Interview | リトル・バーリー【後編】『Quatermass Seven』のバーリー・カドガン使用機材 Interview | リトル・バーリー【後編】『Quatermass Seven』のバーリー・カドガン使用機材

Interview | リトル・バーリー【後編】
『Quatermass Seven』のバーリー・カドガン使用機材

KayのRed Devilのサウンドが
このアルバムに欲しかったんだ

では、ギターは何を使いましたか?

 いつもの白いPhilippe Dubreuilleを使ったし、黒いES-345や、数年前に手に入れた63年製のKayのRed Devilも使った。Kayにはフラットワウンド弦を張っていて、とってもクールなトーンなんだ。「T.R.A.B.S.」をプレイしたのは、まさしくこのギターだね。あとマルコムのスタジオはけっこう小さくて、僕らは密接した状態でレコーディングしていたから、あまりうるさくないアンプが必要だったんだ。そこで僕の友人がロンドンで運営しているJPF Ampsというメーカーから、12インチのスピーカーを一発搭載した15Wのアンプを借りたんだよ。サウンドが素晴らしかったので、今回はこのアンプ1台で録り切ってしまった。ちなみに僕はもともと、このメーカーの12インチ・スピーカーが2発のコンボ・アンプを持っていたんだ。

1963 Gibson / ES-345TDSV

バーリーが絶大な信頼を寄せるのが63年製のES-345TDSVだ。購入時からブラックにリフィニッシュされていたそうで、安く購入できたとのこと。右肘が当たる部分は塗装が剥げ、サンバーストが顔を覗かせている。本来はステレオ・アウト仕様だが、モノラル・アウトに改造済み。ビグスビーはあと付けで、プライマル・スクリーム時代の映像を観るとストップ・テイルピースの本器を確認できる。

1963 Kay / K592 Red Devil

2年前に友人から購入したという63年製のKay K592、通称Red Devil。オリジナル・シェイプのホロー・ボディ構造を採用し、ビグスビーを搭載。バーリーは本器にフラットワウンド弦を張っており、妖艶なサウンドを演出している。本作のレコーディングでは“50年代のレコードのようなサウンド”を求め、「T.R.A.B.S.」などで使用された。

あなたのInstagramの演奏動画を見ていると、Kayの登場回数が多いですよね。

 このKayはもともと友人からずっと借りていたものだった。ある時、その友人がこのギターを地元の楽器店に委託販売で売りに出していて、偶然それを僕が見つけてね。で、試奏したら気に入り、彼は“お前が弾いたらなかなか良いサウンドになるじゃないか!”となって、売るのを止めて貸してくれたんだよ。2年前になって、やっと彼から購入したんだ。時には人気のあるモデル以外のギターを弾いてみるのも悪くないよ。フェンダーやギブソン、グレッチ、マーティンというのは、説明するまでもなく素晴らしい。しかし、それらに比べ認知度が低いビンテージ・ギターには、ユニークでおもしろいサウンドがある。プレイもそれにインスパイアされてしまうものだ。僕が持っている古いFramusのギターは、とあるビデオ収録を手伝った際に、友人からギャラの代わりに壊れた状態で貰ったんだ。ほかにもHarmony製のSilvertoneも持っていて、銀色のホイルに巻かれたピックアップがお気に入りだね。高級なギターのフィーリングはないかもしれないけど、素晴らしいサウンドやヴァイブを持っている。ほんのちょっと手を加えれば、とてもナイスなサウンドになるんだ。

あなたのメイン・ギターはPhilippe Dubreuilleのカスタム・モデルですが、そのほかにも63年製ES-345や62年製ES-330、さらには55年製レス・ポール・カスタムといった、素晴らしいビンテージ・ギターも印象的です。

 (レス・ポール・カスタムを見せながら)これはレコーディングでは使わなかったんだ。このギターはもともとブリッジ・ピックアップがザグられていて、P-90じゃなくハムバッカーが搭載されていたし、トップもリフィニッシュされていて、リフレットもかなりひどい状態でね。保存環境も酷かったみたいで、最初に楽器店で見つけた時はガソリンの匂いがしていたんだ(笑)。たぶん何年も動いていないような車と一緒にガレージの中に眠っていたんじゃないかな。そんな状態だったけど、持っていたギターを2本手放して、やっと手に入れることができたんだ。この時代のレス・ポール・カスタムが欲しいと20年くらい思い続けていたよ。もちろん使えるようにするために修理しなくちゃいけなかったけどね。ブリッジのP-90ピックアップは同じ年代のビンテージを手に入れて、ちゃんとザグりも埋めて搭載し直してもらったよ。フロントのステイプル・ピックアップもなかなかナイスなサウンドなんだ。

ギターは普段、どのように使い分けているのでしょう?

 実はレコーディングにはあまりギターを何本も持っていかないことが良かったりする。逆にたくさんのギターがあると、どれを使っていいのかわからなくなってしまうことがあるからね。あれこれ選べる贅沢な状況が良いことばかりとは言えないんだよ。セッションに行く時はES-345を持っていくようにしていて、それはどんな場所でも問題なく使えるからなんだ。で、Kayはこれじゃないと得られないサウンドがある。映画のサウンドトラックや、50年代のレコードでこういった音がよく聴けるよね。だからこそ、このサウンドがこのアルバムに欲しかったんだ。僕のギターって基本的に全部シンプルで、ピックアップが2個、ビグスビーが付いているのがほとんど。あとはホロー・ボディのサウンドとフィーリングが好きなんだ。

最後に、日本のギター好きのファンにメッセージをお願いします。

 僕らは日本にいるみんなのことを恋しく思っている。日本は大好きだし、第二の故郷みたいだよ。みんなぜひ互いを思いやって、健康に気をつけて過ごしてほしい。もう何年もそちらに行っていないから、その日が再び来るのを楽しみにしているよ。ギタリストたちには、ぜひプレイし続けて欲しいと思っている。ギターについて学ぶべき新しいことは常にたくさんあって、長くギターを弾いていると新しいスタイルを学びたい欲が出てくるものだろう。僕だってここ数年はフィンガーピッキングを学ぶようになった。学び続けるっていうのはとても素晴らしいことだよ。自分が今まで聴いたことのない音楽やギタリストをチェックしてみたり、逆に昔の時代のギタリストを掘り下げていくのも良いだろうね。

作品データ

『Quatermass Seven』リトル・バーリー

Madlib Invazion/MMS043CD/2020年10月16日リリース

―Track List―

01.Rest In Blue
02.You’re Only You
03.Repeater #2
04.T.R.A.B.S.
05.Steel Drum
06.After After
07.Repeater #1

―Guitarist―

バーリー・カドガン