マルコムは謙虚で、一切のエゴがなくて
僕は彼から学ばなくちゃいけない
マルコムと知り合った頃の話も聞かせて下さい。
初めて会ったのは僕がまだロンドンに来たばかりの頃だから、20年くらい前になるのかな。リトル・バーリーのかなり初期のシングルはスターク・リアリティというレーベルからリリースしていて、あそこはジャズマン・レコードとつながりがあったんだ。マルコムは当時ソウル・デストロイヤーズというバンドにいて、彼らもスターク・リアリティに所属していてね。で、ある時レコード会社の社長に会いにオフィスに行ったらマルコムがいて、そこで初めて会ったんだ。それ以来ソウル・デストロイヤーズのライブを観に行くようになり、彼のドラマーとしての素晴らしさに驚いたものだったな。彼は僕のフェイバリットなミュージシャンとなり、“いつの日か一緒に曲が作れたらいいな”と思うようになった。しかし、僕らはそれ以降まったく交わることなく月日が過ぎ、何年も会うことがなかったんだよ。でも、2017年にソウル・デストロイヤーズとヘリオセントリックスのエイドリアン・オウス(g)から“マルコムのスタジオに行ってごらん。かなりすごいから”と薦められ、マルコムの電話番号を貰ったんだ。13年くらい会ってなかったんだけど、また会えるのは素晴らしいことだと思ったよ。だって僕は彼が作ってきた音楽が好きだったからね。
マルコムはドラマーですが、プロデューサーとしての彼から、ギタリストやほかのプロデューサーにはない視点を感じたことはありましたか?
それはけっこうあったと思うな。マルコムはドラム以外の楽器もいくつか演奏できるんだ。自分では“上手ではない”と言うけれど、彼のギターはけっこうおもしろいことをしていてね。生まれつき音楽的なセンスがあって、それが彼とやりたかった理由でもあるんだ。彼はドラムのことだけじゃなくて、曲全体のことを考えているんだよ。音楽の素晴らしさから、彼の力は十分にわかっていたしね。
マルコムと一緒に仕事をしてみて、彼はどういうミュージシャンだと感じました?
レコーディングやプロデュースについては独学で身につけたらしくてね。僕は今まで多くのプロデューサーと一緒に仕事をしてきたけれど、自分たちが不在でミックスを任せられるほど信頼できる人はなかなかいなかったよ。でも、マルコムは特例だし、レコーディングも本当に楽しかったんだ。彼は素晴らしい耳を持っている。音楽に関する知識も驚異的で、好きなものから相当なインスピレーションを得てきたのだろうね。それでいて、今でも貪欲にスタジオで学び続けている。とても謙虚な人で、一切のエゴがなくて、僕は彼から学ばなくちゃいけないと思っているよ。
Special Contents
サムピックを使ったギャロッピング指南!
Special Contents
代表曲「Free Salute」を本人が解説!
作品データ

『Quatermass Seven』リトル・バーリー
Madlib Invazion/MMS043CD/2020年10月16日リリース
―Track List―
01.Rest In Blue
02.You’re Only You
03.Repeater #2
04.T.R.A.B.S.
05.Steel Drum
06.After After
07.Repeater #1
―Guitarist―
バーリー・カドガン