レディオヘッドはいまだに僕のお気に入りだよ。
ギター・ソロでのアウト的なフレーズは、ローゼンウィンケルのアプローチを踏襲していますか?
それはどうかな。カートから習ったことはないし、僕にはウェイン・クランツという師匠がいる。ウェインと僕のスタイルはまったく違うので不思議に思うかもだけど、彼はとても重要だった。シンプルなハーモニー……例えばEmであっても、そこからアウトしていったりもするのは彼の影響だね。逆にさっき言ったコード進行がすごく入り組んでいる時は、そのハーモニーの音を弾くことがとても大事だと思っている。なぜなら進行が入り組んでいるのには理由があるはずで、インサイド寄りで弾いたほうがいいんだ。そして、むしろテンション・リゾルブで考えることのほうが多いかな。要するに、テンションをあえて作っておいてから、元に戻る、つまり解決する。例えば、ディミニッシュ・コードからいかにして自分が目指しているコードまでたどり着けるかを考えるんだ。
レディオヘッドやシガー・ロスからも影響を受けているそうですね?
そうなんだ。シガー・ロスは好きだった時期があって今はそれほどでもないんだけど、レディオヘッドはいまだに僕のお気に入りだよ。いろんなハーモニーやフレーズの長さで曲を書いている。楽しくて興味深いバンドだよ。そして美しい。
例えば「Mars」や「Virgo (Oliver’s Song)」のギターのイントロなどからは、レディオヘッドの世界観が感じられるように思うのですが?
特に「Mars」がそうだね。レディオヘッドというよりは、トム・ヨークなんだ。リズムは違うけど、アルバム『The Eraser』収録の「Black Swan」という曲を思い起こすかもしれない。「Virgo」もたしかにレディオヘッドのアンセムっぽいバイブがあるけれど、それよりも僕にとって重要なのはブライアン・ブレイド(d)のフェロウシップ・バンドのニュアンスだね。
僕はアーティキュレーションがとても大切だと思うんだ。
普段はどういった練習をしているのですか?
テクニックがちゃんと出せる状態にしておきたいから、時間がある時は指板全部を使ってスケールを弾いて、左右の手をシンクロさせるようにしている。一往復したらキーを変えるというのをメジャー、メロディック・マイナー、ハーモニック・マイナー、ハーモニック・メジャーでやっているよ。“今日はメジャー”、“明日はマイナー”と日替わりでやることもあるね。それからアルペジオを練習することもあるし、インターバルを5度、4度、長7度などのサイクルで、それにさまざまなトライアド(=3和音)でとかね。そうそう、最近はいろんなペンタトニック・スケールもやってるよ。普通のメジャー・ペンタもやれば、その6度を半音下にしたスケールや、6度と3度も半音下げたやつとかいろいろね。そうしてテクニックを常にキープしている。それから僕はアーティキュレーションがとても大切だと思うんだ。音をはっきりうまく出すことが大事だから、それにも時間をかけてもいる。
ハーモニー面での練習もしますよね?
もちろんさ。さまざまなコード進行でやるよ。自分の曲か、もしくは、あまり得意でないものをピックアップして練習する。知識不足のせいでやりたいことができないのが嫌だから、どこでもどんなコードでも瞬時にスムーズに弾けるようにする。加えてどんなキーにも転調できるようにもね。
まだ日本に来たことはありませんよね?
そうなんだよ。これは決して社交辞令じゃなくて、僕は日本の歴史と文化が大好きなんだ。だから日本行きは僕の夢だよ。近い将来ぜひとも実現したいね。
Ricardo’s Gear
Guitar & Amps
Effects
Pedal List
①TC Electronic/Polytune 2(チューナー)
②Pettyjohn/Filter(イコライザー)
③Pettyjohn/Gold MKII(オーバードライブ)
④Origin Effects/Cali76(コンプレッサー)
⑤EarthQuaker Devices/Avalanche Run(ステレオ・ディレイ&リバーブ)
⑥MXR/Carbon Copy(アナログ・ディレイ)
作品データ
『1962』
Ricardo Grilli
Deko Music / Tone Rogue Records/Deko-TRR009/2020年7月17日リリース
―Track List―
01.1954-1962
02.Mars
03.Signs (Blues for Peter Bernstein)
04.Coyote
05.ERP
06.The Sea and the Night
07.Lunatico
08.183 W 10th St
09.Virgo (Oliver’s Song)
10.Voyager
―Guitarists―
リカルド・グリーリ