Interview | ビートりょう(THE BOHEMIANS)【後編】魂の『essential fanfare』全曲解説 Part.2 Interview | ビートりょう(THE BOHEMIANS)【後編】魂の『essential fanfare』全曲解説 Part.2

Interview | ビートりょう(THE BOHEMIANS)【後編】
魂の『essential fanfare』全曲解説 Part.2

ロックンロールっていうのは、
リフとリフの間のタメなんですよ!

いよいよラストスパートです。10曲目「the fanfare」は、コード・ストロークで押し進めるストレートなロックンロールに仕上がりました。

 ギター的にはモッズ・バンドというか、ザ・クリエイションみたいな感じですね。クリエイションのエディ・フィリップスっていうギタリストもES-335を使っていて、その人の“ジャカジャーン!”っていうイメージなんです。もっと繊細に弾くのもありだなと思ったんですけど、このくらいで良いのかなと……。これは作曲者の意向ですね。この曲が今回のアルバムのベスト曲ということにしておこう(笑)。

今は大きくストロークするギタリストが少なくなってきましたね……。

 みんな上手いですからね(笑)。さっきから名前が出るキース・リチャーズとかピート・タウンゼントっていうのは、余白というか、休符の重要性をちゃんとわかってる人なんですよ。というか、イギリスのロックンロールって基本的にそうで。例えばローリング・ストーンズだったら「Brown Sugar」のリフの緩急。フーだったら「I Can’t Explain」のリフ。キンクスだったら「All Day And All Of The Night」や「You Really Got Me」。ロックンロールっていうのは、このリフとリフの間のタメなんですよ!

では最後、「何の変哲もないロッケンロール」ですが……。

 これが個人的には一番良い! 僕のベスト・プレイですね!

(笑)。エディ・コクランなど、輝かしい50年代ロックンロール愛に溢れたナンバーで。

 ロックンロールって、辞書的に言えば50年代アメリカの音楽のことじゃないですか。なんだかんだいって、それを超えられないんですよ。だからこれが正解だと思います。“これをやれ!”と、みんなに言いたいな。このギター・ソロでは、なんとなく50’sっぽくディレイを使っていて(笑)。

ソロの頭は指弾きですよね?

 そうですね。1弦と6弦のオクターブを同時に弾くジョニー・バーネット・スタイルで。このソロは50年代ロックンロール・ヒーローのオマージュが続いているんです。答え合わせをすると寒い感じもありますけど、これを見ている人はそんなにいないと思うので言います(笑)! まず最初がジョニー・バーネット。その次がダニー・セドロンで、ビル・ヘイリー・アンド・ヒズ・コメッツの「Rock Around The Clock」っていう曲のソロ。世界初の速弾きと言われてる曲ですね。その次がジーン・ヴィンセントの「Bluejean Bop」っていう曲のソロで、ギタリストはクリフ・ギャラップかな。で、最後はチャック・ベリーという感じです。“これに気づくヤツがいるかな?”って言いたいところですけど、どうせ誰も気づかないし、興味もないだろうから言う! 言っていこう! クリス・スペディングの「Guitar Jamboree」っていう曲があるんですけど、クラプトンだ、キースだ、タウンゼントだ、色んな人のフレーズをメドレー的に弾いていて、そういう風に曲で遊んでる人が僕は好きなんですよ。全曲解説はそんなところでしょうかね。

ありがとうございました! アルバムを全曲解説してみて、いかがでしたか?

 こうやって思い出してみると、意外とバリエーションがありますね。

今作のりょうさん的な一番の聴きどころは?

 聴きどころとは違いますけど、曲順が良いなと。今の時代、アルバムを出す意味って……みたいなところがあるじゃないですか? でも、やっぱり僕はアルバムで育った世代ですし、1つにパッケージされていることが重要というか、こういう30〜40分のCDを自分の部屋で聴いて生まれる世界があると思うので、ちゃんと通して聴いてほしいですね。特に選曲に関しては平田ぱんだが毎回考えてるし、間違いないと思いますよ。

最後に、THE BOHEMIANSは今後どういうバンドになっていきたいですか?

 うーん……この調子なんじゃないですか(笑)? 変わらず、この調子がいいですね。やっぱり今、わかってるロックンロール・バンドがいないから、THE BOHEMIANSは良くも悪くも今の時代の1つの基準にならなきゃダメだと思うんですよ。今回のアルバム・ジャケットとか、最近のライブ衣装で僕はピンクのジャケットを着てるんですけど、あれは着せられてるんですよ、ある意味。ほかに着るヤツがいないから!

オレが着るしかねぇと(笑)。

 そうそう! 若干それもあるんですよ。好きで着てるのもありますけど。だからこの調子でロックンロール・バンドを続けるしかないですね。

ビートりょう曰く“桃鉄の人”のピンク・ジャケット。過去にはジョニー・サンダースやキース・リチャーズ、日本では古市コータローや真島昌利もピンク色の衣装を身にまとっていた。

Guitars

2019 Gibson Custom Historic Collection
1959 ES-335 Dot Inlay Cherry Light Aged

揺るぎないメイン器

ビートりょうのメイン・ギターは、2019年の秋に御茶ノ水の楽器店で購入したギブソン・カスタム製のES-335。59年製の個体を再現しており、ドット・インレイ、ミッキー・マウス・カッタウェイ、ロング・ピックガード、太めのネックなどが特徴だ。基本的にはリア・ピックアップを使用するが、フレーズによってはフロントも選択する。ライブではトラブルがない限り本器のみで行ない、今作のレコーディングでもほとんどの楽曲で使用された、ビートりょうにとって欠かせない1本。

1976
Rickenbacker 450/12

念願の12弦ギター

こちらは昨年の夏頃に購入したリッケンバッカーの12弦ギター、450/12。76年製だ。ピックガードが交換されていたほか、指板の剥がれが修理されていたため、比較的安価で購入できたそう。THE BOHEMIANSでは2017年の「ポーラ」という楽曲で12弦を使用しているのだが、その時はTENDOUJIのモリタナオヒコからDanelectro製の12弦を借り、ライブでもしばしば使わせてもらっていたため、本器は念願のマイ12弦ギターとなった。今作では「図鑑」で使用。

Amplifier

VOX AC30 6TB

Made in Englandの名機

ビートりょうのメイン・アンプは、the pillowsの真鍋吉明から借りている90年代のAC30 6TB。2017年頃から使用しており、ライブもレコーディングも本機だけで行なっている。BRILLANTのLOWにインプットし、VOLUMEは11時程度で軽いクランチに。ここにBOSS BD-2で歪みを加えた状態がビートりょうの基本のサウンドだ。TREBLEは11時、BASSは12時周辺にセッティングすることが多いとのこと。

VOX AC30 6TB(Back)

スピーカーはCelesion製VOX G12Mが2発搭載されている。裏には古市コータローのサインが入れられていた。

Pedalboard

歪みペダル3台を使い分け

①BOSS / TU-3(チューナー)
②BOSS / BD-2(オーバードライブ)
③FREE THE TONE / FIRE MIST(オーバードライブ)
④Xotic / EP Booster(ブースター)
⑤Roger Mayer / Mongoose(ファズ)
⑥Maxon / AD9Pro(アナログ・ディレイ)
⑦BOSS / TR-2(トレモロ)
⑧Noah’sark / AC/DC-1(パワーサプライ)

 シンプルなペダルボード。ギターからの接続順は①〜⑦の番号通りとなっている。

 ②BD-2はアンプのクランチに歪みを足す役割で、常時かけっぱなしにしていることが多い。そのためGAINツマミをほとんど上げていないのがわかる。オン/オフの音量差をなくすため、LEVELツマミは原音と同じ位置に設定。

 ③FIRE MISTは「太陽ロールバンド」や「シーナ・イズ・ア・シーナ」、「the ultra golden brave busters」など、激しい歪みが必要な楽曲でオンにする。その場合②BD-2はオフにするが、ギター・ソロの際に②BD-2を本機のゲイン・ブースターとして使うこともあるという。

 ④EP Boosterはギター・ソロやリフで持ち上げたい時に使用。

 ⑤Mongooseはもともとレコーディングで活躍していたが、最近ボードに組み込まれた1台。「the ultra golden brave busters」のソロや「male bee, on a sunny day」のリフなど、ファジーなフレーズでオンにするほか、「SUPER THUNDER ELEGANT SECRET BIG MACHINE」では踏みっぱなしにすることもあるそうだ。“フェイセズのロン・ウッドっぽいイメージで使います”とのこと。

 ⑥AD9Proはショート・ディレイとしてセッティング。「the erina」や「That Is Rock And Roll」、「何の変哲もないロッケンロール」などで使用。

 ⑦TR-2は「THE ALWAYS」、「B.O.H.E.M.I.A.N.S.」、「バビロニアの世界地図」などでオンに。ライブ中は気分で踏むことも多いそうだ。

Other

Madcap England
McGuinn Glasses

これがなきゃ12弦は弾けない

カニ目スタイルのサングラス、通称マッギン・サングラス。ザ・バーズのロジャー・マッギンが愛用していたことでも知られる。ビートりょう曰く“これがないと12弦ギターは弾けない。「Mr. 12弦マン」のレコーディングでも実際にこれをかけて弾きました”とのこと。

作品データ

『essential fanfare』
THE BOHEMIANS

DELICIOUS LABEL/QECD-10013(BUMP-118)/2021年9月8日リリース

―Track List―

01.the legacy
02.the reasons
03.the ultra golden brave busters
04.the erina
05.バビロニアの世界地図
06.VINYL PRESS STONE
07.カンケイシャになりたくないっ!?
08.いとしの真理
09.図鑑
10.the fanfare
11.何の変哲もないロッケンロール

―Guitarist―

ビートりょう