Interview | 須藤寿&斉藤祐樹(髭)【後編】『HiGNOTIQE』で目指した“たゆたう” 音世界 Interview | 須藤寿&斉藤祐樹(髭)【後編】『HiGNOTIQE』で目指した“たゆたう” 音世界

Interview | 須藤寿&斉藤祐樹(髭)【後編】
『HiGNOTIQE』で目指した“たゆたう” 音世界

前作『ZOZQ』から約1年という短いスパンで制作された髭の新作『HiGNOTIQE』。今作のテーマは“催眠=Hypnotique(ヒプノティック)”。ロック色の強い楽曲は影を潜め、音の洪水にどっぷりと溺れるような深いディストーション・サウンドや、空間を広げるリバービィなエフェクトと余白を持たせた美しいコード・ワークを駆使し、まるで催眠にかかったような淡い音世界が堪能できる1枚に仕上がった。インタビュー後半では、各楽曲の解説と使用機材をご紹介しよう。

取材・文=小林弘昂 人物・機材写真=小原啓樹


ギタマガ6月号に
すごく影響を受けてしまって(笑)。
──須藤寿

須藤寿(vo,g)
須藤寿(vo,g)

「おうちへおかえり」を聴いた時、“マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン『m b v』の音だ!!”と思いました(笑)。

須藤 今やりたいことがマイブラの中にあったんです。あ、さっき制作で影響を受けたアーティストのところで名前が挙がらなかったんですけど、その中にマイブラもあって。斉藤君の家で『m b v』も『loveless』も聴いたし、もちろん『Isn’t Anything』も聴いたんですけど、“何でこうなるのかな?”みたいなものを研究して、自分なりにフィルターを通してみたりもしたんです。

マイブラを研究したんですね。具体的にはどのように?

須藤 ヒプノティックを題材にする中でマイブラは勉強せずにはいられなかったから、とにかく聴きましたね。“これどうなってんの?”とか“何でオレは女性の声じゃないんだろう……いや、そういうことじゃない!”みたいなことを考えながら(笑)。

(笑)。

須藤 音の積み上げ方をけっこう勉強して、あとはマイブラの真似にならないように途中から気をつけ始めたかな。逆にマイブラになるっていうのがおこがましい話で(笑)。トータルでは“何の機材を使えばああいう音が出るのか”っていうところじゃなくて、“どういう音の積み上げ方をしてるのか”っていう部分をすごく聴きました。サウンドというよりは、“あの絡み合いってどうなってるんだろう?”って。

斉藤 アルバムの根底にある催眠的な要素で言うと、やっぱりこういう曲は“まずギターのノイズが気持ち良くなきゃしょうがないな”と思っていて。イントロがバンッと出た瞬間に気持ち良い音が鳴っているのが一番だから、買ったばかりだったPete CornishのNG-3(ファズ)をリアンプで使ってみたんです。そしたら“コード感はグシャッとしたかもしれないけど、独特にいなたくて気持ち良い”って思ったんですよね。最終的に音像は、ずっと聴いていても疲れない気持ち良い音に転がっていきました。

須藤 もう1つ思い出した! 「おうちへおかえり」はギター・マガジンのせいでもあるんですよ。制作している時、ギタマガ6月号(特集:ケヴィン・シールズ)が斉藤君の家にあったんですけど、それが面白くてずーっと読んでたの。

斉藤 ケヴィン・シールズのやつね(笑)。

須藤 斉藤君がデモ作業をしている時にオレはずっと読んでいて、作業がひと段落した時に“ちょっと久しぶりにマイブラ聴きたくなっちゃった”っていうのがあった! ギタマガ6月号にすごく影響を受けてしまって(笑)。

斉藤 ギタマガから影響を受けるっていうね(笑)!

須藤 “ケヴィン・シールズ特集だ!”って驚いて。

斉藤 そうそう。すごくロマンを感じたよね、あの号は。音にこだわる人たちとか、ロック・バンドのロマンが凝縮されていて、2人で話題にしていて。

須藤 “めっちゃ面白いじゃん! 実際に音源聴こうぜ!”となって。斉藤君はマイブラのレコードは何でもござれだったから『m b v』も聴いたし、『loveless』も『Isn’t Anything』も聴いて、“うおー!”って。そういうのもありましたね。

ありがとうございます(笑)! 必死にケヴィンの機材解説を書いたり、色んな人にインタビューしたかいがありました……(泣)。ケヴィンは変則チューニングをよく使いますが、斉藤さんの「おうちへおかえり」のギターはレギュラー・チューニングですか?

斉藤 レギュラーですね。一番大きく聴こえているリズム・ギターは1、2弦の開放がずっと鳴っていて、ドローン的なところを目指して落とし込んでいきました。

今作の中で「HiGNOTIQE」だけ完全なエレクトロ楽曲ですね。須藤さんは“この楽曲こそ、僕たちらしいんじゃないか?”とコメントしています。

須藤 今作の楽曲はコードがメロウで、ほかの曲がジットリしていたので(笑)。前作、前々作くらいから歌詞をあんまり深く考えないというか、即興出しするようになったんですよ。例えば作業をしている時、斉藤君にわりと難しい注文をしちゃったりすると30分くらい“まとめさせてもらっていい?”っていう時間ができて、それこそギタマガなんかを読んでいることがあったんですけど、最近は“そういう時に歌詞を書いちゃえ”っていうマインドになってきていて。2〜3年前までは曲を作ったあと、歌入れをするギリギリまで歌詞を書かないでいたりして、曲と歌詞の時間が離れているというのがしばしばあったんですね。でも、“それは違うな”と思うようになってきて。

それは何かキッカケが?

須藤 デモができると一度メンバーに聴かせるためにデータを送るんですけど、そういう時いつも歌メロは鼻歌の状態なんですよ。で、ある時スタッフさんから“オレにも聴かせてくれない?”と言われたのでデモのデータを送ったら、“鼻歌だと何だかわかんない”って言われたんです。“イメージが全然わかんない”って言われて、“たしかにそうかもな”と。そういう偶然のアドバイスから“もう、その場で書いちゃったほうが早いかもな”と思って歌詞も即興出しするようになったんですよね。そうしたら自分の根暗な部分がドーンと出てきて、ジットリした歌詞の曲ができるようになったから、“ヒプノティックみたいな間が抜けているというか、少しスカしているような曲は自分たちのもう1つの本質でもあるよな”って思ってコメントでそう書いたんです。この曲は自分たちが持っている1つの側面の本質を突いていると思うんですよね。

斉藤 これは最初、全体的に違う曲だったんですよ。もっとロッキンな感じでギター・リフもあったんですけど、ハマらなくて。で、須藤がiPhoneのアプリで音を出して遊んでいて、それがカッコ良くて、いじっているうちに“これが曲になるんじゃないか?”と思ったんです。そのあと何かのレコードを聴いている時に“めっちゃゆっくり歌うの良いかも!”とひらめいて、リズムは速いんだけど歌はお経みたいな感じになったという(笑)。それを入れた時に“すごくヒプノティックだしカッコ良いじゃん!”ってなったんですよね。まさかアルバム・タイトルになるとは思ってなかったですけど(笑)。

今作の中で一番力が抜けていますよね。あとはラストに入ってくるハネたギターがカッコ良いです(笑)。

斉藤 “やっぱロックだろ〜!”みたいな感じで(笑)。

静かな曲だからこそ
大きい音で聴いてほしい。
──斉藤祐樹

斉藤祐樹(g)
斉藤祐樹(g)

「思い通りいかないもん」のイントロのフィルター・サウンドはどうやって作ったんですか?

斉藤 SolidGoldFXっていうメーカーのFUNKZILLAっていうオート・ワウで。レコーディングでは色んな曲で使っているんです。これはもう、かけながら録りました。

オート・ワウを使った脱力感などから、この曲にペイヴメントっぽさを感じたんですよ。

須藤 個人的には奥田民生さんのイメージかな。自分が高校生の時からずっと好きな民生さん。あと、そのうしろにいる大きなビートルズ感もあるかもしれないですね。で、これはすごくめんどくさい曲で! 少しダラッとした斜めな世界観とは裏腹に、コード進行はすごくスリリングで、ちょっと間違うとすぐ危ないところにいっちゃう感じ。だから最後の最後までアレンジしていましたね。なかなか時間がかかりました。

斉藤 最後のほうに出てくる多重のハーモニーがあるんですけど、そこにめっちゃ時間がかかった記憶があって。本当にちょっとしたフレーズなんですけどね。だから曲調に反して意外とアカデミックな要素があるんですよ。意外と音楽ってそういうものかもしれない(笑)。

須藤 意外とふざけてないという(笑)。

斉藤 そうなんだよね。

須藤 この曲を書いた時に“オレたちらしいな!”って思ったの。昔の「100%太陽」みたいに、ちょっと間が抜けているキッチュな曲なのかなと思って進めてみたら全然違って、すごく難しかった。いつまで経ってもまとまらない1曲でしたね。

「WEINHAUS」はコンソールで歪ませたようなギンギンのディストーションが聴けます。

斉藤 ギターは2本あって、リードみたいなほうをコンソールで歪ませています。もう1本のリズム・ギターのほうはRATⅡのクランチで弾いていますね。アンプは1959SLPをヘッドで使って、キャビはMesa/BoogieのMark Ⅰで。けっこうラインのギター・サウンドも混ぜていますよ。

以前、髭のレコーディングやミックスも担当していた吉田仁さんは常にライン・サウンドも録音していて、ところどころに混ぜていましたよね。

須藤 仁さんとタッグを組んだのは3〜4年間だったんですけど、そういうところがすごく上手いなと思っていて。仁さんの完成形の音源は全然そんなことを感じさせないサウンドじゃないですか? それまではアンプ至上主義みたいなところもあったんですけど、“自分の常識とは違ったな”みたいなことが多くて、すごく影響を受けています。ファズもラインもアンプも、使いようですよね。

斉藤 そうそう。ファズをアンプにつないでアレコレ試して納得いかないんだったら、卓でやったほうが全然迫力のある音になったりして、本当に使い方次第ですね。

須藤 例えば「おうちへおかえり」みたいな曲を爆音のアンプで2人分録るには、今の先細っている音楽業界において、使えるレコーディング・スタジオの日程では終われないというか。あれをギター・アンプの迫力のある音で録ることは可能だと思うんですけど、音作りを追い込むのに時間がかかりすぎてしまう。だったらプラグインでやったほうが早いし、わかりやすく個性が出るじゃないですか? スタジオで詰め切って見えてくる素晴らしいものは絶対にあると思うんですけど、オレたちも先細る音楽業界の影響をくらっているので、ライン録音はその代わりに編み出していった技なのかもしれないですね。……そんなことを言わずとも、単純にプラグインは素晴らしいですよ!

前作『ZOZQ』のレコーディングで、須藤さんはライン録音の時にMesa/BoogieのV-Twin(プリアンプ)を通してラインの音を真空管アンプっぽくしたということでしたが、今回は?

須藤 メインでございます! あれはもう斉藤君の家に常設していて、オレの家にはないんですよ。斉藤君の機材みたいな(笑)。

斉藤 ウチのデスクの下に鎮座しています。あのゴツいのが(笑)。最初のデモを作る段階からラインで録る時は必ずつないでいますね。

須藤 V-Twinはプリアンプの真空管をMullardに交換しています。『ZOZQ』からオレのギターはライン録りだから、“髭サウンド”を語る上で、あいつはかなり大きな個性になってると思うな。

レコーディングで使用したギターなどの機材も教えて下さい。

須藤 斉藤君の家で録る時に使うことが多いのが、斉藤君のフェンダーUSAのシンラインなんですよね。すごく好きで、個性があるんです。

斉藤 いつものUSA製テレキャスターが3、シンラインも3で、ジャズマスターが3、モズライトが1くらいの割合ですかね。シンラインはライン録音の時に自宅で使っていますし、レコーディング・スタジオでも、テレだと重すぎる、太すぎるという時に持ち替えるとハマることもあるので良いんですよ。

須藤 “無制限一本勝負で斉藤君の家でレコーディングやろうぜ!”って日に、一応自分のテレキャスター・デラックスなんかも持って行くんですよね。で、まず自分のギターを弾いてみるんですけど、やっぱりあの家で鳴らす時に合うのがシンラインなんですよ。

ホロウの大きな生鳴りや温かみのあるサウンドがその家に合う?

須藤 そうなんでしょうね。ホロウだから家の中でもちゃんと鳴ってくれている感じが気持ち良かったり。

斉藤 アコースティックなサウンドが出せるっていうのもあるかもしれないね。アンプは須藤のマーシャル1959SLPを借りて自分のMesa/Boogie Mark Ⅰにつないだりもしました。アンプはクリーンにしてエフェクターで歪みを作って、バッキングで1959SLP、リードでMark Ⅰを使うことが多かったです。

最後に、今作の聴きどころを教えて下さい!

須藤 『ZOZQ』からこだわり始めたのがギター・サウンドなんですよ。髭は途中シンセサイザーとかにも行ってみましたけど、オレたちのスタートはギターだったから、今は“ギターでどこまでいけるか”っていうところに戻ってきているんです。その中で、今回ずっと言っていることですけど、今作はタイムレスでヒプノティックな感じを楽しんでもらえたらなと思いますね。

斉藤 今までの髭のアルバムと比べて、今回は静かな曲が多いと思うんですけど、だからこそ大きい音で聴いてほしいんですよ。できる限りね。これまでの曲にはなかった空間があるので、スピーカーから音を浴びた時に響いてくる倍音が聴こえる音楽になっているので、大きい音で曲を浴びてほしいですね。そうすることで、また魅力を感じてもらえるんじゃないかなって思っています。

Suto’s Guitars

1972 Fender
Telecaster Custom

初年度のテレキャスター・カスタム

須藤のメイン・ギターは、サンバースト・カラーの72年製テレキャスター・カスタム。テレキャスター・カスタムが生産された初年度の個体である。購入した時に搭載されていたリア・ピックアップのサウンドが好みではなかったため、現在はK&T製のものへ交換。そのほかのパーツはオリジナルだ。使用するピックアップ・ポジションはリアのみ。弦はErnie BallのRegular Slinky(.010〜.046)を愛用している。持ち時間が短いフェスやサーキット・ライブではギターを持ち替えず、本器のみで演奏するとのこと。今作のレコーディングでは未使用。

Fender USA
Telecaster Deluxe

10年以上愛用している相棒

10数年前に手に入れたというUSA製テレキャスター・デラックス。ペグをSperzel製のロック式GTR TRIM LOCKに交換し、弦交換をスムーズに行なえるようにしている。また、ストロークをする際にピックアップ・セレクターが右手に当たってしまっていたため、セレクターを取りはずしたそう(使用するピックアップはリアで固定)。それに合わせてフロント・ピックアップ用のボリューム・ツマミとトーン・ツマミもはずしている。ライブでは8ビートを刻む楽曲で登場。今作のレコーディングでは“一応、斉藤君の家に持って行ったんだけど、使ったかは覚えてない”とのこと。

Suto’s Pedalboard

Fuzz Warを新たに導入

①Pete Cornish / LD-3(ライン・ドライバー)
②Klon / Centaur Gold Long Tail Ver.(オーバードライブ)
③Plutoneium / Chi-Wah-Wah(ワウ)
④Xotic / RC Booster(ブースター)
⑤Xotic / EP Booster(ブースター)
⑥Death By Audio / Fuzz War(ファズ)
⑦Demeter / Tremulator(トレモロ)
⑧Pearl / AD-33(ディレイ)
⑨TC Electronic / Polytune(チューナー)
⑩VooDoo Lab / Pedal Power 2 Plus(パワーサプライ)

 須藤のペダルボード。ギターからの接続順は①〜⑧の番号どおりで、⑨Polytuneは①LD-3のチューナー・アウトに接続。

 ②CentaurはGAINツマミをほぼゼロにして、プリアンプ的にかけっぱなし。基本の歪みは④RC Boosterで、さらに歪ませる時は⑤EP Boosterも加えるそうだ。⑥Fuzz Warは「おうちへおかえり」など、今作の楽曲を再現するために導入したが、まだセッティングを詰めきれていないという。本機を使う際はほかの歪みペダルをオフにするそうだ。

 ③Chi-Wah-Wahは曲の最後のカオティックな場面で踏んでノイズを生み出すという。⑦Tremulatorは、アコースティック・ギターでレコーディングした楽曲をエレキ・ギターで演奏する際に雰囲気を出すために使うとのこと。⑧AD-33はショート・ディレイとロング・ディレイを楽曲によって使い分け。

Saito’s Guitars

Fender USA
Telecaster

絶対的メイン・ギター

斉藤のメイン・ギターは、10年以上愛用しているUSA製テレキャスター。52年モデルをリイシューしたモデルだ。入手してからは常にライブとレコーディングともにメインで使用しており、今作のレコーディングでもメイン的に活躍したそう。購入当初は“嫌なハイが出ていた”とのことで、コンデンサをビンテージのものへ、さらにピックアップをどちらもK&T製のものに交換している。ピックアップはおもにリアを選択するが、低音寄りのサウンドにしたい時や、フワッとしたフレーズを弾く際はミックス・ポジションも使用するそうだ。弦はErnie Ball製Skinny Top Heavy Bottom 2215(.010〜.052)を愛用。

Fender
Jazzmaster

アーミングで世界観を演出

前作『ZOZQ』の制作時に手に入れた日本製のジャズマスター。シリアル・ナンバーJD14000354から2014年製と推測する。ブリッジとトレモロ・ユニットをMastery Bridge製に、ピックアップをどちらもSeymour Duncan製SJM-2b Hot Bridge for Jazzmasterに交換している。一時期はリアにSeymour Duncan製のハムバッカーを取り付けていたが、“それはそれでゴキゲンだったんですけど、普通に使おうと思って(笑)”と戻したそうだ。ピックアップはミックス・ポジションで使用することが多いとのこと。今作では本器のアーミングを駆使してメロウな世界観を演出した。

Saito’s Pedalboard

4台の空間系を使い分け

①Pete Cornish / NG-3(ファズ)
②Jim Dunlop / JP95 John Petrucci Signature Cry Baby Wah(ワウ)
③ProCo / RATⅡ(ディストーション)
④ProCo / Turbo RAT(ディストーション)
⑤Ernie Ball / VP JUNIOR 250K(ボリューム・ペダル)
⑥MXR / Script Phase 90 LED(フェイザー)
⑦strymon / El Capistan(ディレイ)
⑧Electro-Harmonix / Memory Boy(ディレイ)
⑨Walrus Audio / MONUMENT V2(トレモロ)
⑩Xotic / EP Booster(ブースター)
⑪strymon / blueSky(リバーブ)
⑫BOSS / DD-7(ディレイ)
⑬BOSS / FS-5U(フット・スイッチ)
⑭BOSS / TU-3s(チューナー)
⑮VooDoo Lab / Pedal Power 2 Plus(パワーサプライ)
⑯FREE THE TONE / PT-1D(パワーサプライ)

 斉藤のペダルボード。ギターからの接続順は①〜⑫の番号どおりで、⑬FS-5Uは⑫DD-7に接続。⑭TU-3sは⑤VP JUNIORのチューナー・アウトにつながれている。

 ①NG-3は今作のレコーディングの終盤に購入。「おうちへおかえり」のリアンプで使用し、シューゲイザー的な音の壁を創出した。③RATⅡはクランチ用、④Turbo RATはディストーション用という使い分けで、楽曲によりどちらか1台をオンにするほか、激しいフレーズでは2台同時に踏むこともあるそう。昔の楽曲は④Turbo RATで弾くことが多いそうだ。⑩EP Boosterはソロで音量を持ち上げるために使用。

 3台あるディレイの使い分けだが、まず⑦El Capistanは“にじませたい時、いわゆる普通のディレイ”として使用。基本のセッティングは付点8分で、楽曲ごとにタップ・テンポを使うとのこと。⑧Memory Boyはショート・ディレイ用。オンにすると音量が上がるため、ブースター的に踏むこともあるそうだ。そして⑫DD-7は飛び道具としてセット。800msモードでE.LEVELとF.BACKを上げめに設定し、派手なエフェクトをかけている。本機も付点8分の設定だが、⑬FS-5Uで楽曲ごとにタップ・テンポを使用し、リズミカルなサウンドを作り出してるとのこと。

 ⑪blueSkyはプリセットしているショートのRoomリバーブを単音フレーズにかけることが多く、フワッとさせたい時は深めのセッティングに切り替える。

作品データ

『HiGNOTIQE』

Creamy. Records/XQLX-1008/2021年11月10日リリース

―Track List―

01.Oh Baby
02.それくらいのこと
03.HiGNOTIQE
04.おうちへおかえり
05.思い通りいかないもん
06.WEIHAUS
07.yy
08.Tour
09.so sweet

―Guitarists―

須藤寿、斉藤祐樹