Interview | フジイケンジ(The Birthday)【後編】『サンバースト』の音作りについて Interview | フジイケンジ(The Birthday)【後編】『サンバースト』の音作りについて

Interview | フジイケンジ(The Birthday)【後編】
『サンバースト』の音作りについて

よく行く楽器店があるんですけど、
試奏する部屋の音が一番好き(笑)。

今作のギター・サウンドはかなりミッドに寄った濃密な音になっていますよね。

 ミッドに寄り過ぎてた?

いやいや(笑)。『I’M JUST A DOG』(2011年)の頃はもう少し高域が出ていて、ズギャーンと抜けてくるサウンドだったなと思いまして。

 そうかぁ〜。

ライブを観ていて、2016年くらいからフジケンさんの出音が変わったなと思ったんですよ。音の重心がより下がってきたというか。

 年々、上の音がちょっと耳障りになってきたんですよ。レコーディングの時とか、みんなは全然気にしていないところも気になっちゃって、EQでカットしていて。昔は気にしなかったんだけどなぁ。

フジケンさんは特に高域を気にしますよね? ギター・ソロの時もTONEを絞ったBD-2を踏んでハイを削っていますし。

 うん。やっぱり痛いというか、金属音が好きじゃないんですよね。

ジャズマスターのフロント・ピックアップで、真空管アンプのボリュームを上げて歪ませて、よくあそこまで音をコントロールできるなと思うんですよ。

 ジャズマスターって強引に作るっていう感覚がないと、ちょっと扱いづらいのかもね。だから今回はペダルに頼ったところもあるかな(笑)。

EarthQuaker DevicesのPlumes(オーバードライブ)など、ペダルも色々と試していますよね。

 そうそう。レコーディングでけっこう使ったなぁ。ソロの時に踏んだり、バッキングでもオンにして歪みを足したり。それと最近はボードにJHS PedalsのSuperBolt(オーバードライブ)を入れました。良いですよ。

SuperBoltは今作のレコーディングでは使ってないんですか?

 使ってないです。『サンバースト』ではいつものボードとEarthQuaker DevicesのPlumesで。

最近はBOSSのCE-1も足下に置いて、「オルゴール」で踏んでいますよね。

 CE-1は昔から好きで、日本の定番のコーラスだなと。Chorusモードに設定して、「オルゴール」ではソロから踏みっぱなしです。

それと黒い63年製のジャガーも使っていますよね?

 今またレコーディングしていて、それはジャガーでやっています。デラリバの歪みにBD-2をプラスして。でも、音がカリカリなんですよ(笑)。ローがないし、もう薄っぺらで。その個体の特徴なのもしれないですけど。

ジャガーは難しいですよね。かなり機材を試しているみたいですが、フジケンさんの理想のトーンって?

 やっぱり空気感かな。よく行く楽器店があるんですけど、そこに試奏する部屋があって。ブースじゃなくてね。で、そこで試奏してる時の音が一番好き(笑)。

部屋の鳴り方なんですかね?

 うん。デラリバがあって、ビンテージ楽器がいっぱいあって。そこの鳴りがちょうど良いんですよ。

最近は渡辺美里さんや宮本浩次さんのバックを務めるなど、セッションマンの活動も活発化してきたと思うのですが、改めてそこから得られたものとは?

 それはね、社会人としてのあり方みたいな。美里さんの現場はミュージシャンもみんなパリッとしてるんですよ。僕は普段バンド内である程度ワガママも通るし、そういう感じではないじゃないですか(笑)。でも、発注してもらって現場に行って、“仕事をキチッとしなくちゃ”という気持ちがすごく強いので、パリッとしようと思いますね。

サポート現場だとThe Birthdayとは機材が全然違いますよね。アンプはVOX AC30HWですが、歪みはペダルで作っているんですか?

 そうですね。もうステージ上の音量はなるべく下げる感じになってきてます。

お気に入りの歪みペダルは?

 ENDROLLっていうメーカーのGeminy/Hod&Hodです。それがメインの歪みですね。

ギターは63年製のストラトが多いですよね?

 美里さんの楽曲にオールマイティに合うのがあれかなと思って。美里さんの楽曲のフレーズって、ちょっと佐橋佳幸さんっぽいというかね。自分では作るのが難しいんですけど、ああいう軽やかなギターも好きだし、やっぱり80年代に帰る感じがあって良いんですよ。

美里さんの現場で使うボードにはTC Electronicの3RD DIMENSION(コーラス)が入っていましたもんね。

 そうそう(笑)。DIMENSION良いですね。あと最近、美里さんのツアーに一緒に参加している設楽(博臣)君っていうギタリストに教えてもらって、Line 6のM9を買いました。マルチ初めてなんですよ!

え、めちゃくちゃ意外です!

 今までZOOMとかBOSSの小さいマルチですら使ったことがなかったんです。

やっぱり便利ですか?

 便利(笑)。空間系はもうあれだけで作っています。

作品データ

『サンバースト』
The Birthday

ユニバーサル/UMCK-1690/2021年7月28日リリース

―Track List―

01.12月2日
02.息もできない
03.月光
04.ラドロックのキャデラックさ
05.レボルバー
06.アンチェイン
07.晴れた午後
08.スイセンカ
09.ショートカットのあの娘
10.ギムレット
11.バタフライ

―Guitarists―

チバユウスケ、フジイケンジ