Interview|“BREIMENのギタリスト”=サトウカツシロが生まれるまで Interview|“BREIMENのギタリスト”=サトウカツシロが生まれるまで

Interview|“BREIMENのギタリスト”=サトウカツシロが生まれるまで

ソウルやファンクを独自のセンスでポップスへと調理するサトウカツシロ。彼のギター・スタイルはどのように形成されたのだろうか。今回は特集に際し、本誌2020年3月号に掲載された『OPENING ACT』コーナーで、彼が自身のルーツを語ってくれたパートを抜粋/再編集をしてお届けする。

取材・文=新見圭太
*この記事はギター・マガジン2020年3月号掲載の『OPENING ACT』から一部抜粋・再編集したものです。

布袋さんの立ち姿を観てギターで食べていく決意をしました

ソウル、ファンクなどをベースにしたグルーヴィな要素と、洗練されたポップスを混ぜたサウンドを武器とするBREIMEN。各メンバーが名だたるアーティストのサポートを行なっていることもあり、高い演奏力を誇るのも彼らの魅力だ。単音カッティングからノイジーなギター・ソロまで自由奔放なプレイでバンドの中でも大きな存在感を放つギタリスト、サトウカツシロに登場願い、ギターを手にしたきっかけから教えてもらった。

左から池田優太(k)、サトウカツシロ(g)、高木祥太(vo,b)、林洋輔(sax)、Kanno so(d)

 3歳上の兄が音楽好きで、その影響で小学校5年生の頃からm-floや宇多田ヒカルさん、RIP SLYMEなどを聴いていました。それである日、音楽番組を観ていたら、RIP SLYMEと布袋寅泰さんが「BATTLE FUNKASTIC」を演奏していたんです。

 小学生だったのでギターの音や音楽的な良し悪しはわからなかったんですけど、布袋さんの立ち姿のカッコ良さに衝撃を受けました。その時、“俺はギターで食っていく”って決意をしたんです。自分は飽き性なほうなのに、ギターを弾きたい気持ちはずっと持ち続けていて、中学校2年生の時、親に懇願してレス・ポール・タイプのギターを買ってもらいました。

布袋寅泰が演奏する姿を観て、ギタリストとしての人生が始まったと語るサトウだが、その道のりは順風満帆とはいかなかったようだ。

 高校生の時はクラスの一体感が嫌いで不登校になりましたね。1日中部屋にいて、15〜6時間くらいネットゲームをやりながらギターを弾いてました。ほとんど廃人同然の状態だったんで、オカンに泣かれて(笑)。

 それでもなんとか卒業して、音楽系の大学に行ったんです。でも結局、ギターの実技の授業だけ出席して中退しちゃったんですけどね。その時期くらいに祥太(高木/vo,b)と知り合って、しばらくは夜な夜なセッションをしていました。これも同じ時期ですけど、昔からの音楽仲間の紹介でいろいろな先輩方と一緒に演奏させてもらうようになったんです。

 それで現場に行ってみたら、当たり前ですけど周りはプロの人ばかりで。“そこらへんのライブ・ハウスで鳴ってるような音を出してるんじゃねえ”とか“こいつをクビにしてくれ”とか言われたりしましたね。もちろん、音楽に対する愛ゆえだったと思うんですけど。そんな毎日で精神的に複雑骨折したような時期もありましたけど、それがなかったら今の自分はないと思います。

毎日のセッションとプロ・ミュージシャンにゲキを飛ばされる日々を経た、自身のスタイルについてサトウはこのように分析する。

 あえて言うならスティーヴ・ヴァイとロベン・フォードとセイント・ヴィンセントをごちゃまぜにした感じですかね。ヴァイは泣き声みたいなアームの使い方やペンタの使い方に影響を受けた気がします。ロベンに関してはジャズ・ブルース的なアプローチという部分で感化されているところがあると思う。セイント・ヴィンセントはただ好きなだけだという(笑)。

 ほかにもアンガス・ヤング、ジョン・フルシアンテ、ジミヘン、ジェフ・ベックといったギタリストも好きですが、コピーが嫌いなのでちゃんと耳コピをしたことがないんですよ。なので、先輩方にシゴかれながらなんとか絞り出したフレーズとか、周りの人から吸収したものだとか、実際の音楽活動でリアルに手に入れたものが俺のスタイルを作ったと思っています。

最後に今後の展望を聞くと、“あまり目標はない”と前置きしながらも、ギターに懸ける熱い思いを語ってくれた。

 何万人いようが、何十万人いようが俺のステージを観た人が“あいつのギター最高だったね”って心の底から思ってくれるようになりたいですね。ギターで自分を表現することの難しさを日々、痛感しているからこそ、死ぬ気で演奏することで観た人が何かを感じてくれたらいいと思います。あと、俺は布袋さんの姿に衝撃を受けてここまで来れたので、自分もそういった表現ができる、誰かにとってのギター・ヒーローになりたいですね。

LIVE INFORMATION

BREIMEN 3rd ALBUM 『FICTION』
RELEASE ONEMAN TOUR “NON FICTION”

【ツアースケジュール】
2022/09/17(土)/梅田シャングリラ
2022/09/18(日)/名古屋UPSET
2022/09/29(木)/Spotify O-EAST

※チケット購入の詳細は公式HPまで
https://brei.men/

作品データ

『FICTION』
BREIMEN

スペースシャワー/PECF-3272/2022年7月20日リリース

―Track List―

01.フィクション
02.ドキュメンタリ
03.CATWALK
04.苦楽ララ
05.MUSICA
06.D・T・F
07.あんたがたどこさ
08.綺麗事
09.チャプター
10.エンドロール

―Guitarist―

サトウカツシロ