Interview | 大竹雅生(ミツメ)ギターでどこまでできるか、それを試したかったんです。 Interview | 大竹雅生(ミツメ)ギターでどこまでできるか、それを試したかったんです。

Interview | 大竹雅生(ミツメ)
ギターでどこまでできるか、それを試したかったんです。

「ダンス」1曲のために
ファズ・ファクトリーを導入。

アンサンブルのミニマルさと言う点では、今作はギターの多重録音している割にはスッキリとした聴感でした。

 ギターに関して言うと、今回はエフェクターもあまり使いませんでした。ディレイやモジュレーション系もあまり使用せず。それも素朴な感じに結びついてるのかもしれません。

「リピート」など、コード・バッキングのサウンドはすこしエアリーな感じですよね。ギター・サウンドの方向性は何かありましたか?

 全体としてひとつの方向を向いているかはわからないですが、ギターの音作りとしてはなるべく音色のバリエーションを少なくしようとは思いました。アンプやエフェクターでのサウンドメイクではなく、フレーズ、ハーモニー、弾き方のニュアンスとか、強弱だったり……そういうところで違いをつけようと。

なるほど。少ない音色の中でも「ダンス」ではファズのギター・ソロが一際目立ちますね。ただ、一般的にファズは攻撃性の強いイメージがあると思うのですが、ミツメの楽曲にあると独特の響きが生まれています。大竹さんはファズの使い方で何か考えていることはありますか?

 これまでミツメでは、ファズまでいくような歪みはほとんど使ってこなかったんです。「ダンス」は間奏部分が珍しく長く取ってあったので、ここに何か入れないとちょっと物足りないなと。その段階での雰囲気としてはきれいにまとまりすぎている感じもあり、ちょっと異物感のあるものを入れたかった。それでファズを選びました。周りが軽やかな演奏をしている中で急にファズ・ギターが入ってきたら、違和感があっておもしろいんじゃないかと。実験として入れてみたら、すごくハマりましたね。

ファズは何のペダルを?

 ファズ・ファクトリーですね。実は「ダンス」のために入手したんです(笑)。

1曲のためにファズ・ファクトリーを買ったんですね(笑)。

 (笑)。音作りの幅が広いペダルを探していたんです。これはパラメーターの幅も広いし、ブチブチしたサウンドや、サステインが残らないサウンドにできる点も気に入って買いました。でも、レコーディングの時に出した音がなかなか再現できないのですが(笑)。

(笑)。アンプは何を?

 VOXのAC30です。2nd(『eye』)の頃からずっとそうですね。

では、最後にギタリストとして今後の目標を聞かせて下さい。

 プレイヤーとしてこうなりたいというより、良い作品を作りたいって気持ちのほうが強いですね。ギターに限らず、おもしろい音を残せればいいかなと。ただ、ずっとギターをやってきたこともあるので、引き続きもう少しギターと向き合っていこうと思います。

Mao’s Guitar

1966 Fender Mustang

大竹のメインは4~5年前に入手したという1966年製フェンダー・ムスタング。今作でも本器が活躍した。ピックアップは3ポジションを満遍なく使用するという。フェイズ・スイッチは使わない。ちなみに、4/13発売予定のギター・マガジン2021年5月号“ムスタング特集”では本器が登場予定。お楽しみに!

Mao’s Pedalboard

【Pedal List】
①TC Electronic/Polytune(チューナー)
②MXR/Phase 95(フェイザー)
③BOSS/PS-5(ピッチ・シフター)
④Electro-Harmonix/Micro Q-Tron(エンベロープ・フィルター)
⑤BOSS/CS-3(コンプレッサー)
⑥Z.Vex/Box Of Rock(オーバードライブ)
⑦Z.Vex/Fuzz Factory(ファズ)
⑧Maxon/CS-550(コーラス)
⑨Strymon/Volante(ディレイ)
⑩TC Electronic/Hall Of Fame 2(リバーブ)
⑪DigiTech/Digiverb(リバーブ)
⑫Xotic/EP Booster(ブースター)
⑬One Control/Gecko MKⅢ(MIDIコントローラー)

大竹がライブ/レコーディングで使用するメインのペダルボード。接続順はすべて直列で①~⑫のとおりだ。歪みは愛用アンプVOX AC30で作り、歪み量を増やしたい時などは⑥をオン。ツマミはすべて12時前後に設定することが多い。が、DRIVEツマミだけ曲によって調整する(ツマミをプロペラ型に付け替えており、大竹はこれを足で操作するそう!)。より歪みが欲しい時は⑫を踏む。⑤は踏みっぱなしにすることも多々あり。今作「リピート」では常時オンにしたという。一番気に入っているペダルはディレイ⑨。タップ機能や音価を指定できることに加え、テープ・エコーのシミュレートの音が気に入っているそう。

【Pedal List】
①MASF Pedals/Raptio(グリッチ/ホールド)
②Chase Bliss Audio/Mood(グラニュラー)
③Chase Bliss Audio/Blooper(ルーパー)
④The Montreal Assembly/Count to 5(ピッチシフター/ディレイ/ルーパー)

こちらはライブ専用で活躍するボード。ペダルは①~④の順で接続され、ボードごと前写真の①(TC Electronic/Polytune)と②(MXR/Phase 95)の間に接続する。個性的なサウンドを作り出すこれら4つのいわば変態ペダルは、当初ライブのために用意されたものではなく“単純におもしろそうだったから買った”という。そうして遊びで使っているうちにライブ使用をしたくなり、ボードを組むにいたったというわけだ。ライブではテンポフリーになる場面などで使うそうだが、それぞれのペダルの用途は特に決まっていないそう。

作品データ

『VI』 ミツメ

スペースシャワー/PECF-1183/2021年3月24日リリース

―Track List―

[DISC1]
01.Intro
02. フィクション
03. 変身
04. ダンス
05. 睡魔
06. メッセージ
07. システム
08. VIDEO
09. リピート
10. コンタクト
11. Interlude
12. トニック・ラブ

[DISC2]
01. Intro
02. フィクション(instrumental)
03. 変身(instrumental)
04. ダンス(instrumental)
05. 睡魔(instrumental)
06. メッセージ(instrumental)
07. システム(instrumental)
08. VIDEO(instrumental)
09. リピート(instrumental)
10. コンタクト(instrumental)
11. Interlude
12. トニック・ラブ(instrumental)

―Guitarists―

大竹雅生、川辺素