2017年に結成後、中毒性の高いポップスと過激なギター・サウンドで若者を中心に大きな支持を集めるネクライトーキー。昨年のメジャー・デビュー作『ZOO!!』から1年ぶりとなる最新作『FREAK』では、楽曲のキャッチーさはそのままに、プログレッシブな展開を持つ楽曲も増加した。それにともない、もっさ(vo,g)と朝日(g)のギターはさらに過激化しており、結果としてギター度の高いアルバムに仕上がっている。今回は急成長を遂げるネクライトーキーからもっさと朝日に登場願い、新作について語ってもらった。
取材・文=新見圭太 人物・ギター撮影=小原啓樹
作曲しているギタリストのフレーズって、
とても魅力的なんですよね。
(もっさ)

今作はプレイ面はもちろん、「はよファズ踏めや」や「Mr.エレキギターマン」などギターに関するトピックスが豊富です。本作を作るにあたってギター・ロック・アルバムを作ろうというコンセプトはあったのでしょうか?
朝日 そういうことではないんですが、ずっと欲しかったJERSEY GIRL homemade guitarsのNascauxを手に入れたことで、アルバムの作り方が変わったんですよ。これまではPCで曲を作ることが多かったんですけど、憧れのギターを手にしたことで、ギターを弾きながら曲を作っていこうと思い始めて。
その1本が制作論まで変えてしまった。
朝日 そうですね。もともとは友人が所有していたギターで、試奏させてもらった時から音の良さにずっと惹かれていたんですよね。実はこのバンドはこのギターをメイン器にして始める予定だったくらいで。
ずっと片想いをしていた、と。もっささんのメイン・ギターも結成時のギターから69年製のFenderのMustangに変わったんですよね?
もっさ そうですね。2018年の年末にハムバッカーが載っているギターが欲しいと思って、朝日さんと楽器屋さんに行ったんですけど、そこで偶然見かけてビビッと来たんですよ。
もっささんは一目惚れという。2人ともメイン器を変えたのには理由があるんですか?
朝日 コロナ禍で配信ライブが増えてきて、ライン直の音を配信する状況が生まれたんですよ。それで、バンドの音もアップデートしたいと思ったのが大きな理由ですね。
なるほど。2人ともメイン器が変わるってかなり音源や楽曲制作に影響しそうです。
朝日 そうですね。以前は2人とも高音域に寄ったギターを使っていたんですけど、今の俺のギターはミッドがかなり豊かで、もっさのギターはハイ寄りなんです。だから、バンド内でも役割分担も生まれてきましたね。
そうした機材的な面に加えて、最近では曲によってはもっささんがギター・ソロを取ったりもしていますよね。そうしたプレイ面でも変化があったのではないでしょうか?
朝日 俺たちの曲に「許せ!服部」(『ONE!』収録/2018年)っていう曲があるんですけど、ライブではもっさがソロを弾いているんですよ。俺のソロよりも長かったりして。
もっさ 朝日さんが弾かせてくるんですよね(笑)。
それがプレイの向上につながって、今作『FREAK』では「カニノダンス」を筆頭にプログレッシブな転調やユニゾンでのリフなど、テクニカルな楽曲が増えている印象を受けました。
朝日 もっさは自分で難しいプレイの方向に行ってるよね?
もっさ 歌とギターを一緒にやらなきゃいけないってことを忘れてしまうんですよね。
朝日 それでリフを弾きながら歌わなきゃいけない状況になったりして。
もっさ 朝日さんが“そこは難しいからコードでいいよ”って言ってた意味にあとで気づくんです(笑)。
やらざるを得ない状況に追い込まれている(笑)。もっささんはプログレ的なプレイを求められることについてはどう感じていますか?
もっさ 完全に朝日さんの趣味ですけど、意外と楽しい(笑)。あとは、私にそういうギターを弾けるようになってほしいからプログレ要素を入れているのかなって思います。
朝日 でも、もっさはギター弾くの好きよね?
もっさ ギターを弾くも好きだけど、朝日さんが作ってくるギター・ソロが好きなんですよね。自分のパートじゃないけど、コピってます(笑)。
もっささんは朝日さんのギタリストとしての魅力をギター・ソロに感じているんですね。
もっさ ほかのバンドにも言えることなんですけど、ギタリストが作曲しているバンドのギター・フレーズってとても魅力的なんですよね。
朝日 確かに印象が違うかも。
もっさ もちろんギタリストならではのカッコいいフレーズもあるんですけどね。
朝日 メロディ・メーカーのギタリストと、純然たるギタリストってロマンを感じる部分が違うんじゃないかなあ。メロディックなギターの開祖ってジミヘンだと俺は思っているんですけど、ボブ・ディランの「All Along The Watchtower」のカバーでのギター・ソロは泣けるんですよね。やっぱりメロディ・メーカーならではのギターってあるんだと思います。
今作『FREAK』では朝日さんのカッティングを交えた、メロディアスなソロがたくさん収録されています。こういったメロディ・メーカー的なフレーズ作りのポイントってあるんでしょうか?
朝日 うーん。その場で悩んで決めていくことが多いんですが、自分が作曲しているということもあって、メロディを完全に把握しているというのがミソだと思いますね。
と言いますと?
朝日 バンドにおいて、リズムってとても重要だと思うんです。ビートとしてのリズムと、メロディとしてのリズムが。例えば、“テ・テ・テ・テ・テ・テ・テ・テ”というビートがあるとして、そこにメロディと抑揚がつくことで、“タツツ・タツツ・タツ”というリズムが生まれてくるんです。そのリズムに対して、ギターをシンプルにするのか、間を埋めていくのか、音で壁を作っていくのかっていう選択肢が生まれるんですよ。それをその時々で真剣に悩んで決めていくのがポイントなのかなと思います。