。

濱野 “車に乗ってどこまでも行こう!”となって、“OH MY GOD”ってこともあって……。

小山田 また自ら難しい方向に……(笑)。

濱野 (笑)。雨も降ったり、懐かしい気持ちになって昔の約束とかを思い出しちゃって酒浸りになったり。そして“もう何もできないスランプだ”って言ったり、フランスに行ったりもするけど、最後は夕暮れを見てハイになるっていうところです(笑)。このアルバムはおじいちゃんになっても、おばあちゃんになっても、ずっと聴けるんじゃないですかね。

小山田 いろんな音色や、色鮮やかな景色を奏でているんじゃないかなと思います。“人生をともに楽しみましょう!”ってことで、自由に楽しんでいただけたらうれしいな。

作品データ

『THE TRAVELING LIFE』 小山田壮平

ビクター/VICL-65411/2020年8月26日リリース

―Track List―

01.HIGH WAY
02.旅に出るならどこまでも
03.OH MY GOD
04.雨の散歩道
05.ゆうちゃん
06.あの日の約束通りに
07.ベロベロックンローラー
08.スランプは底なし
09.Kapachino
10.君の愛する歌
11.ローヌの岸辺
12.夕暮れのハイ

―Guitarists―

小山田壮平、濱野夏椰