Interview|野田択也&鮨朗(peeto) ツイン・ギターが描き出すアーバン・グルーヴ Interview|野田択也&鮨朗(peeto) ツイン・ギターが描き出すアーバン・グルーヴ

Interview|野田択也&鮨朗(peeto)
ツイン・ギターが描き出すアーバン・グルーヴ

自然と男臭いニュアンスが
出てしまうことがある(鮨朗)

 編集部注目の新人アーティストを紹介する本誌企画=Opening Act。今月は千葉県出身の4人組バンド、peetoをピックアップした。彼らの魅力は、ブラック・ミュージック〜シティ・ポップを軸とする洗練されたサウンドとそれに乗せられたさわやかな歌声だろう。2ndアルバム『GAL』では、「MALIBU」に代表される夏感満載の歌メロとコード・バッキング&カッティングのツイン・ギターが有機的に絡み合う。これらの要素が良質なポップスでありながら、ギター&ロック好きも満足させる作品たらしめているのである。今回はそんなアンサンブルを支える野田択也(以下、野田/vo,g)と鮨朗(g)に登場願い、2人の音楽的背景や最新作のギター・サウンドについて語ってもらった。

▲L→R:松井友哉(b)、Koto(d)、野田択也(vo,g)、鮨朗(g)。

野田 俺はバンドをやっていた兄の影響で、チャットモンチーやRADWIMPS、9mm Parabellum Bulletなど日本のバンド音楽から聴き始めました。そこから色々なジャンルの音楽が好きになっていきましたね。最近だとブルーノ・マーズ、マルーン5、ジャミロクワイなど、海外の音楽をよく聴いています。

鮨朗 俺は家族の影響でポルノグラフティやBOØWY、X JAPANやTHE YELLOW MONKEYなどから聴き始めましたね。でも、そのあとはV系やハードロック、J-POPなどを雑食な感じで音楽を聴いていって。海外のバンドだとアース・ウィンド・アンド・ファイアーやレッド・ホット・チリ・ペッパーズが好きですね。特にレッチリはギターの音が心地いいので、よく移動中に聴いています。

 次に2人の現在のプレイ・スタイルに影響を与えたギタリストについても聞いてみよう。

野田 チャットモンチーの橋本絵莉子さんは俺のギター・ヒーローですね。コード・ストロークの面白さやキャッチーなフレーズ作りには影響を受けました。あとは橋本さんって“これ弾きながら歌ってるの?”というフレーズが多いんですよ。自分もギター・ボーカルとして、そういうプレイ・スタイルは憧れますね。

鮨朗 俺のギター・ヒーローはジョン・フルシアンテかなあ。彼のメロディ・センスやカッティングの聴き心地の良さは凄いですよね。ほかに影響を受けたギタリストですが、ブラック・ミュージック的なアプローチに関しては田中義人さんや長岡亮介さんを参考にしています。日本のギタリストで黒っぽいアプローチをするうえで、この2人は最強だと思いますね。あとは地元の先輩ギタリストに強く影響されました。その人はジョン・メイヤーやスティーヴィー・レイ・ヴォーンのようなプレイ・スタイルなんですが、その人をよくコピーしてたので、自然と男臭いニュアンスが出ることがあるんですよ。

▲鮨朗のメイン器はヴァンザントのSTV-R1。リアPUのみ鮨朗が行きつけのギター工房のオリジナルPUに交換したとのこと。“堅牢な作りと音作りの際の汎用性の高さ”がお気に入りだそう。(写真:ひの)

鮨朗はギター・ヒーローで
あってほしいと思う(野田)

 最新作『GAL』は、緻密に計算されたツイン・ギターによるコンビネーションはもちろん、全曲にギター・ソロを入れ込んでいることもトピックの1つと言えるだろう。そこで本作におけるギター・ソロの作り方を教えてもらおう。

鮨朗 基本的には好き勝手に弾いていますね。それを聴いて野田さんのディレクションが入る感じです。実は野田さんは俺をギター・ヒーローにしてくれようとしていて。前に出るようなプレイも積極的にやってみて、あとで楽曲に合うようなフレーズに整えていきます。

野田 とにかく鮨朗にはギター・ヒーローであってほしいんですよ。俺がギター・ソロが好きということもありますが、“やっぱりロック・バンドたるもの、ギター・ソロはカッコよくないといけない”と思っています。

鮨朗 「TAKE WIND」という曲ではデモの段階で作ったソロを野田が全部ボツにして(笑)。それでレコーディング当日に違うソロを弾いた時に、上手く曲にハマって、みんなに褒めてもらいました。あれは気持ちよかったなあ(笑)。

 2人のギター愛が溢れる今作だが、その中でも特にオススメのギター的な聴きどころを挙げてもらった。

野田 コード・カッティングでは「FADE OUT」ですね。この曲は“俺のカッティングに付いて来れんのか?”みたいな気持ちで弾いています(笑)。

鮨朗 あれ、良いよね。俺もこの曲のギター・ソロは気に入ってます。今作を作る時に、自分は“小洒落たプレイをするギタリスト”というよりも、「TAKE WIND」や「Fish&Beef」のギター・ソロで弾いたような“泥臭くて、チョーキングで魅せるようなギタリストなんじゃないか”って気づきましたね。

野田 リフだと「THUNDER」ですね。メンチを切ってる感じというか、宣戦布告というか。“俺ら、ヤバいヤツだから気をつけろ”みたいな(笑)。

鮨朗 (笑)。peetoは心地いい音楽をやるバンドだと思う人も多い多いんですが、この曲だけは耳に優しくないし、むしろそれを狙ったところはありますね。Hot Rod Deville 212 IIIを爆音で鳴らしたんですけど、アンプが悲鳴を上げて、レコスタが揺れてました(笑)。

▲野田が手にしているのは2年前に購入したという91年製オービル・バイ・ギブソンのファイヤーバード。改造点はなし。本器を選んだポイントは“出音ではなく、見た目のイカつさ”と本人談。(写真:ひの)

 最後にギタリストとしての展望を教えてもらおう。

野田 チャットモンチーの橋本さんやthe band apartの荒井岳史さんのように、難しいフレーズを歌いながら弾けるギタリストになりたいですね。今作でもそういう傾向はあったんですが、より一層、磨きをかけていきたいと思います。

鮨朗 俺はギター・ヒーローになりたいですね。で、テクニカルなフレーズを弾くというよりは、チョーキング一発で自分が弾いてるとわかるようなギタリストを目指したいです。

作品データ

『GAL』
peeto

No Big Deal Records/NBPC-84/2021年7月14日リリース

―Track List―

01. THUNDER
02. Fish&Beef
03. SPECIAL ON THE BEACH
04. FADE OUT
05. MALIBU
06. Fallin’
07. Bible
08. monkey
09. TAKE WIND
10 . When New Soul

―Guitarists―

 野田択也、鮨朗